結局は”日本円”に手足を縛られている馬鹿な仮想通貨購入層 株を買えない貧乏人が仮想通貨の餌食に

コインチェックの事件は、金融リテラシに乏しい情弱が引っかかった非常に示唆に富んた事件です。

株式の場合は証券会社が顧客資産を預かっているわけでもなく、ましてや取引所(日本取引所)が顧客資産を預かっているわけでもありません。

株式の場合は顧客の資金を信託銀行が預かっていることは、特に証券決済を知らない人でも聞いたことはあるでしょう。

仮想通貨が異常なのは取引所が顧客資産の預かり業務までやっていることです。これはコインチェックに限らず現在進行系で他の取引所もやっている杜撰な処理です。

なぜそのような杜撰な管理がされているかというと仮想通貨は未熟だからです。従事している人もIT屋だらけでまともに金融知識がありません。株式のように成熟した分野ではないということです。

株式の場合は名義書換を証券保管振替機構という日本取引所が筆頭株主である公的側面が強い企業集中的に実施しています。金融庁職員も出向しており実質的には日本政府の行政機関の機能を民間に委託したようなものです。

実は仮想通貨というのは、このような国の政府が強く絡んだ金融取引を嫌う「無政府主義者」の強い支持を得て拡大してきました。

独立行政法人の証券保管振替機構や、国が公的資金で必ず救済するメガバンクのように、ごく一部の限られた組織だけによって集中的に預金や株式を管理されるのを嫌がる輩が仮想通貨を支持して拡大してきました。

仮想通貨というのは分散システムです。中央集権的な組織を必要としません。ごく一般的なパソコン保有者が計算資源を提供し、「マイニング」といった雀の涙の手数料しか入らないボランティアをやって、取引の決済承認に必要な暗号計算処理をしています。

しかし、その仮想通貨の購入には日本円や米ドルなどの各国の中央銀行が発行した通貨がまず必要です。そうなると日本円やドルをビットコインなどの仮想通貨に替える仕組みが必要です。

それが取引所なわけですが、この取引所は分散システムではありません。東証と大証が業務統合したときにできた日本取引所のように、一部の企業だけが担う「集中システム」です。

結局、”分散”をアイデンティティとして誕生した仮想通貨も、取引所という”集中”的な組織を必要とするという呪縛からは逃れられませんでした。

”分散”システムで運用できるはずの仮想通貨において取引所が必要な理由は先程も記載した通り、仮想通貨を購入するにはまず日本円やドルが必要だからです。各国中央銀行が発行した銀行券を持っていないと何も始まらないため、取引所という”集中”システムを必要とする矛盾を内包していました。日本円や米ドルという各国の中央銀行が発行する”普通の通貨”無しでは仮想通貨は成り立たたず、仮想通貨の保有者は”日本円”の呪縛から逃れることができていません。むしろ強く依存していると言えるでしょう。

まず通貨の価値とはどのように醸成されるのか基本中の基本からみていきます。

通貨は「1.発券銀行が価値を保証」し、「2.利用者がそれを信用」することで初めて価値を持つ

通貨には日本円や米ドルがありますが、これらの紙切れはなぜ価値を持つと言われているのか考えたことはあるでしょうか。

これは金融機関勤めでも回答できる人は少ないでしょう。私が最初にこのことを習ったのは高校生の政治経済の授業です。当然理系大学院を出て社会人になった後でも教わりましたが、こういった重要なことは高校生のうちから知らないと一生知らないまま終わるでしょう。

紙切れである通貨が価値を持つのは、その通貨を発行する発券銀行(日銀)がその通貨の価値を「保証」し、さらに利用する側がその通貨の価値を「信用」しているからです。

この中央銀行による「保証」と、利用者の通貨に対する「信用」両方がなければ通貨は価値を持ちません。片方でも欠けると、それは単なる「紙切れ」です。

日本円の場合は、中央銀行である日銀が日本円の流通量を調節し価値を「保証」しています。

また利用する側も、日本国内の店なら日本円で支払いができますし、納税も日本円で行われています。これは小売店などの日本円を受取る側が「日本円を信用している」から、代金として日本円を受け取っています。紙切れならそんなものは受け取りません。

