所信表明演説は意外と重要 2016年臨時会、安倍首相の意図を分析

2016年9月26日に臨時会が招集されました。

安倍首相が所信表明演説を行いましたが、実はこの演説は単なる形だけのものではなくてものすごく重要です。

社会人として勤務経験のある方なら、新年の挨拶としてその職場の上の方からの所信表明をきいたことがあるでしょう。

この所信表明は単なるありがたいお言葉として言っているわけではなく、本当にその通り実現しようとしているから緻密に言葉を選んで演説内容を作成しているため、その一年間にどのような仕事があるのか占う上で極めて重要なのです。

これは国会でも同じです。所信表明演説は練りに練られて作られているので、首相の意図が完全に織り込まれています。

特に金融機関の市場関係者は注目しているので、しっかりテレビをつけてNHKの国会中継をみています。

チャイナの平和的台頭を歓迎しますのところで水を飲んだ安倍首相

長時間喋ると喉がかわくので演説するときには脇に水が置かれています。

今回安倍首相は演説の途中で水を飲みました。

安倍首相が水を飲んだのは以下のくだりです。

中国の平和的発展を歓迎します。地域の平和と繁栄、世界経済に大きな責任を持つことを、共に自覚し、「戦略的互恵関係」の原則の下、大局的な観点から、関係改善を進めてまいります。

この「中国の平和的発展を歓迎します」の直後に水を飲む準備をはじめました。水差しのフタを空けて自らコップに注いで、ゆっくりたっぷりと飲みます。この間かなりの時間が経過していました。

上文をみてわかるとおり、これはひとかたまりの部分です。「中国の平和的発展を歓迎します。地域の平和と繁栄、~」と普通は続けて読むと想定されているところです。

にもかかわらずあえてこのチャイナの部分に言及するという途中で中途半端にぶつ切りして水を飲んだのは、日本としてはチャイナなんかどうでもいいという安倍首相のメッセージです。

なぜならあえて重要なところで水を飲んだりしません。

例えば今回の演説ではオバマ大統領の広島訪問についても触れられています。

本年、現職の米国大統領として初めて、オバマ大統領による被爆地・広島への訪問が実現しました。唯一の戦争被爆国として、わが国は、「核兵器のない世界」を目指し、国際社会とともに、努力を積み重ねてまいります。

そのくだりの途中で安倍首相が水を飲み始めたらどうでしょうか?このような重要な話の途中でなぜ水を飲む休憩をいれるのかと普通は思われてしまいます。

米国は安倍首相からみて重要な国であるから、チャイナとは根本的に違うわけです。このようなことで安倍首相はチャイナを軽妙に当てこすっています。

女性の活躍、貧困対策が今回は省略

民進党の蓮舫氏が指摘したという産経の記事をみてはじめて気が付きましたが、今回の所信表明演説には「女性の活躍」や「貧困の是正」に関する項目がありませんでした。

実は安倍首相は「女性の活躍」にそこまで力を入れていません。

法律は成立させましたが、単なる努力目標にすぎないわけです。達成できなくても法的な処罰はありません。

とするとなぜ「女性の活躍」を安倍政権発足当初にやりはじめたかというと、南との慰安婦問題を解決する上で優位に立つためです。

国際社会に「日本は女性を尊重し重視している」ということを政策で示すことによって、慰安婦問題のようないわれなきものはそもそもおかしいということを広めるためです。

そして慰安婦問題は解決しました。「完全(最終的)かつ非可逆的に解決した」という文言が入ったように、これはもう「むしかえさない」という意味です。

だから日本政府としてはもう慰安婦問題は終わったことになっています。南の政府としてももう終わったことですが、南の国会が「合意は無効」として空転しているようですがそれは向こうがなんとかすべき話です。慰安婦問題は解決したのです。

だから安倍政権としても「女性の活躍」をわざわざやり続ける理由がなくなりました。だから今回の所信表明演説からはごっそり削除されています。

実は安倍政権は当初「女性の活用」と言っていました。でも「”活用”とはなんだ!道具みたいに扱って失礼じゃないか!」という声があったので”活躍”という言葉に途中から直したようです。私も最初”活用”という言葉をきいたとき、そのような表現を使ったら叩かれるネタになってしまうのではと心配していましたが、案の定そうなってしまったようです。

この”活用”という言葉を当初使っていたことからも分かる通り、安倍内閣は女性の活躍に本気で取り組んでいないということです。むしろ配偶者控除の見直しでもわかるとおり、本来は家で休んでゆっくりしていたい女性もいるのに無理やり働かせる政策に舵を切ろうとしています。

さらに貧困については、NHKをはじめとしたメディアが安倍政権の揚げ足を取ろうと必死にとりあげています。

実は貧困層の所得水準は民主党政権時より上がっています。つまり貧困は是正されています。それ以上に金持ちになった人もいるので、ものすごい金持ちとの格差が広がったのは確かですが、そのような超富裕層はごく一部です。

