カナダがTPP11反対から一転して合意したのは「カナダ政府は頑張った」という自国民へのパフォーマンス 大筋合意することは既定事項であり出来レースだった

カナダのTPP交渉担当閣僚が2017年11月10日に「大筋合意していない」とTwitterに書き込んだことで、日本の農民や農協グループ職員が「TPPはお流れになる」と大歓喜でしたが、これはカナダのパフォーマンスに過ぎませんでした。

AFPニュースが今回の詳細に伝えています。

【11月11日 AFP】カナダのフランソワフィリップ・シャンパーニュ(Francois-Philippe Champagne)国際貿易相は11日朝、環太平洋連携協定(TPP)の交渉で「大きな進展」があったとツイッター(Twitter)に投稿し、参加国の間で大筋合意に達したことを明らかにした

シャンパーニュ国際貿易相は同じツイートの中で、カナダ政府は労働や環境分野で厳しい条項を求める粘り強い交渉の末に大筋で同意したという同国政府の声明へのリンクもシェアした

これらの条項は米国が今年に入ってTPPからの離脱を表明したことによって実現が危ぶまれていた。米国の離脱を受け、残されたTPP参加11か国はTPPの利点を再確認することを強いられた。

アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれるベトナム中部ダナン(Danang)で数日前から行われていたTPP交渉は11日朝、大きく進展した

カナダ政府の声明は、「カナダにとって未解決の問題はまだ多い」が、環境・労働保護がより自由な市場と結び付けられた「新しい合意」を歓迎するとしている。カナダはこれらの問題についての立場を固守していた。

「TPPで大筋合意」、カナダ国際貿易相
【11月11日 AFP】カナダのフランソワフィリップ・シャンパーニュ(Francois-Philippe Champagne)国際貿易相は11日朝、環太平洋連携協定(TPP)の交渉で「大きな進展」があったとツイッター(Twitter)に投稿...

結局はカナダもTPP11には合意したかったわけです。しかし1日だけ遅らせることでカナダの断固たる姿勢をカナダ国民に示し、またNAFTA交渉で米国に対峙するための米国へのメッセージにもなりました。

このように途中で足並みを乱して、最後は合意するつもりでいるというこの戦術はTPP交渉において当時のフロマンUSTR代表もやってきたことです。

そのことを見抜けずに、カナダの反旗を真に受けて歓喜に浸っていた農民や農協グループの職員は本当に馬鹿だと思います。

さすが2012年衆院選の自民党の選挙公約「聖域なき関税撤廃を前提とするかぎりTPPには参加しない」を真に受けて農協グループ一同が自民党に投票してしまっただけあります。その嘘に気づいて2013年参院選では自民党を支持しませんでしたが、結果的に自民党が大勝。何度戦略ミスを繰り返しても学習能力がないところはさすが馬鹿だと言えるでしょう。