日本の金融業界が潤沢なコンピュータ資源を使いこなせないのはゲーム業界と同じ

最近Itmediaで興味深い記事が上がっていました。

日本は少ないリソースで最大限のパフォーマンスを上げるゲームを作ることは得意だが、潤沢なリソースを容易されるとそれを使いこなせずに米国のゲームソフトメーカーに負けるというものです。

これは完全に同意します。

例としてファミコンのようにものすごくリソースの少ない時代は、ドット絵と言われるものを駆使した日本のゲームは世界中で指示されており圧倒的でした。今でもレトロゲーファンが居るくらいです。

ですがゲーム機の性能が大幅に向上した現在、そのような勢いは日本のゲームメーカーにありません。

日本のゲーム業界の勢いがあったのはFF7あたりまででしょう。それ移行は衰退の一途です。

さらにはFF7のリメイク、マリオ1,2,3、ワールドをリメイクしたマリオメーカーのように、完全に過去の栄光にすがることでしか稼げないのが現在のゲームメーカーです。

なぜこのようなことになったかというと、日本では大量の資金や、潤沢なコンピュータ資源を使いこなすことがヘタということに尽きるということです。

任天堂の岩田さんも省エネプログラマだった

私は任天堂の岩田さんを尊敬しています。根っからの技術者ということがよくわかりますし、本当にマイコンが好きでアセンブリレベルでコンピュータをいじっていたタイプです。

「プログラマとして、『できない』ということは言ってはいけない」というのが岩田さんの持論だったようです。

今は十分にコンピュータの性能が上がっていますが、ファミコンのような時代は実現したいゲームがあってもゲーム機の性能が追いつかなくて表現できないことが多くあったようです。

そのような非常に限られたコンピュータ資源の中でも、岩田さんはプログラムコードをチューニングして結果を出すことに長けている方でした。

今でもそのような人は多く居ます。より少ないアセンブリコードで実行速度を追求するという最適化の分野です。

ですが人間がアセンブリコードを直接書く必要性は少なくなりました。

つまり今人間がゲーム制作においてやるべきことは、実装面のチューニングではなく、

「どんな手の込んだものをつくるか」という目的の部分、アイディアの部分なのです。

より綺麗なグラフィック、まるで映画を観ているかのようなリアリティが今では求められています。

特にアンチャーテッド4が驚異的です。例えば前半にあるロッシーの館でのオークション会場。パーティー会場への来訪者がそれぞれ独立して細かく3D描画されています。

あとは中盤のショアラインの装甲車とドレイク兄弟とのチェイス。これもムービーではなくその場で描画しているものです。

日本ではメタルギアソリッド5が頑張ってる方ですが、結局コスト高を理由にプロジェクト中断となってしまい本当に中途半端なゲームになっていました。

PS4のようにあまりにも潤沢な計算資源が容易されてしまうと、それを使いこなすだけのゲームの応用・アイディアがないのが日本のゲーム業界です。

そんなハイスペックパソコン何に使うの?で盛り上がる2ch

私は自分でパソコンを組み立てるということを中学生の頃からやっています。質のいい電源やマザーボードなどを自分で選べて作れるからです。

パソコンに限らず、コンピュータというのはその時点で出来る限り高速なものを調達することが求められており、それは他人に差をつけるために重要なことになります。

ですが2chをはじめとして、「そんな速いパソコン必要なの?」ということが毎度のように言われています。

結局のところ彼らからすると、お金をかけた高速PCの使いみちは、「ゲーム」、「Youtuberがやってるような動画編集」、「動画エンコード」しかないようです。

ほとんどの人がゲーム目的で、あとは動画圧縮の人が一部いるといった感じでしょうか。

私に言わせるとこのような用途だけでは、せっかく最近高性能化してきているパソコンの資源を全く活かせていないと言えます。

金融業界からするとXeonE5でも全然スペックが足りない

金融分野というのはいろいろありますが、ここでは個人にとっても興味が持ちやすい株価やFXの予測の話をしましょう。

株価やFXのようなデータのことを時系列データといいます。そのようなデータを分析することを対象とした時系列分析という学問分野があります。

特にこのようなデータを金融時系列データといいますが、金融時系列データ分析の特徴は非常に強力なコンピュータ資源が必要になるということです。

なぜなら金融時系列データというのは1秒間の間にも多数のデータがあり、サンプル数が膨大です。さらに株だったら銘柄数も膨大です。しかも金融時系列データは観測誤差が0なために、有効数字が無限桁になります。

