日欧EPAのおかげでTPP11は「日本需要獲得」で大きく弾みがつく 

12カ国のTPP交渉は2015年10月に妥結しましたが、この妥結に大きく貢献したのは2015年1月に発効した日豪EPAでした。この日豪EPA発効で日本の牛肉需要をオーストラリアに奪われると米国の通商代表部は焦りだし交渉の停滞感を打破することに成功しました。

そして今回の日欧EPAは11カ国のTPP妥結へ向けたの起爆剤になります。

米国が抜けたTPPのうち最大のGDPを擁する国は日本国です。

日欧EPAの合意によってTPP11交渉を進める日本以外の10カ国は、早くTPP11を発効させないと欧州に日本の需要が奪われると焦ることになります。

日欧EPAは世界のGDPの3割、貿易総額の4割を占める経済圏ですから、もたもたしてたら損をするのは日本と経済連携協定を締結していない国だからです。

一般人は困るどころかメリットしかないので、日欧EPAの発効やTPP11の発効を気長に待っていれば自然と企業の業績がよくなり株価が上がり年金財源も増えます。

EUの人口は5億人です。しかもシナやインドなどの新興国の人口ではなく、5億人のうちほとんどが先進国に属しています。EU全体のGDPは米国と同じです。日本の1億人の市場から一気に日本の1億+EUの5億人の市場に大きくなることを意味します。

今後日本の人口が増えなくても、EUの人口が増えてくれれば十分企業は業績を上げることができるようになります。

日米FTAでも米国入りTPPどちらに転んでも農民・農協職員以外の人にはメリットしかない

今回、日欧EPA交渉ではTPP以上に譲歩した点がありました。EUからのチーズ輸入について低関税の輸入枠を設定し、15年かけて輸入枠の関税を撤廃することを決めたからです。

日本はTPPで米国から輸入するコメについて低関税枠を設定しました。

800%近いコメ関税を低くされると農協は廃止しなくても勝手に経営難で潰れてくれるレベルで、コメの関税を下げるということは農協にとって死活問題です。

そして今回日欧EPAで日本がTPP以上に譲歩したことで、米国から「EU相手に低関税枠で譲歩したんだからコメ関税枠もTPPよりさらに優遇しろ」と言われる口実を作ってしまったことになります。

別にこれで困るのは日本の個人農家と、個人農家からの手数料収入で食ってる農協です。法人としての農家はむしろ日本で作ったコメを海外に売りつけたい側なので、関税はさっさと撤廃して欲しいと思っています。日欧EPAやTPPに反対しているのは個人の農家と農協であるというところがポイントです。

 

なので個人農家でもなく農協グループに勤めてもないなら、日欧EPAもTPP11も歓迎すべきものです。

その次にやってくるだろう日米FTAもほとんどの日本国民にとって大きな利益があります。

日本としては日欧EPAとTPP11さえ発効してしまえばあとは米国の出方を待っているだけです。

米国が二国間交渉にこだわるのなら日米FTAでいいですし、3年後の大統領選が終わって選挙を気にしなくて済む時期に入ったあとにTPPに戻ってくるのならそれでもいいでしょう。

農協グループがあの手この手で騒いでいますが、困るのは個人農家と農協だけです。彼らにとっては職を失って食っていけなくなるほどの大問題なので当然です。