日本円を支払うことで食品を買える理由は、食品を売っている側が「日本円なら受け取ってもいい」と価値を信用しているからです。

また日本政府が納税を日本円で行っているのも、日本政府が日銀の発行する日本銀行券を「信用」しているからです。

よく勘違いしている人がいるのですが、日本円は日本政府が発行しているのではありません。認可法人という民間会社たる日本銀行が発行しているのが日本円です。日銀は日本政府ではありません。ニュースで「政府・日銀は~」というのが枕詞のように使われていることが多いですが、これは「行政府たる日本政府 and 認可法人である日銀」という意味です。日銀は日本政府の一部ではなく会社なので、「政府と日銀」とわざわざ分けて列挙します。

さらには日銀が株式を発行し上場していることもあまり知られていないようです。日銀は東証第一部の上場会社です。証券口座を持っていて300万円ほどの資金を用意すれば、個人投資家でも日銀の株を好きなタイミングで購入することができ、日銀の株主になることができます。

また日銀で働いている人は日銀のことを「うちの会社は~」と呼びます。このことからも日銀が日本政府でないことはよくわかるでしょう。

別に日本政府である財務省・国税庁は、日本円(日銀券)をゴリ押ししたいから日本円で納税させているわけではありません。日本政府は日銀という会社と、その会社が発行する日本銀行券を「信用」しているため、日本政府は日本円で納税させるようにしているだけです。

つまり日本政府は日本円(日銀券)の価値を「保証」する側ではなく、我々一般人と同じように日本円(日銀券)を「信用」する側です。

ここで仮想通貨について同じように見てみると、重大な部分が仮想通貨においては欠落していることがわかります。

1.仮想通貨は流通量を調節し価値の「保証」をする中央銀行がない

これが仮想通貨の最大の欠点です。日本円の場合は日銀の裁量で流通量を調節できます。いくら日本政府が「もっと日本円を発行しろ」といったところで、日銀が拒否すればむしろ流通量を減らすことすらできます。

日本円の価値が仮想通貨のように暴騰することも暴落することもないのは、毎日日銀が取引しているからです。

しかし仮想通貨にはこの仕組がありません。むしろこの中央銀行のような”特権”を持った存在を否定したいというモチベーションから生まれてきたのが仮想通貨です。仮想通貨に中央銀行のような仕組みを認めてしまったら既存の通貨と変わりません。これは仮想通貨を仮想通貨たらしめている根本的な部分です。仮想通貨だからこそ中央銀行のような存在がないと言っていいでしょう。これが仮想通貨が抱える根本的な欠陥です。

2.仮想通貨で支払ができる店が非常に限られている せいぜいビックカメラ程度 仮想通貨で納税すらできない

これも仮想通貨の大きな欠点でした。仮想通貨を利用できる機会が非常に少なすぎるということです。

仮想通貨では交通機関の利用もできません。ほとんどの食料品店では仮想通貨を使えません。ビックカメラが仮想通貨に対応して大ニュースになってしまうほど、仮想通貨というのは市民権がありません。

仮想通貨だけで生活できるほどに、日本中の財・サービス提供者が仮想通貨での支払に対応すれば、まだこの条件2だけを満たすことはありえました。しかし全く普及していないのが現実です。

さらに決定的に仮想通貨が劣っている点は仮想通貨で納税ができないことです。これが後に指摘する、仮想通貨信者の”自己矛盾”に繋がっています。

残高や取引を「改ざんできない」という仮想通貨の情報技術的側面と、「通貨が価値を持つ」という経済的側面とを混同している頭の悪い人が多い

私はブロックチェーンという技術自体は認めています。このブロックチェーンという技術を否定する理系出身者はまともな人ならいないでしょう。

ブロックチェーンという技術は公開鍵暗号という十分に枯れた技術を用いて、「仮想通貨の残高・取引履歴を改ざんできないこと」を担保しているものです。ここで私が使った「枯れた」という言葉は悪い意味で使っているのではありません。むしろ「枯れた」というのは技術分野においては褒め言葉であり、十分に長い期間使用・検証されてきた確かなものであるというプラスの意味で使われます。

