南シナ海、米軍とチャイナの偶発的な衝突への「懸念」ではなく「期待」

NHKの報道は毎回シナの立場からの「擁護」や「願望」要素が入っています。

早速今回もシナの代弁者として、米国の立場ではなくシナの立場から報道していました。

南シナ海でアメリカ海軍の海洋調査船が軍事用のデータを収集した無人の潜水機を回収しようとしたところ、接近してきた中国軍の艦艇にこの潜水機を奪われ、アメリカ政府は中国政府に即時の返還を求めるとともに、強く抗議しました。(NHK News Web 2016年12月17日 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161217/k10010810301000.html)

米海軍の調査船が潜水機を回収しようとしたところ、シナ海軍の艦艇が割り込んできて鹵獲してきたようです。

今回のこの事件で注目すべきは、双方とも海軍の艦艇であるということです。海軍の艦艇は警察としての海上警備隊とは異なり、国家そのものと見なされます。つまり海軍の艦艇に対する鹵獲行為は米国に対して強盗を行ったものであり、もしシナ海軍が米海軍艦艇に攻撃をしたら米国本土に攻撃したものとしてみなされます。

このように海軍と沿岸警備隊の違いは大きく、尖閣の海上保安庁巡視船は甘く見られて海上自衛隊の艦艇が出ていくと引き下がる理由はそこにあります。装備の強さの差ではなく、相手が国かどうかという点がポイントです。

今回の米軍とシナ海軍との件は、双方ともに軍艦であり、これはかなり米シナ緊張の高まりが期待できる歓迎できる事件です。

「懸念」は完全にシナの立場にたった見方
米軍はシナとの戦争のきっかけを探しているのだから米軍の立場からすれば「期待」が正しい

NHKの言い分は完全にシナを擁護する立場にたっています。

南シナ海では、中国軍の活動の活発化アメリカ軍との偶発的な衝突への懸念があり、今回の中国の行動によって今後、アメリカとの摩擦が強まる可能性もあります。(NHK News Web http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161217/k10010810301000.html)

まず「活発化」とは好ましい意味で使うときの言葉です。悪い好ましくない場合に使うときは「過激化」、「挑発」です。「活発化」という文言を使用する時点で、NHKは「中国様の軍が活発化」と喜んで表記していることになります。

また「アメリカ軍との偶発的な衝突への懸念」とありますが、正しくは「期待」です。今米国はシナと戦争をするときに使うための「口実」を探しています。国際法では侵略戦争が違法化されているため、どの国も「自衛戦争」の範囲内で戦争をしなければなりません。

イラク戦争のときは、イラクに米国の脅威となる「大量破壊兵器」があるとの予測で「個別的自衛権」を発動させイラク戦争を行いました。

このように何か米国がシナと戦争するきっかけの口実を収集する一貫として、今回のような事例は米軍にとって好ましいことです。なぜなら今回奪われたのは軍事機密が漏れない単なるありふれた機械であり、日本の民間でも所有しているようなものだからです。米軍からしたら奪われたこと自体は痛くも痒くもない。むしろ、戦争をやるときの口実が1つ手に入ったことは米軍にとっては成果です。

とはいっても、これからトランプ政権になることによって今回のような口実すら不要になりつつあります。

トランプ政権で国務省No.1の国務長官はエクソンモービルのCEOになりますが、No.2の国務副長官はジョン・ボルトン氏が着任します。

ジョン・ボルトン氏は、ブッシュ政権において国務省No.3の国務次官を務めていましたが、今回はワンランク昇格してNo.2の国務副長官です。ジョン・ボルトン氏は国務省の生え抜きなので事実上事務方トップとして国務長官をサポートします。

ボルトン氏は単なる「予測」で自衛戦争を始めます。イラク戦争のときも、イラクに大量破壊兵器があるかどうか確信が持てないが、「あるかどうかわからないならとりあえず空爆でしょ」と、イラク戦争を始めるきっかけをつくった素晴らしいお方です。

オバマ政権の間は今回のような鹵獲事件があっても戦争しないでしょう。米軍が戦争をやりたくても、軍の最高司令官であるオバマ大統領があれでは戦争を決断するはずがありません。ただこのように一つ一つ「口実」を収集しておけば、米軍はその口実をトランプ政権に引き継げます。そういった意味では今回の事件は日米にとって好ましいものです。