2016年12月安倍内閣支持率55.6%に下落、真珠湾訪問支持は88.2%

産経新聞とFNN(フジテレビ)が合同で行った2016年12月の世論調査で、安倍内閣支持率は55.6%になり、前回の57.9から2.3ポイント下落しました。

面白いのは安倍プーチンが会談したこと、経済協力で合意したこと、さらにロシアにメリットがあり日本にはメリットがないことについても大多数が支持していることです。

そして領土問題の進展に期待しない割合も圧倒的多数になっており、経済協力でロシアを喜ばせること自体も国民の大半が支持して、領土問題が解決しないことも国民の大半が支持している謎の結果になっています。これは国民全体というより、世論調査にしっかり回答する団塊世代が、東側諸国で旧共産圏の雄であるロシア支持、北方領土返還は不要という考えを持っているからです。

自民党支持率は2.4ポイント増の40.7% 真珠湾訪問が好影響

自民党の支持率は前回の38.3%から2.4ポイント上昇して40.7%になりました。上昇率は2.4/38.3=6.27%です。

真珠湾訪問をするのは議会としての自民党ではなく、行政のトップである安倍首相ですから厳密に言えば自民党の支持=真珠湾訪問の支持ではないのですが、安倍首相は自民党トップの総裁でもありますから、安倍首相の真珠湾訪問支持が自民党の支持率アップに結びついても不思議ではありません。微増にとどまったのは、真珠湾訪問がプラスの一方で、団塊世代から不評の年金改革法案通過とカジノ法案通過がマイナスに作用したからでしょう。

真珠湾訪問への好評価が88.2%という圧倒的多数を得たことが今回の世論調査で自民党を助けたと言えます。都知事選でもそうでしたが、毎回共産党候補が手堅く10%程度の票を獲得するように、「なにがなんでも自民党のやることには絶対賛成しない!」という変な人はいつの世にも10%程度いますから、88.2%という数字はかなり妥当です。

民進党支持率も0.6ポイント上昇して9.2% 消費税率と同じ8%は脱する

自民党の支持率も上昇していますが、政敵である民進党の支持率も上昇しています。前回の8.6%から0.6ポイント上昇して9.2%になったことで、「消費税率と同じ」と産経から叩かれていた8%台は脱しました。

侮ることができないのは、たった0.6ポイント増とはいえ、上昇「率」から見ると自民党より上昇しています。

民進党支持率の上昇率は、0.6/8.6=6.98%であり、自民党の上昇率である6.27%より大きいです。

民進党支持率が上昇した主な要因としては、親に年金で養ってもらってる貧困若年層と団塊世代が嫌がっている年金改革法案に反対する勢力が民進党と共産党くらいだからです。

あとはカジノ合法化を支持できない人達が民進党に流れているからです。カジノができることでメリットを享受できるのは、IR建設が許可される可能性のある台場、横浜、大阪、沖縄、和歌山くらいだからです。さらにこのうち3ヵ所くらいしかまずは許可されない予定です。日本全国からみたら「蚊帳の外」である自治体がほとんどでしょう。だから支持してない人が多いわけです。あとパチンコをやっている人ほど、パチンコが街から消えることを危惧して反対しているようです。

私は宝くじでさえ買わないですしFX口座すら持っていないレベルでギャンブルとは無縁な人間ですが、カジノ法に反対する点が一切どこにもないので、なぜここまでカジノ推進が理解されないのが不思議で仕方ありません。

実は上昇率が最も高いのは共産党、最も下落率が高いのは公明党

自民党はそもそも支持者の絶対数が多いのですから、+2.4ポイントという数字が一番大きくても安心はできません。そこで前回の自民党支持者数から何%多くなったのか、相対的な増減率で見てみる必要があります。ポイント数という絶対的な増加量ではなくて各政党の支持増加率という相対的な量でみてみます。

自民党:  38.3%→ 40.7% +2.4ポイント +6.27%

公明党:   4.3%→  4.1% -0.2ポイント -4.65%

維新の会:  4.0%→  3.9% -0.1ポイント -2.50%

民進党:   8.6%→  9.2% +0.6ポイント +6.98%

共産党:   3.7%→  4.3% +0.6ポイント +16.2%

これで分かる通り、減少したのは公明党と維新の会であり、特に公明党の-4.65%は最も大きい下落率です。

逆に大躍進したのが共産党。絶対量ではたった+0.6ポイントながら、上昇率でみると+16.2%です。これを見ると、カジノ法案に賛成したり賛否が割れた自民公明維新は逆風だったと言えます。自民公明維新の中で自民党だけ支持率が上がっているのは、カジノ法とう世論のマイナス要素を大きく上回る真珠湾訪問というプラス要素が支配的だったからと言えます。

世論調査ではカジノ法や年金改革法に反対している人が過半数ですから、その受け皿として民進党と共産党が大躍進したと言えます。民進党は内部にカジノ賛成派もかかえているので本会議で反対票を投じずに退席という中途半端な態度をとったり、参院委員会採決実施に賛成したりと、カジノ断固反対派からしたら「軟弱」と映ったので共産党に多くの支持が流れ込んだのでしょう。

今回のようなカジノ法と年金改革法という逆風があったら自民党支持率も公明維新のように下がって当然でしたが、この逆風化でも支持率を上げるあたりさすが自民党です。