公開鍵暗号というのは大きな素数同士を掛け合わせると、それを素因数分解して2つの素数に戻すことが難しいという一方向性を利用した暗号技術です。フェルマーの小定理を理解すれば公開鍵暗号の原理を理解するのは簡単です。

この暗号を秘密鍵無しで解読するには(秘密鍵のビット数にもよりますが)スパコンを使っても数十万年単位の時間がかかります。それくらい時間が経過している頃には、解読した情報自体が価値を失っているから、事実上解読はできないということで広く使われている技術です。

ブロックチェーンではこの公開鍵暗号に加えて、仮想通貨の残高や取引履歴を多数のブロックと呼ばれる単位に分割し、しかもそのブロックを複数の端末(マイニングに参加している一般人のパソコン)に分散させています。そうすれば残高を改ざんしようとしても、一つのブロックだけではなく他のブロックも改ざんしなければならず事実上改ざんは不可能です。また一台のパソコンが故障してもブロックを分散させているため残高が消え去ることはありません。

このようにブロックチェーンという技術自体は確かなものです。これに異を唱える人はまずいないでしょう。

ですが、このブロックチェーンという技術が提供するのは「各自が保有している仮想通貨の残高を改ざんできない」、「取引履歴を改ざんできない」といった点だけです。

つまり1億円分の仮想通貨にゼロを一つ追加して10億円にしたり、受け取ってもいない仮想通貨を受け取ったことにするといった「改ざん」をできなくしているのがブロックチェーンです。

これらの改ざんは、日本円や米ドルでも当然できないようになっています。なぜなら各銀行がそのようなことが起きないように業務を行っており、金融庁も監督・検査しており、送金においては日銀ネットが間に入っているからです。日本円においてはこれらの「信用できる組織」があるから、勝手に銀行口座残高を改ざんして増やしたり、ありもしない送金を捏造して受け取ったことにするなんてことはできないようになっています。

仮想通貨の場合は、銀行・日銀・金融庁といった「信用できる組織」を必要とせず、一般人が提供しているパソコンの計算資源を使って「マイニング」を行い、分散システムでそのような「改ざんを防ぐ」ことを実現している点が異なります。

ここで一つ重要なことを指摘します。

「日本円の銀行口座の残高が改ざんされることはない」「日本円の送金履歴が改ざんされることはない」といった点が担保されただけで、それイコール「日本円には経済的価値がある」ということになるでしょうか。

当然なりません。

先程も記載した通り、日本円や米ドルなどの通貨は単なる紙切れです。銀行口座に入れてある日本円や米ドルの場合は、それこそ仮想通貨と同じ単なるビット列(法令用語では電磁的記録と言う)です。

偽札を作られることを100%防いだ日本円や米ドルが誕生したとしても、それイコール「日本円や米ドルに価値がある」ということにはなりません。

世界各国には、中央銀行が発行したにもかかわらず全く価値のない通貨はいくらでもあります。有名所ではジンバブエドルなどですが、これはジンバブエドルの口座残高が改ざんされたり、偽札が作られるから価値が暴落しているのではありません。中央銀行がジンバブエドルの価値の「保証」に失敗し、また使う側もジンバブエドルを「信用」していないから価値が暴落しています。

同じように仮想通貨に価値を与えられるかどうかは、ブロックチェーンのような情報技術的な問題ではありません。これは経済的な問題です。

小売店が仮想通貨では受け取らないと決定することが相次いでいますが、それは仮想通貨を「信用していない」からです。

このような店は仮想通貨の根本的技術ブロックチェーンを信用していないのではありません。仮想通貨そのものの経済的価値を信用していないのです。

最近ビットコインが暴落していますが、これはブロックチェーンという技術に不安があるからではありません。ビットコインの経済的価値に疑問符が付いている、つまりビットコインが「経済的価値としての信用を失っている」から暴落しています。

このように、ブロックチェーンという技術による「情報技術的な堅牢さ」を、「ビットコインには経済的な価値がある」と勝手に結びつけている頭の悪い人が本当に多いです。

「仮想通貨の技術は確かだから、仮想通貨が終わることはない」というポジショントークをしている保有者が大量にいます。

これは「偽札を絶対に作ることのできない通貨なら、その通貨が終わることはない」と言っているのと同じです。たとえ偽札が全く作れない通貨が誕生しても、それが経済的な価値を持つかどうかは完全に別問題です。

