自民党にとって選挙においてとても不利になる配偶者控除廃止について見送りが濃厚になってきました。
税制というのはほぼ毎年改正されているので、そんなに急ぐ必要があるものではありません。
もし今やってる2016年の臨時会で配偶者控除廃止が可決されれば、さっそく来年1月から新税制が適用されるので、平成29年度税制から配偶者控除が廃止される予定でした。
ですがそれを一年先延ばしして、平成30年1月からの適用になりそうです。
そもそも配偶者控除廃止のような不人気物件は選挙前に扱うようなものではない
政策には国民からの支持率が高い人気政策と不人気政策とがありますが、配偶者控除廃止は特に不人気な政策です。
というのも、家でゆっくりしたい専業主婦には配偶者控除廃止はデメリットしかないからです。
専業主婦層というのは政治的関心が働いている女性よりも高いです。
仕事をしていると普段の仕事の悩みやストレスなどで、政治という非常に遠い世界のことより、目の前の職場の人間関係のことに意識が傾きます。
ですが専業主婦をやっていると非常に強く政治に関心を持つため、政治的な意見をしっかり持っており、しかも必ず選挙に行くため専業主婦層の世論は無視できないのです。
特に専業主婦層はそもそも自民党支持率がとても低く、配偶者控除廃止でさらに支持率を下げることになると、もう時期あると考えられている衆院選では有利に働きません。
よって配偶者控除廃止のようなきわめてシビアな問題は、選挙間近の時期に議論すべきものではなく、2年半くらい国政選挙がないなどのフリーハンドが確保できる期間中にすべきものです。
税制は毎年変わっているので配偶者控除廃止のチャンスは毎年ある
税制は毎年変わっています。だから何も配偶者控除廃止を急ぐことはないのです。
もし仮に今行われている2016年臨時会で可決成立すれば来年1月~12月の課税期間から配偶者控除が廃止になるので、たしかに効果はすぐ現れてきます。
でもそれが1年先延ばしになって平成30年1月からになってもそこまで大きな違いはありません。子供のような幼少期にとっては1年は大きいですが、すでに婚姻関係にある人はたいてい高齢ですから1年の差はささいな問題です。
だから必要であっても不人気政策の共謀罪と同じで、配偶者控除廃止も必要な政策であることは間違いないですが、あえて急いで議論せずに先送りするのが自民党にとって得策です。選挙で負けてしまったら元も子もありません。自民党が選挙で大勝することが最も重要なことです。
部分的に適用範囲をひろげるといった中途半端なことをせず、思い切って今回の臨時会では何もしないというのが最適戦略です。