「民主党政権時より貧困層の所得水準があがってしまっているのに、どのように安倍政権を叩いたらいいのか」と知恵を働かせたのがNHKです。そこで貧困女子高生という架空の役割を捏造し演じてもらうことで、貧困を安倍政権の負の側面として強調しようとしました。

ですがその女子高生は1万円弱もするライブチケットを入手して出かけるという趣味をしており、全く本来の貧困とは程遠いものだと判明したのです。つまりNHKの捏造報道が明るみに出ました。

こういったことから、本当は存在しないのにNHKが必死に存在させようとしている「貧困問題」に所信表明演説で触れる必要は全くなかったのです。

今回も安倍首相は冷たかった南の取扱い

最近ミサイル発射や核実験で国際社会を賑わせているのは「北」ですが、一方で「南」については安倍首相はどう考えているのか。これも所信表明演説に明確に現れており、産経新聞が今年1月に産経抄で分析しています。

まず南の女性大統領が就任した直後の2013年2月の所信表明演説では、「自由や民主主義といった基本的価値と利益を共有する最も重要な隣国」でした。

そして南の大統領は就任直後から日本を世界中に悪く言い回る告げ口外交をしつこく行い、各国から顰蹙をかうようになります。

そして安倍首相の2014年1月の所信表明演説では「自由や民主主義」という文言が削られました。

さらに2015年2月の所信表明演説では「基本的価値と利益の共有」までもが削られました。

日本は米国と同じ、「自由主義」、「民主主義」、「法の支配」という「普遍的価値」を共有している国です。そして建前上は南もその価値観を共有しているとされています。

ですが産経新聞の記者を名誉毀損で起訴したり、とても「普遍的価値」を共有しているとは思えない状況が南で続いていたので首相はこのように所信表明演説の表現を変えてきたわけです。

そして2015年末、産経新聞の元支局長がようやく無罪判決になり、そのごまもなくして慰安婦問題の解決がありました。

それを踏まえての2016年1月の所信表明演説。そこでは「自由主義や民主主義」、「基本的価値を共有」という文言が復活するとおもいきや、

「戦略的利益を共有する」

という表現にとどまっていました。

「戦略的利益を共有」とは、仲の良い友人や仲間ではないけれども、共通の敵や共通の目標があるからとりあえず今は協力的にしておく、くらいの意味です。

つまりチャイナやロシアという共通の敵に対処するために、南は日本の友人とは思えないけれども一応「戦略的利益」として協力しておく。というとてもドライなことが2016年1月の所信表明演説に書かれているのです。

そして今回も「自由や民主主義」、「基本的価値」という文言は復活せず、「戦略的価値を共有する最も重要な隣国」といった表現どまりでした。

戦略的価値というのは協力してチャイナやロシアを押さえ込むということ。特にTHAADミサイル配備にチャイナとロシアが猛反発しているように、THAADミサイルを南に配備することは日本の「戦略的価値」にほかなりません。

「最も重要な隣国」とありますが、そもそも日本の味方になりうる隣国は台湾とフィリピンと南くらいしかありません。

この3つの中では南が一番重要というだけであって、あまり特別視していないことがわかります。

今後も南とはドライな関係をつづけていくという方針が見えた所信表明演説でした。

所信表明演説の前にあった北朝鮮への非難決議 拉致被害者帰還優先で軟弱外交が続く

実は安倍首相が所信表明演説を行う前に北朝鮮への非難決議がありました。その際にも安倍首相が政府代表として応答しましたが、「断固避難する」を繰り返すばかりのいつも通りの対応です。

二階幹事長が「遺憾の意を表明するだけでなく、もっと北がビリッとくるような施策を講じてもらいたい」と注文をつけていましたが、そのビリッとくるようなものは今回もありませんでした。

このような軟弱外交を続ける理由としては拉致被害者が戻ってくるためには強硬手段に出るのは得策ではないと安倍政権は思っているようです。

本当は強硬手段に出たほうがいい気もしますが、政府が軟弱外交で解決できると決断しているなら仕方ありません。

演説冒頭から民進党の蓮舫代表をあてこすった安倍首相

所信表明演説の最初の言葉は「世界一への執念」でした。他にも「世界一」という言葉が多数見受けられます。

これは完全に民進党の蓮舫代表をあてこすっているものです。

もし「2番でもいい」のなら、現状国会の議席数は自民党1位、民進党2位の2番目なわけですからそれで満足なはずです。

それでも国会の議席では1位を民進党が狙おうとしているのは、民進党の狙いは日本を壊滅させることなので、そのためには自分たち=民進党が1位、その他を2位以下にするという必要があるからです。つまり他人に厳しく自分に甘いというよくあるパターンです。

次の衆院選は安倍総裁・二階幹事長と蓮舫代表・野田幹事長のガチバトルになりますから、衆院選の結果がどうなるか、私は今からとても楽しみにしています。