農林中金不要論の小泉進次郎議員続投 菅官房長官も全農へ宣戦布告

2017年1月~12月の間にあるとされている衆院選を念頭において、2012年の衆院選のように農協グループを騙すためにひとまず歩み寄り姿勢を見せた法案で決着する見通しです。

2012年衆院選では選挙が終わった途端に農協グループ潰しにでてきた安倍首相ですから、今回も次の衆院選が終わったら次のステップの改革をやります。

安倍首相は准組合員の廃止までやると聞いています。これが何を意味するかは農協グループの職員ならわかるでしょう。実際このページにアクセスしてきている人のドメインは農協グループばかりです。それだけ不安なようです。

2021年まで安倍内閣であり、2012年12月に就任してからたった2年半の2015年春先にJA全中廃止法案を通してしまいましたから、あと5年も続く安倍内閣では徹底的に農協グループ潰しをやるようです。その執念深さはさすが安倍首相だと言えます。

 

安倍首相は一度この人は敵と見なすと一生許さないタイプだと自民党幹部は話しています。

安倍さんは第一次安倍内閣が終わった後、安倍さんに見切りをつけて去っていった人をしっかり覚えており、返り咲いた第2次安倍内閣以降ことごとく冷遇しています。

そして安倍さんは2013年の参院選で自民党に反旗を翻した農協を冷遇し始めました。

農協改革前にこのようなやりとりがありました。農協改革がひょっとしたら看板の付け替えだけで終わってしまうのではないかと懸念していたテレ東WBSのインタビューに安倍さんが応じました。しばらくは質問に穏やかに返答していた安倍さんですが、「ひょっとしたらJA全中の改革は単なる看板の付け替えで終わってしまうのでないかという懸念が出ていますが?」と質問されると、急に表情をこわばらせて「今まで自民党の首相で農協改革に手を付けることができた人は誰一人として、誰一人としていなかったんですよ。中央会としてのJA全中は”必ず”廃止します」と、それまでの安倍さんとは思えないほど形相を変えてとても力強く返答していました。

その答えのとおり、無事農協改革法案は通過してJA全中は単なる一般社団法人になることが確定しました。

自民党単独過半数を阻止する力はすでに無くなった農協

2016の参院選はまたしても農協が自民党を潰すために反旗を翻してきました。

もしここで自民党が大敗していたら安倍首相は退陣し、次の首相は農協改革を白紙に戻して協調関係に戻していたでしょう。

ですが結果は自民党の圧勝。参議院の単独過半数を許した上に、改憲勢力で2/3も達成できました。27年ぶりに衆参ともに単独過半数。圧倒的な強さです。

これで自民党は農協と協調して票をもらう戦略から、自民党に仇をなす勢力は潰すという方向で戦略をとり続けています。

時期衆院選や参院選までに、これでもかというほどまで農協の力は法改正で無力化されてしまうでしょう。

また産経新聞が「激震が走った農水省人事」と今夏報道していました。

出世レースから早々に脱落したと思われていた、農水省きっての農協解体論者が、官僚の出世レースのゴールとも言える事務次官に就任したのです。この人事は菅官房長官を含めた安倍政権の中心的人物が決めたものです。

この事務次官人事で農協関係者は「安倍政権は農協解体の総仕上げをするつもりだ」と戦々恐々としているようです。

異例の自民党農林部会長2期目 小泉進次郎議員

自民党は分野ごとに部会を置いていますがその部会長は通常は1年交代です。ですが今回小泉進次郎氏が農林水産部会長の2期目に突入しました。

農協改革としての結果をしっかりだしてから次の仕事を与えるという自民党幹部の方針のようです。

特にJA全農改革は小泉進次郎氏も改革の本丸と位置づけているので、ここでどこまで切り込めるかでしょう。骨抜きにならずに完全株式会社化までやったらたいしたものです。

父の小泉純一郎氏も郵政大臣時代に「郵政は潰すしかない」と決断した

小泉純一郎氏は自民党の中でも一匹狼でした。彼が郵政大臣をやっていた当時は、彼が所属する清和政策研究会でさえまた傍流扱いで、総理大臣が出る本流派閥ではなかったのです。しかも清和研究会の中でも小泉純一郎氏は浮いた存在。誰もこんな人が将来内閣総理大臣になるとは思わなかったようです。

だから郵政省の大臣としてやってきた小泉純一郎氏を郵政官僚はぞんざいに扱いました。郵政省は現在総務省という形で吸収合併されてしまいましたが、郵政省というのは強い官庁ではありません。郵政大臣は出世コースの議員がやる職ではありませんでした。だから郵政官僚も小泉大臣が将来首相になるなんてあり得ないと甘く見ていたのでしょう。

小泉純一郎氏はその郵政大臣時代に、「郵政は民営化しなきゃだめだ」と強く決心したようです。

 

面白いのは小泉内閣が発足した2001年当時の記事を見ると、「郵政官僚が戦々恐々」というものが出てきます。小泉純一郎氏がまさかの首相になったため、ひょっとしたら郵政つぶしにでてくるんじゃないかと”予期”していたようです。

当時はすでに中央省庁再編で郵政省は総務省の一部になっていました。そのため郵政省から移ってきた官僚が戦々恐々としていたようです。

そしてその予感は的中、4年後の2005年に郵政民営化解散があり、小泉総裁率いる自民党は与党で衆院議席の2/3を確保するという歴史的大勝をおさめました。

小泉進次郎総理が誕生すれば確実に農林中金は潰される

農林中央金庫は以前から金融業界でも不要論がひたすら言われていましたが、国会議員、しかも単なる国会議員ではなく将来の首相候補と有望視されている小泉進次郎氏が「農林中金は不要」と言ったことで大きくはずみがつきました。

小泉進次郎内閣が誕生すれば農林中金は必ず廃止されるでしょう。ひょっとしたら安倍内閣の間に廃止されるかもしれません。

JA全中の次はJA全農にロックオンした菅官房長官

JA全中は監査機能を失い、農協法のような特別な法律に設立根拠を持たない任意団体である一般社団法人になります。これは法案がすでに成立しているので確定事項です。

一般社団法人とは人の集まりを裏付けとして設立される法人です。1人だけいれば民法上できるので、たとえたった一人の学生でも一般社団法人を設立することができてしまいます。

それだけJA全中というのは完全に骨抜きにされてしまいました。

JA全中は既に骨抜きにされてしまったので、今後の農協改革には前向きです。農協法改正によってJA全中の既得権益が潰されたため、もう守る既得権益がないのですから、改革に反対する理由がないからです。

 

そして安倍政権は次にJA全農を骨抜きにすることに照準を定めました。

実は先般の農協改革法案でも、JA全農の改革については言及されています。

でもそれは「できるだけ株式会社になるべき」という努力目標を書いたのみであり、株式会社に転換することを義務付けまではやりませんでした。

当然JA全農は株式会社になる気なんてさらさらありません。なぜならJA全農は独占禁止法の適用除外になっており、生協と同じ優遇された存在だからです。

生協では書籍を1割安で売っています。でもそれは独禁法で制約されている一般的な紀伊國屋書店などではできません。独禁法の適用除外である生協や農協だからこそできるのです。だから農協を株式会社にしてしまって独禁法適用対象にすれば自然と競争力を付けざるを得ないだろうということです。

 

それを確実に株式会社化させることに安倍内閣は動き出しています。それが農協改革の総仕上げとも言えるでしょう。JA全農も農協も株式会社になり、農林中金も株式会社である単なる銀行になれば農協法は不要になります。会社法と銀行法だけ済むようになるのです。