この記事を書いている現時点では2016年7月10日投開票の選挙期間中です。
自民党が勝てば株価が上がるのは当然なので、私としては自民党候補者全員当選レベルに圧勝してほしいわけですが、そのような応援活動に該当するブログ記事が法令でどのような規制を受けているかについてサーベイしてまとめてみました。
ネット選挙というが事実上Web選挙
インターネット等を使った選挙活動が解禁されましたが、インターネットを利用する技術はWebに限りません。電子メールもそうですし、独自なアプリケーションレベルのプロトコルでネットワーク接続を行うソフトウェアもインターネットを使った技術です。
結局のところ、法令で容認されている選挙活動はWebのみといっていいでしょう。
電子メールの送信がだめなのは有名な話ですが、この前電車の中で大学生くらいの女性が「今友達から~党に一票よろしくとメールきた。ほんとうざい。」と一緒に電車に乗っていた女性に話していました。このときはすでに期日前投票もできる選挙期間です。
これはどうみてもアウトだと私は思ったのですが、メールの送信者は一応友達だから友達としてのメールの範囲内ということにでもしてるのでしょうか?電車の中で他人の会話をきいただけなので私はスルーしましたが、もし私がそのようなメールを受け取ったら即行政機関に通報しています。
選挙期間以外のときに応援記事を書いてはダメ よって投票日もダメ
ネット選挙でも事前運動は禁止されているので、公示日前にブログで「自民党候補の山田宏に投票してください」、と書いたらアウトです。
そして選挙期間は投開票日の前日までなので、投開票日当日に「自民党の今井絵理子に投票してください」と書いたらアウトです。
公示日から投開票日の前日までが選挙期間なので、その間にだけブログなどを更新する必要があります。
応援記事は書いたら後で消さなくてOK
これは私も気になっていたんですが、選挙の応援記事を書いて、投票日が来たら消さなくてはだめなのか?というと消さなくてOKです。これは総務省の公式WebページのQ&Aにあります。
参考 選挙期日の翌日以降の取扱い
ウェブサイト等に掲載した選挙運動用文書図画を選挙期日の翌日以降もそのままにしておくことについては、以下の理由から、基本的には、次の選挙の事前運動の禁止(公職選挙法第129条)に抵触することは考えにくいです。
- ウェブサイト等に掲載された選挙運動用文書図画には、特定の選挙における特定の公職の候補者等に関する内容が記載されていることが多いと考えられること
- 選挙期日以降もそのままにしておいた選挙運動用ウェブサイト等については、選挙期日後新たな文書図画の頒布が行われたとは言い難いこと
つまり自民党に投票してくださいとか、今井絵理子に投票してくださいとか書いた記事は、選挙期間後もそのままでいいってことです。つまり投開票日がきてもそのままでOKです。
やってはいけないのは更新することです。投開票日に新たに記事をアップするのはだめだってことです。
そう考えると、自民党に投票してくださいとか、青山繁晴に投票してくださいと書けるチャンスがあるのは選挙期間中というわずか2週間ほどだけということになります。レア期間です。
選挙が終わったら次の選挙期間まで、自民党に投票してくださいと書けないわけですから、どうせならこの選挙期間中に大量に記事を量産しておく
自分で広告は出しちゃダメ ただし他人の広告を掲載するのはOK
選挙の広告を出せるのは政党のみです。たとえば自民党が広告料を支払って、テレビのCM、Google AdWordsでキーワードごとに自民党の広告を出すのはOKです。
ただし、政党ではない単なる一個人が広告を出すのはダメです。
例えば私が自民党への投票を呼びかける選挙活動サイトを作っていたとして、そのサイトを宣伝したいがために広告を出稿するのはダメです。
一方で、私がつくった自民党応援のサイトにAdsenseのようなWeb広告を貼るのはOKです。なぜなら私のサイトに表示される広告は私が出稿したものではないからです。
自民党などの政党が出稿した広告なので、それが表示されるのは何の問題もないばかりか、むしろ自民党などの政党がありとあらゆるWebサイトで広告を表示してほしいから出稿してるわけなので、広告を表示しちゃダメとなったら自民党がわざわざ広告を出稿する意味がありません。
自分のサイトへ誘導するために広告を出稿しちゃダメ、他人が出稿した広告を表示するのはOKということです。