耐震構造のための数値計算なんかよりも非常にハードなのが金融時系列分析という応用分野です。

そのような分野においては現在のcore i7どころか、Xeonでも全然足りていません。

金融分析は個人のパソコンでもできる

実は投資銀行などに入る人は、一個人としても投資に興味がある人です。

純粋に数学・物理などを使ってなんとか金儲けできないかという知見を得たくて理系から投資銀行に入った人は多いのです。そのような人は興味として土日にパソコンをいじって分析している人が多いです。

株価やFXのデータは個人でも簡単に手に入ります。

金融業界ですらロイター、ブルームバークにお金を支払って手に入れているので、個人でもお金さえ払えばその辺の金融機関と対等なデータが手に入ります。

要はあとは金融データを分析するだけの数学力があるか、それをプログラミングという実装をして高性能なパソコンを使いこなすだけの応用力があるか、それに尽きます。それさえできれば高性能なパソコンというのはお金を生み出す道具になります。

日本の金融業界が遅れているのは数学ができない文系が多いから

多くの人は経済学部ときいたら文系の学部だと思うでしょう。

ですが米国では経済学部は理系の高校生が進学するところ。つまり経済学部とは理系の学部だということです。

日本でもようやく投資銀行のように理系院卒が3割くらいは入るようになってきました。それでもまだ少ないくらいです。

日本で金融といったら株や投資信託や生命保険を売っているものをイメージするかもしれませんが、それは小売であって金融ではありません。

金融業界の仕事というのは、売るための金融商品の設計、その商品を売ったあとのリスク管理とダイナミックヘッジです。

そのような仕事をするには数学の理解とコンピュータを使いこなす技術が必要ですが、日本では経済学部がその分野が不得手なために全く成長していません。

だからコンピュータを個人で利用するといってもゲームくらいしかない人がほとんどです。

一般人はITを使いこなせなくなる時期に来ている

2000年あたりまではパソコンの性能といってもたかが知れていて、処理が遅いなと思ってコンピュータの実行結果を待っていたりする時間の方が長かったものです。

ですが今は逆にコンピュータを待たせている、むしろコンピュータを手持ち無沙汰にさせている人のほうが多いのではないでしょうか。

よくあるのが先ほども挙げた、ゲームくらいしかハイスペックパソコンの用途がないというパターンです。単にブラウザを見るだけTwitterをするだけLINEをするだけ。

そんな中で、Twitterのデータを自動的にネット上で収集して深層学習にかけてみたり、株価データをネット上で取得して深層学習や統計モデルにかけてみたりしている。こんな使い方をしている人が理系の一部には居ます。

これはプログラミングができないと無理です。

自らコンピュータへの命令を書いて使いこなす方にいかないと取り残される時期にきています。

ある人はコンピュータの性能の進化に追随して多くの利益を得ているけど、コンピュータを持て余している人はずっと同じ場所で立ち止まったままということが起きてしまいます。

深層学習や金融データを個人として分析している人からすると、パソコンの性能なんていくらあっても足りないほどパソコンの高性能化を求めています。

一方でゲームをやらない限り、パソコンなんてウェブを見るだけだからcore 2duoレベルで十分という人もいます。

このようにパソコンを使いこなせるかどうかで二極化が進んでいます。これは情報技術分野の格差社会とも言えます。ある人は数学を理解して自分でプログラムを組んで収益を生み出せる。パソコンを使いこなせない人はブラウザでネットを見たり、動画をみたりするだけで終わってしまう。

以前はパソコンの性能が低かったからこのような二極化の格差は生まれませんでしたが、現在はその格差が広がっているように思えてきます。このような格差にやられてしまったのが日本のゲーム業界であり、いまだにFF7やFC・SFC時代のマリオでしか稼げない状況に置かれています。そしてこれはゲーム業界だけでなく、金融業界のように数学物理やコンピュータを苦手とする人と、得意とする人が二極化している分野にも言えることだということです。