合区解消は憲法改正で対応することが決定 抱き合わせ販売で改憲

現在参議院の島根・鳥取選挙区などで合区になっていますが、合区を解消するための方向性を年内に決定するとしていた自民党が方針を決定したようです。

年内に合区解消の手段を決定すると明言してた二階幹事長

二階幹事長は年内の合区解消の手段を決定すると明言していました。二階幹事長のすごいところは期限を切ってやると言ったら本当にやってしまうことです。

安倍首相が3期9年自民党総裁を務めることができるように自民党総裁任期延長をする議論も「年内に結論を出す」と明言して、高村副総裁が3期9年か制限撤廃かを選ぶところまで行きました。

 憲法14条の法の下の平等に反している

普通選挙と秘密選挙は憲法上明記されていますが、平等選挙は憲法14条の解釈から間接的に導出されています。よって一票の格差があることが14条の法の下の平等に反するから違憲状態という判示が頻発しているわけです。

米国上院の1州2議席のように、日本国憲法に都道府県最低1議席と明記すれば合憲になる

とはいっても一票の格差が起こってもかまわないと憲法上に明記してしまえば一票の格差があっても合憲になります。

例えば米国の合衆国憲法17条では、上院は各州から2人ずつと第1節に明記されています。

同様に日本国憲法でも参議院は各都道府県から最低でも1議席ずつ選ぶことと明記してしまえば一票の格差の問題は起きようがないということです。

憲法改正をしないで合区解消をする方法は自民党に不利

憲法改正をせずに合区を解消する方法はあります。それは参議院議員定数を増やしてしまうことです。今のように格差が生じてしまうのは議席数が少なすぎるために起こります。

幸い参議院本会議場は800議席ほどのキャパシティがあります。なら現在の242議席の3倍程度に増やしても着席できるわけです。

さらに言えばイギリスの議会は全員が着席できるだけのキャパシティがありません。議会は別に議員全員が着席できなくてもいいのです。

なら国会議員の数を増やしてしまえば一票の格差は簡単に解消できます。一票の格差が5倍あるのなら、鳥取県の1議席に対して5倍不利になっている自治体の議席数を5倍にしてしまえばいいだけだからです。

 

この方法にはデメリットがあります。国会議員の数を増やしてその代わり国会議員一人あたりの報酬額を引き下げれば全体として経費は抑えられますが、国会議員の報酬を下げることは大変難しいです。なぜなら報酬を下げるためには法改正が必要であり、その法改正を通す権限をもつのは紛れもない国会議員本人だからです。自分の収入を減らすことに同意する人なんて官民問わずそうそう居るものではありません。

だから議員定数を増やすことイコール歳出を増やすということです。そのようなことでは国民の反発間違いなしなので事実上やりづらい解決手段だと言えます。

さらにもう一つ自民党にデメリットがあり、合区になるような地域はそもそも自民党が強い地域が多いので、そのような地域の1票が強ければ強いほど自民党にとってはプラスなのです。

1票の格差が完全に是正されると、東京などの都市圏などの議席数が増えることになりますが、それは逆に弱小政党に有利であり、自民党のような一強政党にとっては不利になります。

このようなことから、改憲なしで一票の格差を是正することは自民党にとって不利なので実施されないでしょう。

憲法改正の方が抱き合わせ販売で他の事項も一緒に改憲しやすくなる

憲法改正は大事業なので細かいことをいちいち一個ずつ改正なんてしません。問題点をある程度まとめてから全部入りで一気に改正するものです。発議から国民投票までの周知期間でさえ180日間もある上に、国民投票にかかる予算もばかになりませんからちょくちょく改正せずに一気に改正する類のものです。

だから合区解消のために都道府県ごとに最低1議席と憲法に明記する改正をするのなら、その他の改正が求められている事項も一緒に押し込んで改正するのが普通です。

これが憲法9条の改正を目指す自民党にとってこの上ないメリットであり、緊急事態条項など他の項目も入れて一気に改正に持っていくために合区解消はもってこいの案件です。

憲法改正できないのなら合区は解消できない。「憲法改正に反対するのならずっと合区のままでいいんですね?」というさすが自民党と言えるなかなかの強かな手段です。私は自民党のこの方針を支持します。