英国ジョンソン首相による合意なき強行離脱を阻止できるのは「最高裁が下院停会を違法認定」「9月中に不信任案可決&解散」「10月中に総選挙」「EUが離脱延期を認める」の4条件を全て満たす場合しか残されていない

英国の労働党はちょっと下手な判断をしてしまったようです。

労働党は2回にもわたって「ボリス・ジョンソン首相が提案した下院解散」を拒否してしまいました。

実は「下院解散をして総選挙を実施し労働党が過半数を獲得する」ことが、EU残留派が合意なき離脱を阻止する最後の手段でした。この下院解散は9月中に実施しなければなりません。そうしないと議席確定が11月1日以降にずれ込むことになり、その間にジョンソン首相の独断で「合意なき離脱」を強行することができてしまうからです。

2019年10月31日一杯でのEU離脱を残留派が阻止したかったら、2019年9月9日から停会される前にさっさと解散して総選挙に追い込んで残留派で過半数獲得しまえばよかったのにもかかわらず、労働組合に支持されてる日本の労働党(立憲民主党、国民民主党、共産党)と同じで英国の労働党も無能だったようです。

9月中に不信任決議案を提出して可決し解散できないのならEU残留派の負けが確定する

10月31日でのEU離脱を阻止したいのなら、EU残留派がやるべきことは9月中に不信任決議案を提出して可決し9月中にジョンソン首相に解散を決断させることでした。ジョンソン首相が下院を解散せずそのまま素直に総辞職してくれれば残留派にとって追い風ですが、ジョンソン首相は必ず解散を決断します。

もしこの「不信任決議案可決で解散」を2019年9月中に実施できないとEU残留派の負けが確定してしまいます。

10月になってから不信任決議案を提出してもジョンソン首相を食い止めるにはもう遅い

2019年10月になってからジョンソン首相が「合意なき離脱」へ邁進し、ジョンソン首相が法律を無視するのならそれを食い止めるには首相を辞めさせるしかありません。その手段は不信任決議案を下院へ提出することです。

しかし、その場合ジョンソン首相は「解散」を選択することができます。そうなると下院の総選挙になるわけですが、当然ながら議席が確定するのは11月です。それまで下院議員は不在になります。その間にジョンソン内閣に入閣している閣僚が好き勝手に行政を執行できます。

なぜならジョンソン首相は下院議員としては失職しても、首相職は下院の議席が確定するまで失職せず存続するからです。これは日本国において、衆院を解散した時点で安倍首相が衆院議員としては失職しても、内閣総理大臣としては職にとどまり続け、衆院の議席が確定した時点で内閣総辞職をして新しい衆院議員が次の首相を指名するのと同じです。

つまり、英国下院が解散するのが2019年10月にずれ込んでしまうと議席が確定するのが11月になってしまい10月31日の時点で下院議員が不在であり、ジョンソン首相を食い止める手段が何も無いということになります。

2019年9月9日以前に不信任決議案可決を決断できなかったのはEU残留派にとって大きな失態

さらにEU残留派にとって厳しい状況となったのは、2019年9月9日から下院が停会し10月14日に議会が再び開会するまでジョンソン首相の不信任決議案を提出することすらできないということです。停会明けの10月14日に不信任決議案を提出してその日に可決されて下院解散となったとしても投開票日は11月。10月31日の期限に全く間に合いません。

そうなると、EU残留派は以下の4条件がすべて揃った場合のみでしか「EU離脱」を阻止する手段が無いことになります。

条件1:最高裁が下院停会を違法と認定する

ジョンソン首相が提案した「下院の停会」は違法であることを、連合王国を構成するスコットランドの最高裁が判示しました。あとは連合王国の最高裁がどのような判断をするかを待っている段階です。

ここでもし連合王国の最高裁が「停会は違法」と判示したら議会は再び開会します。そしてその開会が9月中であることが絶対必要です。10月になってしまうとジョンソンを辞任に追い込もうとすると解散を決断されてしまうため、総選挙の結果がでるのが11月になってしまうからです。

条件2:9月中に議会が再開したら直ちに解散に持ち込む

EU残留を望むのなら、2019年9月に議会の停会が解除されたらEU残留派はただちにジョンソン首相の不信任決議案を提出しそれを可決しなければなりません。もしこの手続を9月中に実現できなかったら、EU残留派の負けが確定します。

条件3:10月31日までに残留派が下院の過半数を獲得する

EU残留派の願い通り運良く2019年9月中に解散できたら、10月31日までに総選挙の投開票日を迎えてEU残留派が下院で過半数を取らなければなりません。EU残留派が下院で過半数を取れなかったらその時点でEU残留派は負けになります。もしEU残留派が過半数を取れたら、直ちに新しい首相(第一大蔵卿)を指名しなければなりません。その首相(第一大蔵卿)がEU残留派の人物になったら、10月31日までにEUへ対しEU離脱の期限延長を求めなければなりません。

条件4:EUが離脱期日の延期を認める

「英国から離脱期限延期の要請があったらEUは認めるだろう」と当然のように考えている人が多いですが最近はそうでもありません。EUは合意なき離脱でもいいからさっさとケリを付けてこの問題を終わらせたいと考えています。つまり離脱期限の延長をEUが認めない確率が以前より上がっているということです。たとえEU残留派の英国首相が10月31日までに誕生したとしても、EU側が期限延長を突っぱねて10月31日一杯をもって「合意なき離脱」になる蓋然性が上がっています。

以上みてきたように、2019年9月9日に下院が停会に入ったことによって10月31日までに総選挙を実施し首相を交代させることが一層困難になっています。ジョンソン首相自らが解散を望んでいるのだから、EU残留派がEU離脱を阻止しないのなら受けて立って選挙で戦うべきでした。なぜEU残留派が解散を避けた(選挙を避けた)かというと彼らはEU離脱派に勝てる自信がないからです。衆参同日選に怖気づいてへっぴり腰になり「同日選が100%ない」と確信できる最後の最後の段階まで内閣不信任案を提出できなかった日本の労働党の無能党首、枝野幸男と全く同じです。

2019年11月は日本国にとっても大嘗祭を迎え令和時代が始まる歴史的な月です。英国にとっても非常に重要な月になることは間違いありません。