ここまで噛み砕いてかけばさすがにFX・パチンコ・仮想通貨をやっている人でも理解できると思いますが、現時点で仮想通貨を保有していない人は比較的このことを理解しやすいと思います。

逆に、既に仮想通貨にそれなりに金を突っ込んでしまっている人は、どうしても仮想通貨の将来的不安を払拭したいという心理が働くため、なかなか私が上述したことを飲み込むことができないでしょう。

含み益が出てるのに仮想通貨を売却できない仮想通貨信者の愚かさ 最終的に”日本円”に手足を縛られている皮肉

含み益が1億出たと自慢している人でも、2018年2月に入ってからの仮想通貨大暴落を指をくわえて眺めているだけです。

なぜ彼らはさっさと売却しないのでしょうか。

それは仮想通貨を売却すると税の計算をして納税しなければならないからです。

仮想通貨は株式のように、申告分離課税制度が整備されていません。

仮想通貨の売却益は雑所得として総合課税になります。課税所得4000万円を超えると所得税率45%、住民税率10%で約55%の税率になります。”約”と書いているのは、国税と地方税で算定の基礎額が若干異なるからです。

彼らはこの”納税”ができないか、またやりたくないため仮想通貨を売却できずに、仮想通貨暴落をただ指をくわえて眺めているだけになっているということです。

これは仮想通貨の売却に限りません。仮想通貨を使って食品を買い物するだけでも課税されます。

例えば日本円で100円相当のときに仮想通貨を買い、仮想通貨が上昇し今は10000円の時価になっているとします。

そして1万円の買い物を仮想通貨で行うと、この1万円ー100円=9900円の部分について課税されます。

その根拠としては、100円のときに仮想通貨を買って10000円のときに一旦売却し、その売却代金をもって1万円の価値のものを購入したとみなされるからです。この利益9900円分総合課税されます。

そうなると仮想通貨が1億円以上になっても800万円のEクラスを買えば800万円に対して課税されるし、5000万円の家を購入しても5000万円について課税されるので、結局納税が嫌になり仮想通貨で買い物すらできないのが今の仮想通貨信者が置かれている状況です。

なぜこのようになるかというと、日本国に居住している限り納税は日本円で行うからです。

所得税や住民税は日本円で納税しなければいけません。

結局、日本に住んでいる限り、日銀が発行した日本銀行券という日本円からは逃れることはできません。

仮想通貨を崇拝し、日本円を馬鹿にしている頭の弱い仮想通貨信者が、逆に日本円という呪縛によって仮想通貨を売却できずにいるのは滑稽です。仮想通貨で日常生活を送ろうとしても何かを購入した時点で課税され、その納税は日本円で行わなければならないため、結局は日本円に手足を縛られてしまい仮想通貨が”単なる見世物”になっています。

仮想通貨で納税OKという国に亡命すればこの点はクリアされるでしょう。ですが彼らは日本から出ていく素振りも見せず、亡命すると言って亡命していない民進党の小西洋之議員や、トランプが当選したら米国から出ていくとほら吹いてたタレントとそっくりです。

仮想通貨はFXやパチンコをやってた連中が流れ込んでできたコミュニティです。彼らは貧乏です。金がないと株式はできません。株式は100株が1単位であることが多いですが、だいたい50万円程度は一つの銘柄の購入で必要になります。東証一部上場企業は2000社近くありますが、そのうち1割に相当する200銘柄近くに分散投資するとしたら1億円必要です。

一方で仮想通貨なら10万円もあれば複数の仮想通貨に十分分散投資できます。そのうち一つでも大当たりすればいいだろうという博打のような扱いで捉えられているのが仮想通貨です。

仮想通貨というのは働くのが嫌な貧困層が働かずに挽回するためのアメリカンドリームのようなものだったのでしょう。しかしそれは2017年一杯で終わり、納税しなくてすむ段階まで下がりきったところで日本円に替えて雑損失を計上して何も納税しないで終わり、というのが仮想通貨の主要な出口戦略になるでしょう。