日米FTAに反対してくれる民進党共産党しか頼れる政党がない農協グループ

私は日米FTA賛成論者です。賛成どころか超ゴリ押しの日米FTA推進強硬論者といってもいいかもしれません。

私はTPPにも賛成してきましたが、日米FTAの方がさらに賛成できます。なぜならTPPよりも効果的に農協を潰せるからです。

私が去年(2016年)の11月に書いたトランプ氏が二国間自由貿易協定を表明 日米FTAはTPPよりも農協に打撃という記事が注目されているのですが、この記事は私の「農協廃止論者」としての意見は書かず単に客観的事実のみを書いた記事でした。

そのため農協廃止論としての色が薄かったことで、「農協グループを擁護するために日米FTAに警鐘を鳴らしている記事」と捉えた人が結構いたようです。

当サイトを普段からご覧になっている方ならわかると思いますが、私はTPP・日米FTAを支持しており、さらにかなり強硬的な農協法廃止論者です。

なぜなら農「業」というのは潜在力のある成長分野であり、個人農家・農「協」ではなく会社たる企業によって集約的に農業を任せることによって、自動車産業レベルで強い産業に育つからです。日本の自動車産業は米国を含めた海外から脅威とされていますが、日本の農「業」も、個人農家・農「協」ではなく企業が行うことで、海外から「日本の農品目には勝てない」というレベルまで成長力を強化できる潜在力があるということです。

これは安倍首相も同意見です。

テレビ東京23時からの番組WBSの大江麻理子アナウンサーによる安倍首相に対する単独インタビューにてそれは顕著でした。テレビ東京は日経新聞と提携しているだけあって農協グループ廃止に賛成しています。

しかし、ひょっとしたら改革が骨抜きで終わってしまうのではないかという危惧がその当時あり、大江麻理子アナウンサーが安倍首相に対して「JA全中の廃止が単なる看板の付け替えで終わってしまうのではないかという懸念がでていますがどうなのでしょうか?」と質問したところ、

「いままで私より以前の総理大臣で、自民党総裁として農協改革に踏み込めた人はただ1人、ただ1人としていなかったんです。中央会としてのJA全中は”必ず”廃止します」と語気を強めて安倍首相は回答していました。安倍首相の言葉通りその年に、JA全中の監査権限の根拠となっていた条文を廃止して、JA全中を農協法に根拠権限を持たない単なる一般社団法人にするための法律が成立しました。一般社団法人とは自然人が2人いればたとえニートでも設立できてしまいます。そのくらい弱い組織にJA全中がなってしまうことが確定しました。

このように安倍首相は「内政」の面から農協を廃止しにかかっています。ですがさらに早く効果的に実施するため、TPPや日米FTAといった米国からの「外圧」も使って効果的に農協グループを潰して、会社たる企業に集約的に農業を任せることで日本の農業を復活させ、自動車産業レベルの強力な産業に育てようとしているわけです。

日米FTAでは国民皆保険制度が廃止されるといった「嘘」はもはや通用しない

トランプ政権が要求しているのは「自由貿易協定」です。自由貿易協定を英語で言うとFTAになります。そしてTPPのような「経済連携協定」は英語で言うとEPAですが、トランプ政権は一言も「経済連携協定」と言っていません。経済連携協定は他国から移民が入ってくる口実となり得るため米国としても嫌なのでしょう。

つまり日米FTAの対象は物品やサービス関税だけです。これは米国から入ってくる農品目と、米国へ輸出する日本車。主な論点はこれだけです。

著作権や医薬品の特許権などの知的財産権の保護についてはEPAで扱うものです。だからこそTPPでは議論されていましたが、著作権・特許権などの知的財産権の保護期間については日米ともに現状維持したいのが本音だから問題になりません。TPPは新興国が入っていたからこそ、「知的財産権期間を短縮しろ」と新興国から言われてきたわけであって、先進国同士の日米FTAなら何の問題もありません。

また当然ながら、日米FTAでも健康保険のような国民皆保険制度が問題となることはありません。TPPですら交渉に入る前に、国民皆保険制度が対象にならないという条項を確認してから日本は交渉入りしたわけですから、ましてや日米FTAのようなTPPより自由化範囲の狭い協定でそんなのが議題に上るはずがありません。

重要なことは、自由化の対象になるものはTPPよりも日米FTAの方が少ないですが、切り込まれる自由化度は圧倒的に日米FTAの方がTPPよりも日本にとって厳しいことになります。つまりTPPでは農品目も知財も軽症で済みますが、日米FTAでは知財は無傷な代わりに、農品目が重症レベルで自由化を求められるということです。

TPPでは医療関係者、さらには著作権がらみで作家なども騒いでいたため混戦の様相でしたが、今回騒ぐのは農協グループと自動車メーカーくらいなので論点がすっきりします。

そして農協グループは農業について騒いでるだけでは「結局農協が自分の都合で反対してるだけだろ」と国民にそっぽをむかれるので、国民の感心をできるだけ集めるためにTPPと何の関係もない「金融」の2文字を持ち出して反対論を繰り広げていました。

