安倍政権の原発重視政策を勢いづかせる良いニュースが飛び込んできました。美浜原発3号機が40年を超えて運転できることが確定しました。これは高浜原発の1号機、2号機に続いて3基目になります。
40年ルールを素直に適用することによって廃止される原発は現在、5箇所の原発で合計6基になっています。
40年ルールは原則適用されてしまうので、40年を超えたら全て廃炉になってしまうのですが、最近これにブレーキがかかり原発を長期間温存する方向になっています。このような例外は2箇所の原発で合計3基になりました。
原発比率の上限は電力消費量の日較差で決まる
そもそも原発の数というのはいくらでも増やせるものではありません。原発の比率は物理的に電力供給量の高々3割までです。5割を原発にするのは物理的に無理です。なぜなら原発は弾力的に出力を変えることができないからです。
原発というのは運転を開始すると、常に同じ出力で運転せざるを得ません。電力消費が少ない夜間は通常の半分運転、昼間は100%運転なんてことは技術的にできないのです。
なら最も消費される昼間の電力量にあわせて原発を運転すればいいじゃないかということが言われますが、それは技術がわかっていない人の言い分です。
電力というのは少なくてもだめですが多すぎてもダメです。
電力供給量が足りないと電圧降下になり停電になります。逆に多すぎると周波数が変わってしまい家電などが正常に動作しなくなります。
つまり需給を一致させて発電させなければならないのが発電の難しさなのです。だから原発だけで日本の電力を賄うのは無理です。夜間と昼間で電力消費量が大きく違う以上、1日を通して同じ量の発電しかできない原発では使い物になりません。
1日を通して必ず必要になる3割は原発 変化する部分は火力で弾力的に調節する
電力消費量は夜間に最低になり、昼間に最高になります。昼間を100%とすると夜間は30%ほどです。この最高の部分と最低の部分の差のことを日較差といいます。
この日較差がある以上、日本の発電所をすべて原発にすることはできません。
まず最低限必要になる30%を原発で発電します。そして残りの70%の部分を火力発電という1日を通して簡単に出力を変更できる発電でまかなうわけです。そうすれば昼間にかけて増える需要の拡大に適応する形で発電量を増やすことができます。
なぜ原発を維持するのか?核技術維持意外の理由はない
極端な話、全部火力発電でも可能です。確かに原油ガスは輸入しなくてはならないのでコストは高くなりますが、原発も廃炉コストを踏まえると高いのは確かです。
それでも原発を維持するのは核保有のための核技術維持にほかなりません。これは理系の人なら誰でも知っていることで秘密でも何でもありません。
日本は核拡散防止条約に入るときも脱退の選択肢をしっかり残した上で加盟しています。条約の脱退は衆院の過半数だけでいいので簡単に脱退でき、さらに核保有を禁止する法律も憲法も日本にはないので、実は正規軍を持つより核保有の方が実現が簡単です。憲法改正が不要だからです。
非核三原則は単なる閣議決定なので、安倍首相が非核三原則を廃止しようと決めればその日のうちに閣議で非核三原則を廃止できてしまいます。
なぜ京などのスパコンを作るのか?コンピュータ上で核実験をする核シミュレーション技術維持のため
これはスパコンも同じです。京のようなでかいスパコンははっきり言ってムダです。使い勝手のいい小型のスパコンが大量にあったほうがいいのは理系の大学教員の間では常識です。それでも大型スパコンを作るのは、コンピュータ上での核実験である核シミュレーションをできるような大型スパコンをいつでもつくれる技術を維持するためです。
現在部分的核実験停止条約、包括的核実験禁止条約により核実験はできなくなっています。そこで米国はどうしているかというと、セコイアという核シミュレーション用スパコンを使ってコンピュータのソフトウェア上で実験しているわけです。
京コンピュータは核シミュレーションをする用途ではないとしていますが、いつでも転用できます。実行するソフトウェアを変えればいいだけだからです。このように日本政府はいつでも核保有できるように、原発維持・スパコン開発に予算をさいて技術を維持しているわけです。これは国として当然のことであり、そこを批判するのは外患誘致を行う者だけでしょう。
この調子で原発再稼働を推し進め、さらには原発の新規建造・輸出を推進していってほしいと思います。