WiiUが不振だった理由はゲーム世代が社会人になり既婚者もまだ少なかったから

WiiUが生産終了決定後に売れだしているようです。とはいえ今から売れたとしてもWiiUの売上数がPS4を超えたり、Wiiを超えたりすることはないでしょう。

WiiUが失敗に終わったのは、2012年という発売タイミングの悪さと、90年代に築き上げたレガシーに強く依存しすぎていることが原因です。

Wii発売の2006年時点でゲーム世代は学生 一方でWiiU発売の2012年には社会人になっていた

ファミコン、スーファミ、64、PS、PS2と買ってきた90年代~2000年初期までのゲーム世代は丁度ゲーム全盛期に幼少期だったと言えます。

これが2003,4年ごろには「最近のゲームってつまらないよね」と言われだすようになります。

それでも2006年発売のWiiが売れたのは、90年代のゲームをやってきたゲーム世代がマリオシリーズなどの続編をやりたかったためです。しかも2006年にその世代はまだ社会人になっていませんでした。

ですが2012年にはほとんどのゲーム世代が社会人になった後でした。99年時点で小学校4年生だったとしても大卒で社会人1年目です。

任天堂が90年代に築き上げた「過去の遺産」で収益を維持している

最近の任天堂は何も産み出していないと言えます。

90年代に任天堂のゲームをやってきてくれた人達が今でも変わらず「お客さん」であり、その人達が任天堂のゲームの続編に期待して収益を下支えしています。特にマリオメーカーなんて完全に過去の栄光にすがっているようなゲームです。

全く新しく投入して唯一うまくいったのはスプラトゥーンくらいでしょう。これ以外は全部失敗に終わっていると言えます。これは現在小中学生の世代が熱烈に支持しています。彼らが大学・大学院生である間は安泰でしょう。

ですが90年代のヒット作の多さに比べたら、スプラトゥーン1本では弱いとも言えます。

現在の任天堂は、いまだにFF7などのリメイクでしか稼ぐことのできないスクエアエニックスと同じで、90年代にヒットしたマリオとその派生ゲームで過去の遺産を食いつぶす形でなんとか切り盛りしているに過ぎません。

WiiUは丁度ゲーム世代が社会人になりまだ結婚してない時期に発売された

WiiUのようなゲームを買ってくれるのは独身でゲームをやっているようなオタク層ではなく、結婚して家庭をもっているファミリー層です。

ですが2012年はまだ社会人になったばかりで忙しさからゲームをやる余裕もなく、また結婚もしていないことから子供もいないということで子供にゲームを買い与えるという需要も得られませんでした。

Wiiはまだ社会人になる前だったから滑り込みセーフでしたが、2012年はタイミングが悪かったといえます。

トヨタ自動車もドラクエ3の「冒険の旅」で集客 メルセデスはマリオとのコラボ

企業が狙う購買層は子供を持ちたての世代です。

例えばトヨタ自動車はCMでドラクエ3の「冒険の旅」や「おおぞらをとぶ」といったBGMを使いだしました。

この曲のオーケストラバージョンはいくつも録音されていますが、世代なら曲名は知らなくとも聴いたことはあるほどの有名な曲です。ドラクエ3をやったことがない私でも知っています。

このように90年代にゲームをやってきた世代が社会人になって購買力がアップしたところを狙うためにこのような曲をわざと使っています。学生のようにまだお金がない世代をターゲティングしても仕方ないですし、また年齢が高くなりすぎると子供の教育費が上がっていくので、可処分所得のうち自動車購入に割り当てる金額が減ってしまいます。

子供が小さい間はミニバンのような車が売れて遠出も多いので買い替え頻度も高いですが、子供がある程度大きくなると自動車の買い替え頻度は下がっていきます。やっぱ狙うなら結婚直後で幼少期の子供を持ち始めた世代なわけです。

PS4が売れているのはPS系は時間が多く取れる非正規雇用ユーザーが多いから

一方でPS4が売れているのは一人でゲームをする時間が多い層が買っているからです。

特に一人暮らしや親の脛かじりをしている独身に多く、ハイスペックPCでコアな3Dゲームをやっているような層とも重なります。非正規雇用で働いていて、自由に使える時間が多いためにその時間をゲームに費やしている層です。

一方で任天堂のゲーム機というのは、子供がいる家庭や、子供はいないけど夫婦でやるといった家庭向けのゲーム機なわけです。

任天堂もそこを明確にマーケティングしていて、任天堂のゲームは一部のコアなオタクから高く支持されるよりは、若い人から老齢世代まで男女問わず幅広く楽しめるゲームを作っているわけです。

もっと抽象的なことを言えば、PS系は陰であり、WiiUなどは陽にあたります。

ごく一般的な幸せな家庭を築いているという日の当たる人達が任天堂のいいお客さんとも言えるでしょう。このような人達が増えてくれないと任天堂の売上を伸ばしていくのは難しいわけです。

任天堂がやるべきことは「産めよ増やせよ」を自民党に要望すること

任天堂ゲームのユーザーが増えてくれるためには、いわゆる幸せな一般家庭が増えてくれないとダメだということです。

そのためには任天堂は自動車企業のように自民党に企業献金をして、「結婚して子供をたくさん産むような政策」を採るように自民党に強く働きかけることです。

独身やオタクを増やしても任天堂のゲームは売れません。子育てや受験勉強の合間を縫ってゲームをやってくれる人を増やさないとだめなわけです。

最近任天堂が不振なのは、任天堂にマッチするような世帯よりも、PS4などのゲームにマッチするような世帯が増えてきたということです。たとえ任天堂がオタク層に方向転換してもうまくいくとは限らないでしょう。むしろ逃げていくファンが出てきて逆効果の方が大きいと言えます。同じ方向性のSIEと真っ向勝負もしなければなりません。

やはり任天堂のゲームをやるような世帯が増えていくという外部要因をなんとかしない限り、任天堂の自助努力だけではなんともし難いと言えます。

私の学生時代の知人は修士終了後にSCEよりも任天堂に就職していった人のほうが圧倒的に多い

任天堂の方が高学歴な人に好まれている職場だと言えます。その人達は高い給与というよりも仕事内容が好きだからという理由で就職していきました。私の学生時代の知人も任天堂に何人も行きましたが、本当にゲームが好きな人達です。一方でSCE(2016年4月にSIEに社名変更)に行った人達は少なく、あまり優秀ではありませんでした。

さらには任天堂の職場は京都市です。都内出身で東京の大学を出た人は東京でずっと働けることを重視する人が多いです。それでも京都に赴任するというのは、そのようなことよりも任天堂で働くこと自体を重視しているからでしょう。