「金融も危ない」と嘘の捏造喧伝をしていましたが、このような「嘘」や「捏造」はもはや日米FTAでは通用しません。なぜなら既に金融分野は完全に米国と同じ土俵で戦っているからです。金融分野を米国から守る障壁なんて何もありません。むしろ米国の国内法であるドッド=フランク法ですら日本の金融機関が米国にあわせて対応していたレベルです。

TPPに猛反対していた農協グループの人間に「あんたらが脅威を煽ってる『TPPで金融も危ない』って具体的に何なの?」ときいたところで何も言い返せないのが現実です。

つまり農協グループは、農業で文句を言うだけだと一般国民の支持感心が集められないから、とりあえず「金融」だとか他の分野をやり玉にあげて嘘の経済連携協定反対論を繰り広げていましたが、日米FTAではもはやそんな嘘は通用しないということです。

焦点は農品目と自動車という物品になります。農品目と自動車は知財や投資と違って具体的に目に見えるものですし、これほど国民にわかりやすいものはありません。

日米FTAなら自動車メーカー v.s. 農協グループといった二項対立で国民に説明がしやすく国会議員としても楽でしょう。つまり稼ぎ頭の自動車メーカーが苦労するか、農協グループが苦労するか、その綱引きをするのが日米FTAだということです。

農協グループに強力な援軍登場
自民党より古い歴史を持つ名門中の名門政党、日本共産党がまず最初に日米FTAへの「断固反対」を表明

国政政党のうち真っ先に日米FTAにケチをつけ始めたのがあの共産党です。

共産党の小池晃書記局長は30日の記者会見で、トランプ米大統領が求める日本と2国間の自由貿易協定について、「日本側にさらなる譲歩を求める狙いがはっきりしている」として、日本政府に対し、交渉に応じないよう求めた

小池氏は、トランプ氏が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)から「永遠に離脱」すると表明したことを踏まえ「TPPより、もっと米国の要求を突きつけようという姿勢がみえる」と指摘。(産経新聞2017年1月30日 http://www.sankei.com/politics/news/170130/plt1701300041-n1.html)

TPPより日米FTAの方が厳しい内容になることは共産党でも認めています。

自民党が農協グループの味方をしてくれるならまだわかりますが、もはや農協の立場に立ってくれるのが共産党のような政党しかないという時点で哀れみしかありません。

共産党は特定秘密保護法にも反対、集団的自衛権行使のための安保法制にも反対、カジノ推進法にも反対してきましたが、すべて共産党の思い通りに行かない「負け」結果となっています。

つまり共産党は池上彰と同じで「逆神」なわけです。池上彰がゴリ押しすると凋落するように、日本共産党がくっついた側も必ず「負け」ます。

はたして日本共産党が味方になってくれた農協グループが「勝ち馬」となれるのかどうかとても楽しみです。

農協グループにさらに強力な助っ人が登場
高止まりする安倍内閣支持率の最大の功労者、蓮舫代表率いるあの民進党が日米FTAへの「断固反対」を表明

日本共産党に続いて、農協グループにとってさらに強力な助っ人が登場しました。

あの蓮舫代表率いる民進党です。安倍内閣が高支持率を維持している最大の貢献者は菅官房長官などではなく、まさに民進党の蓮舫代表だということは自民党幹部も認めています。

足元に火がつく蓮舫氏。自民党幹部は皮肉交じりにこう“エール”を送る。

なんとか蓮舫氏に踏みとどまってほしい。このまま次の衆院選に突入するのがベストシナリオだから」(産経新聞2017年1月30日 http://www.sankei.com/politics/news/170130/plt1701300005-n2.html)

農協グループは民主党政権下の2010年頃、TPP交渉参加しようとしていた民主党に不満を募らせて2012年12月の衆院選では「聖域なき関税撤廃を前提とする限り、TPPには参加しない」自民党を支持して自民大勝に大きく貢献しました。

そしたら自民党は早速TPPに交渉参加、トランプ政権がTPPを破棄した後も、トランプ大統領が明言した日米FTA推進について安倍首相は「日米FTAも選択肢の一つ」と容認する姿勢を見せています。

そこで民進党の援軍です。

10日の日米首脳会談では相手の土俵に乗るべきでない。トランプ氏が2国間の貿易協定を提案したら留保すると明言してほしい

民進党の大串博志政調会長は1日の衆院予算委員会で、安倍晋三首相にこう要求した。首相が昨年TPPの承認手続きを進めたことには、トランプ氏からTPP以上の譲歩を迫られる可能性を危惧してみせた。(産経新聞2017年2月1日 http://www.sankei.com/politics/news/170201/plt1702010041-n1.html)

旧民主党のTPP推進路線が嫌だから自民を支持したのに、再び農協グループが民進党に頼ろうとしているのが笑えます。はたまた日本共産党にすがるしかもう道はないのかというところまで追い詰められています。

現在1強の自民党は日米FTA推進。自民党の補完勢力である日本維新の会にいたっては自民党以上にTPPをゴリ押ししてきた政党なので日米FTAに反対するわけがありません。むしろ自民党より強硬的に日米FTAを支持するでしょう。

次の衆院選で農協グループがどの政党を実質的に支持するのか非常に楽しみです。