気を抜かないルペンとトランプ、マクロン支持を呼びかけるオランドとオバマが重なるフランス大統領選

フランス大統領選挙はマクロンが勝てば男の勝利なのでそれはそれでいいですし、マリーヌ・ルペンが勝てば保守派の勝利なのでどちらに転んでも私としてはいいのですが、マクロン陣営は最近ことごとくフラグを立てています。

まず第1回投票を1位で通過したマクロン氏は自らの勝利を祝う宴会を開きました。つまりは調子に乗っているわけですが、米大統領選挙においてもオバマ大統領(当時)がテレビ番組で「トランプ氏の顔をテレビで見るとつい笑ってしまう」とトランプ氏を馬鹿にする発言をし全米の視聴者がこの発言を認識していたわけです。このような侮りこそがヒラリー・クリントンを敗北させたと言えます。

そして決選投票はほぼマクロン勝利で間違いないだろうとほとんどの人が思っています。ただし、慎重論も一応あります。イギリスのEU離脱とトランプ大統領誕生が続いたので、次また池上彰のように「トランプ当選は100%ない」をやらかしたら大恥をかくということで、「ルペン当選は確率は低いがありうるかもしれない」と左翼メディアらしくなく弱気の慎重意見を忘れずに付け加えているのが笑えます。

オバマがヒラリー・クリントン候補をゴリ押ししたからクリントンは負けた
オランド現大統領もマクロン候補をゴリ押ししている

共和党大統領誕生、そして上下院ともに共和党が過半数という結果に最も貢献したのはバラク・オバマ前大統領の失政にあると言っていいでしょう。共和党を持ち上げた最大の功労者がオバマだということです。

オバマ前大統領は自分が負の遺産だということを自覚していなかったようです。ヒラリー・クリントンを勝たせたいなら彼はおとなしくしておくべきでした。ヒラリー・クリントンはオバマ氏の事実上の後継者のような”禅譲”イメージが付いてしまったことが米民主党の”悪手”だったと言えます。

オランド大統領も同じです。オランド大統領の評価は決して高くありません。マクロン候補は自らの魅力のみで現在の支持を得ているのであり、オランド大統領のお墨付きがあることはむしろ逆効果となっています。

著名アーティスト、タレントを総動員していたヒラリー・クリントン

ヒラリー・クリントンはオバマ大統領と民主党陣営のバックアップで、著名タレントを総動員して若い世代にアクセスしました。

しかし、そのようなことをすると米国民からの印象が逆に悪くなるといったところまでは頭が働かなかったようです。

むしろ逆に、日本の民進党の原口一博衆院議員が難病を公表した際に安倍首相が、「政治家として難病の告白は難しい決断ですが、頑張る原口さんの姿に難病に苦しむ多くの人たちも勇気づけられることと思います。ご快復をお祈りします」と政敵である民進党議員を気にかける発言をしたように、弱者の代表のような人物を米民主党は取り上げるべきでした。

フランス大統領選でマクロン氏が著名人と宴会をすることが、どのように国民の世論に影響を与えるかというところまで考えが至っていない点はヒラリー・クリントンと同じです。

当選は100%あり得ない言われている中でも精力的に選挙活動を続けたトランプ大統領

米大統領選挙は誰もがクリントン勝利で間違いないだろうと思っていました。トランプ陣営に理解のあるFoxNewsでさえもクリントン圧倒的有利で報道していましたし、それは開票日も日本時間11時30分頃まではクリントン優勢とされてたのでそれまでは圧倒的にクリントン勝利確実だと思われていました。

そんな中でも手を抜かずに精力的に各地を飛び回り演説を続けたトランプ大統領はさすがだと言えます。彼のような人物は、”難関”、”試練”と言われると逆にそれを乗り越えるのを好むタイプの性格なので、「トランプ圧倒的不利」と報道され続けたことが逆にトランプ氏を勝利に導いたと言えます。

ロシアの御用新聞スプートニクは一貫してトランプ支持、「クリントン候補にとって最もふさわしい装飾品は手錠」とヒラリー・クリントンを批判
今回もルペンを支持しマクロンを批判

ロシアの御用新聞、スプートニク日本語版を読むとロシア政府の狙いがよくわかります。ロシアは日米同盟を心底嫌っていることが明確にわかり、「日本は米国の抱擁から離脱すべきだ」とあからさまに日米離反を提言しているレベルです。

同時にヒラリー・クリントンを心底嫌っていたのもスプートニクです。これはプーチン大統領がヒラリー・クリントンを嫌っていたというのと同義です。

米共和党議員が「クリントン候補にとって最もふさわしい装飾品は手錠」と発言したのをスプートニクは大々的に取り上げてクリントン批判を連日繰り広げていました。

結果的に米大統領選挙ではロシア勝利となったわけです。基本的にプーチン大統領は負け知らずの晴れ男のようなところがあり、これまで彼の望むとおりに事が実現しています。これは予測がことごとくはずれる逆神の池上彰と、プーチン大統領は正反対だということを意味します。

そして今回のフランス大統領選でも、スプートニクニュースは一貫してマリーヌ・ルペンを支持し、マクロンを批判しています。

イギリスのEU離脱とトランプ勝利でロシアは2連勝していますが、それが3連勝になるかが注目です。

当然、安倍首相やトランプ大統領にとって好ましいのはマリーヌ・ルペン大統領です。イギリスのメイ首相にとってもEU離脱の仲間ができて都合が良いでしょうし、プーチン大統領も歓迎しているわけですから、現在の各国指導者に歓迎されるのはマリーヌ・ルペン大統領であり、マクロン大統領誕生で喜ぶのはドイツのメルケル首相くらいかもしれません。