メールアドレスの表示かコンタクトフォームを付けておく
ネット選挙活動をするには連絡を取る手段を示しておかなければなりません。
最も簡単なのはメールアドレスを記載すること。でもメールアドレスを記載したらスパムメールが大量にくること間違いなしなのでスマートな方法ではありません。
ブログを含めたWebサイトならいい方法があります。ここでも総務省の公式見解を引用します。
参考 電子メールアドレス等の具体例
例としては、電子メールアドレスのほか、返信用フォームのURL、ツイッターのユーザー名が挙げられ、その者に直接連絡が取れるものである必要がありま す。したがって、掲示板等に書き込む際に名乗るニックネームであるハンドルネームのみの記載では認められませんが、そこに張られたリンク先のウェブサイト に連絡先情報が記載されている場合には、表示義務を果たしていると考えられます。
返信用フォームのURLと書いてあるので、つまり連絡用フォームを設置することでもOKだということです。Twitterならユーザー名さえわかればリプライを飛ばせるので、Twitterで呼びかける人は特に対策する必要はありません。
ブログなどのWebサイトで選挙活動をやりたいのなら、例えばWordpressなら「Contact Form 7」という日本人作成ながら全世界で100万ダウンロード以上を獲得しているくらいの著名なプラグインがありますので、これを導入するだけで「電子メールアドレス等」を表示したことになります。
このプラグインはIPアドレスの記録もできます。悪意のある人が迷惑投稿をしてくるかもしれないので、IPアドレスをしっかり通知する設定にして、GoogleのreCAPTCHAも設定して迷惑投稿率を減らす工夫をしましょう。
以上が法令の話 ではAdsenseのポリシーではどうか
Adsenseでは政治ネタのブログを書くことは許可されています。選挙活動ネタのブログでもAdsenseを貼るのはOKです。
ですが、他の政党を誹謗中傷するようなことを書いたらポリシー違反になります。これは選挙期間中か否かに関係ありません。特定の政党や特定の政治家について批判するようなサイトにはAdsenseは貼らないほうがいいです。
ではどうすればいいかというと、自分が支持してる政党を徹底的に応援することだけで記事を書けばいいのです。
つまり、他の政党をおとしめて自民党を応援するのではなく、他の政党の存在に一切触れずにひたすら自民党を応援する記事だけにします。
「自民党が大勝すれば株価があがる」
「TPPを批准してGDPを底上げできるのは自民党しかない」
「自民党が大勝して憲法9条改正できれば正規軍ができて軍需企業の株価が3倍になる」
「防衛費は対GDP比で決まるから、GDPが増えれば自然と防衛を強化できる」
「株価が上がれば年金支給額も増える。株の比率を高めて年金運用するのは自民党だけ。」
のように徹底的に自民党だけに焦点をしぼって応援していれば他の政党への誹謗中傷なんて発生しようがありません。むしろ日本には自民党しかなくて他の政党なんてあったっけ?くらいの勢いで他の政党の存在を忘れてしまったほうがまともな応援になります。自分が応援してない政党の名前は一切出さないくらいがちょうどいいです。
政党以外で例えるなら、他人をおとしめて自分の価値を相対的に上げようとするのはダメだってことです。自分はなにも価値があがってないのに、他人の価値を下げることで相対的に自分の価値をあげるのは褒められたことではありません。
そんなことはせずに、自分の絶対的な価値を高める方向にもっていけば他人が何をしていようが関係ありません。
ネット選挙での政党の応援もそのようにしておけばAdsenseでもポリシー違反になりません。
自分が応援したい政党をひたすら正の方向に持ち上げていくということです。他の政党の負を持ちだしてはいけません。他の政党の負を持ちだして応援するのはダメです。
まとめ
メールはだめ。ブログはOK。自民党や青山繁晴に一票を!のようなものは選挙期間中のみ更新。投開票日当日は更新しちゃだめ。書いた記事は選挙後に放置したままでも合法(総務省の公式見解)。Adsenseを貼りたいなら他の政党に一切触れずに、自民党の名前のみをだして自民党だけに言及する形で応援する。他の政党をおとしめて相対的に自民党を応援するという記事の書き方ではAdsenseのポリシー違反になる。