2018年12月30日午前0時からTPPが発効しました。2011年初頭から反対署名運動をやってきた農協グループ職員はお疲れ様です。反対署名の願い叶わず、めでたくTPPが発効したことをお慶び申し上げます。
もはや百姓や農協グループには政治への影響力がなくなりました。影響力があればTPP発効を阻止できたからです。TPP発効を阻止するのは簡単で、単に衆議院と参議院でTPP反対派を過半数にするだけです。そんな簡単なことすらできないほど百姓や農協グループは衰退しました。
「TPPで金融も保険も危ない」というのは「TPPでJAバンクとJA共済が危ない」という農協グループのポジショントーク
TPP脅威論を吹聴するために、農協グループが使った手法は「農業以外の分野でネガティブキャンペーンを張る」というものです。
「TPPで日本の農業がダメになる」と農協グループが騒いだところで、日本人のほとんどは百姓でも農協グループ職員でもないため「そんなこと関係ないし」ということでそっぽを向かれるだけです。
そこで農協グループは「金融が危ない」「国民皆保険制度が消える」という手法を使いました。
しかしこれはすぐ見破られてしまうほど頭の悪い手法でした。
銀行も証券も保険も「金融」です。そもそもこれらの業界はすでに自由化されており、海外と同じ土俵で勝負しています。「金融分野には海外から国内の金融機関を保護する規制がそもそもない」ということです。
反TPPの奴らの主張をよくみてみると、彼らの言う「金融」とは「JAバンク」のことを指しています。単に「TPP発効」→「百姓の所得減少」→「JAバンクの預金残高減少」→「農林中央金庫の運用残高減少」という農協グループにとって不利なことについて、「TPPで金融が危ない」とあたかも一般的な金融機関にも当てはまるかのような「嘘」を農協グループが主張していたということです。
JA共済のピンチを国民皆保険制度のピンチにすり替えようとしたが失敗した農林中央金庫
さらに、農協グループは「国民皆保険制度もあぶない」持ち出しますが、「国民皆保険制度はTPPの範囲外」というのはTPP交渉入り前からわかっていたことでした。TPPの妥結内容をみてもどこにも「国民皆保険制度を廃止」なんて文言はありません。
これは「JA共済もあぶない」ということを、農林中央金庫が「国民皆保険制度もあぶない」とすり替えてネガティブキャンペーンをしていただけです。
国民皆保険制度と共済制度は全くの別物です。単に「TPPでJA共済が危ない」と農協グループが訴えたところで、国民からは「農協身内だけの話だろ」と相手にしてもらえません。
そこで「保険」の漢字2文字が入ってることを利用し「JA共済の危機」を「国民皆保険制度の危機」にすり替えようとしたわけです。しかしそれも失敗しました。
JA共済の掛け金は農林中央金庫が運用しています。「TPP発効」→「日本の農業が衰退」→「農協の収入源減少」→「JA共済は危ないのではないか」ということからJA共済加入者が減ってしまうため、農協グループはTPPに強硬に反対していたということです。
なぜJAバンクやJA共済や農林中央金庫がこういった反TPPの急先鋒になるのかといえば、それは農協グループは金融事業によって支えられているからです。本来の機能は赤字であり、銀行や保険、そして運用といった分野が倒れてしまったら農協グループ全体が倒れることを意味します。
結局のところ、TPPや日欧EPAで死ぬことになるのは百姓と農協グループ職員だけであり、他の業界で生活してる人にとっては全く無害どころかむしろ所得を増やす効果がある「プラスしかない」条約です。
TPP反対署名運動は賛成派からみれば反対派を馬鹿にする格好の材料
TPPのみならずJA全中一般社団法人化のときもそうでしたが、農協は闘い方が下手糞です。
TPP反対署名運動なんかしてそれがTPP妥結阻止に繋がると本気で思っていたようです。
反対署名運動なんかしてる時点で負けが確定しているようなものです。
最近は沖縄の辺野古工事反対派が署名運動をしていましたが、そんなもので工事が中止になると信じている人は禁治産者くらいなものでしょう。確実に辺野古工事は完了します。
反対署名運動をするところまで追い込まれている時点で、農協グループは「負け」が確定していました。2011年初頭でそれは確定していたわけです。
反対署名運動なんかしても、将来的にTPPが発効したら「農協グループはTPP反対署名運動を昔やっていた馬鹿だ」と賛成派から馬鹿にされる格好の材料を与えるだけです。
また、「聖域なき関税撤廃を前提とする限り、TPPには参加しない」という政権公約を掲げた自民党を支持して2012年衆院選で自民党を大勝させたことを「致命的な過ちだった」と後悔している農協グループの馬鹿っぷりも笑えます。
「聖域なき関税撤廃」を要求するなんてTPPの綱領のどこにも書いてありませんでした。つまり「聖域なき関税撤廃を前提とするならば」という前提は絶対に成立しない前提だったのです。最初から自民党はTPPに参加する腹積もりでした。政治がわかってればそんなこと見抜けますが、農協グループにはそれを見抜く人材がいなかったようです。以後2013年参院選から農協グループは反自民の投票行動になっていますが、結局農協グループは一度も勝てず、安倍政権が国政選挙で5連勝しTPP発効に至りました。
このようなことは少し先を読む力があれば簡単にわかることです。
将来性のない農協グループに就職してしまった時点で、TPPを阻止したり自民党に物言える優秀な人材はそもそも農協グループに期待できないといったところでしょう。