サミットの具体的成果は「無かった」という嘘 チャイニーズが嫌がり日米欧が得する3つの具体的成果

伊勢志摩サミットの最も大きな成果は伊勢神宮(神宮)にG7の各首脳が公式に参拝した上で記念撮影をしたことでしょう。

神道についてあれこれ言ってくる人たちもいますので、「神道は米国・欧州各国の先進国に認められた普遍的なもの」という証拠を内宮の前で記念撮影することによって写真を世界中に拡散させて既成事実化する狙いがありました。

あまり伊勢が賑やかになってしまうのも困りますがさっそく経済効果が出ているようですし、経常収支の中で昔からずっと1兆円近い赤字が毎年続いてきたサービス収支をようやくプラスにできたので伊勢サミットを契機にサービス収支をさらに黒字にする原動力になります。

 

そして具体的な成果としては財政出動や為替についてはほぼ全く成果はなかたっといっていいでしょう。

これが安倍政権に批判的な人が口をそろえて「サミットは何も成果がなかった」と言っている根拠のようです。

でもそれは妄言であり、実際は大きな成果が3つあります。

 

一つは米国がチャイニーズの鉄鋼大手を対象に関税法337条に基づく調査開始を決めたことです。

これは具体的な法的手続きに入ったということで大きな動きと言えます。

その根拠とされたのが伊勢志摩サミットで、

1「競争力がなく本来なら存続できないチャイニーズの製鉄所を補助金で支えていることを市場で歪曲する支援とし懸念する」

2「同懸念が是正されない場合はWTOルールを根拠に高税率の反ダンピング関税を発動する」

の2点が盛り込まれたことです。

米国単独よりG7で決定されたことを受けて同じタイミングでやったほうが効果が高いので、米国はあえてこのタイミングで関税法を持ちだして調査に乗り出しました。

さらに3つ目の成果としては日本の農協や個人農家も嫌がっている、

3「2016年のできるだけ早い時期に日本ー欧州EPAの大筋合意を実現する」

というものです。もし欧州EPAが発効してしまったらTPPも批准しないとTPP圏の国は不利になるのでTPP批准も加速化されます。TPP批准は11月以降になるのでまだしばらく結果はでませんが、今年の残り6ヶ月は日本国内でのTPPを衆院の過半数で批准、欧州EPAの大筋合意といったことに安倍政権は集中することになります。

今回の伊勢志摩サミットは、台湾新政権の日本重視への大転換で経済外交ともに孤立を深めるチャイニーズと、日本の農家・農協にとってとても苦しいものになりました。

そのかわり、これからは「ばらばらの個人」ではなく「集約された株式会社」としての農業が非常に伸びしろがある分野になります。農業法人の不動産を対象にした農業リートが実現したら買いですし、低迷している全世界の鉄鋼株の動向としても米国の対チャイニーズ関税制裁の進捗を見ていく必要があります。