民進党・後藤祐一議員が防衛省女性職員を脅迫、行政一般職公務員は安泰である必要

私は一般職の国家公務員批判は滅多にしません。特別職である国務大臣や国会議員の批判をすることがあるくらいです。

世間で公務員叩きが起きる理由として「国民の平均課税所得より公務員は遥かに待遇がいい」、「民間と違って解雇されない」といったものがあると思います。

このように行政の一般職公務員の身分保障が手厚くなったのは歴史的な理由があります。

これは今回の民進党議員の後藤祐一が防衛省職員を脅迫したことからもわかる通り、古今東西問わず昔から今でも続く古典的な脅威があるからです。

行政一般職公務員の身分保障を疎かにすると議会の人間の言いなりにならざるを得ない

警察というのは行政の一部です。警察官への給与支払者は都道府県知事であることからも当然わかります。

行政があれば必ず議会もあります。

自分と敵対している人が地方議会議員になったとして、その議員が警察に対して「あいつが101番通報で助けを求めてきても無視しろ。絶対に助けるな」と圧力をかけてきたとしたらどう思うでしょうか?

こういった事例は絵空事ではなく、三権分立が導入された頃から現在までも根深く世界中で残っている問題です。

これはとても恐ろしいことです。

行政の公務員というのは中立性が求められます。議会の人間が何と言ってこようが、住民がどのような主義思想を持っていようが、行政の公務員(区市町村の職員)は公平に行政サービスを提供しなければなりません。

ですが議員というのは住民から選挙で選ばれているという大義名分があるので、選挙で選ばれていない区市町村の職員というのは立場的に弱いのです。人数的にも議会の人間の方が少ない少数精鋭であり、理不尽な議員がたった1人だとしても発言力はとてつもなく大きいです。

そのような議員の好き好みで特定の住民を不利益に扱うような圧力をかけてきて、それに区市町村の職員が屈してしまったらどうでしょうか。

そのような不当な圧力に屈しないように、政治任用ではない行政の一般職公務員は手厚い身分保障で守られているわけです。

議会の人間が理不尽なことを言ってきても、解雇されないとわかっているならそれほど怯える必要はありません。

日本は議院内閣制を採用しているので国会議員から行政一般職に対する圧力が非常に強い

日本の地方自治体はどちらかというと大統領制に近い制度を採用しています。それでも議会の人間からの区市町村職員への不当な圧力はあります。反社会的勢力として公安調査庁の監視対象である共産党議員が赤旗の購読を区市町村の職員に強制している問題はまさにその入口です。これが国のように議院内閣制になるとなおさら理不尽な不当な圧力が強くなります。

日本は行政のトップである内閣総理大臣を指名するのも引きずり下ろす(不信任決議をする)のも国会のメンバーたる国会議員が権限を持っています。つまり国政は国会議員が強いわけです。

内閣総理大臣のみならず国務大臣もほぼ全員衆参議員から送り込まれてきます。そうなるとたとえ内閣総理大臣を最高の上司とする一般職の行政国家公務員(例えば今回の事件でいう防衛省の女性職員)だとしても、議会の人間に逆らうことはそうそうできません。

だからこそ国会議員は内閣というトップを通さずに、弱い立場の政治任用ではない行政の一般職職員に対してあれこれ理不尽なことをしているわけです。

これが大統領制だったらまだ軽減されます。大統領は議会から指名されたわけではなく、国民に指名されるものなので、大統領は議会に対して責任を負っていないからです。大統領の部下である一般職の公務員は一議員の理不尽な要求を一蹴できます。上司である行政トップの大統領の命令にだけ従っていればいいからです。

議院内閣制になるとそうはいかなくなります。

日本は英国と同じく立憲君主制の国ですから君主制と親和的である議院内閣制を採用していますが、そもそも議院内閣制は議会の人間が強く、行政の人間が弱い立場に置かれる構造上の問題を抱えています。

民進党・後藤祐一議員のようなキチガイから立場が弱い一般職国家公務員を守るために「解雇されない・国民平均以上の給与・天下り」が保障されている

後藤祐一のような民進党議員から「お前が昇進できないように事務次官や局長に圧力をかけてやる」、「立法権を持っているのは俺だ。お前を絶対に減給に追い込んで生活できないようにさせる」、「お前を再就職なんかさせない。40歳になったら天下り先が見つからず無職になるように圧力をかける」と一般職の女性職員が脅迫されたらこれほど恐ろしいことはありません。実際、これ以上の脅迫があったと推察できます。

彼ら彼女たちは、高々事務次官までしかなれません。副大臣や大臣は政治任用なので国会議員が送り込まれてくるからです。つまり上司は国会議員です。

だからこそ行政の国家公務員には、国会議員の圧力に屈しないように手厚い給与・天下りが保障されているわけです。解雇されないことも絶対必要です。

民進党議員の圧力で解雇されるようなことがあったら、嫌でも民進党議員の言うことを聞かざるを得なくなりこれでは何のために三権分立が導入されたのかわかりません。

公務員批判をする前に、ごく一部の議会の人間の圧力によって区役所や市役所の職員が好き勝手に動かされる社会になっていいのかと考える必要があります。

あなたを気に食わない人が区議会議員や市議会議員になってしまったら、「あいつが通報してきても警察は無視しろ」、「あいつに関しては消防活動をするな」、「あいつの家のまわりの道路や上下水道を更新するな」と職員に圧力をかけて議員の言うがままにされるということです。

それでもいいなら公務員を民間人と同じように解雇したりできるような制度にするのもいいでしょう。そう思わないのなら、行政職員が議会議員の理不尽を一蹴できるように、手厚く身分を保障されていることに一定の理解を持つことが大切です。