これには何の科学的根拠もなく私個人の予測に過ぎませんが、2017年5月4日金曜日まではマクロン有利、ルペン不利で誰もがマクロン勝利を確信している状態が続きます。
そして5月5日土曜日に大きな転換点を迎えると予測できます。日本の連休に入ってしまうと株式を始めとした金融商品は売却できませんから、投資家にとって不利な状況というのはこのようなときにやってくるものです。
高止まりする日経平均株価とS&P500、低すぎる恐怖指数が微増しつつある
最近の金融市場が不気味なのは、株価が明らかに高すぎることです。ずっと右肩上がりならいいのですが、そこまで堅調ではありません。ずっと張り付いて横ばいを続けており、またマクロン氏が1位で勝利した直後から一気に恐怖指数が下がったことも恐い点です。
恐怖指数が下がりきっている状態は文字通り「嵐の前の静けさ」であり、リーマンショック前は恐怖指数が極めて低かった事実があります。そしてリーマンショックが近づくにつれて少しずつ恐怖指数が上昇していきました。
今回は5月1日月曜日の週が始まってから少しずつ恐怖指数が上がり始めています。こういう安堵感で溢れている時期は逆に警戒すべきです。
ルペンが勝利するとユーロ安となり短期的には日本企業は厳しくなる
マリーヌ・ルペン氏は、直ちにはユーロ離脱はしないとして、ユーロ残留を望む層を引き留めようとしています。しかし、ルペン大統領が誕生したら任期中に離脱することは確実です。フランスは大統領の権限が強い中央集権的な国であり、米国大統領よりも一国の中での権限集中度合いは比較にならないほどフランス大統領の権限は大きいです。
ユーロ安になれば当然それで喜ぶのはドイツであり、逆に日本企業にとっては苦しい状況になります。ルペン大統領が誕生すると短期的にみれば日本株にとって良い影響はないでしょう。もし買うなら米国株や米国リートなどのドル建て資産に置いておくべきです。
長期的にはルペン勝利は日本と米国の利益になる
ルペンが勝利すればフランスがEU離脱へ向かいます。フランスが離脱するとイギリスに続いて強国がEUから離脱することになるため、ユーロは安くなり一時的にはドイツは通貨安による輸出増の恩恵を受けます。
しかし、イギリスとフランスなきEUに価値を見いだせず離脱する国が増えてくるでしょう。離脱が相次げばユーロを維持できず、欧州中央銀行の金融政策裁量を各国に戻しユーロを廃止することになります。
そうするとドイツはマルクに戻ることになり、ドイツは日本と同じ純債権国であり経常収支も黒字なのでマルクは強い通貨になります。こうなるとドイツのマルクは日本円と同じ状況になります。つまりドイツマルク高でドイツ企業が置かれる環境が悪くなり、ドイツと産業構造がまるかぶりしている日本企業にとって追い風となるわけです。
このような「欧州の不幸は日本の利益」といった構図は第一次世界大戦の戦争特需のときから変わっていません。
当サイトで何度も言及していますが、欧州のコンプレックスは「ロシアの軍事的脅威」と「日米に世界経済の主導権を握られていること」の2つです。
欧州は日本とロシアの戦争を期待しています。ロシアも日本も弱体化すれば、相対的に浮上するのは欧州だからです。
また欧州は日本とシナ、米国とシナとの戦争も期待しています。日本と米国とシナが戦争で弱体化すれば、相対的に浮上するのは欧州だからです。
欧州各国は日米経済圏に対抗するためにEUを組織したと言えます。それが瓦解してくれれば日米にとっては歓迎すべき話です。
もしマリーヌ・ルペンが大統領になったら短期的には株価は下がり、多くの日本人はネガティブイベントとして捉えるでしょう。しかしそれは短期的であり、イギリスのEU離脱もトランプ大統領誕生も長期的にみれば日本にとって好ましいことです。
結局のところ、私のように株をこの先も売却するつもりがなく、毎月の可処分所得のうち余った金の置き場所として株を買い付けて配当金目当てで持っている人なら何もやる必要はありません。
一方で、収入が低くその低年収を株式の売買でカバーするために短期的売買をしている人は、今回のフランス大統領選挙を重く見たほうがいいと思います。