日英がACSAに署名し英国が日本の準軍事同盟国入り カナダを追い抜いて電光石火の合意

またもや朗報が飛び込んできました。日本政府と英国政府は、武器弾薬を相互提供し軍事作戦の後方支援も可能にする物品役務相互提供協定(ACSA)に署名しました。

これは英国が日本の準軍事同盟国入りを果たすことを意味します。軍事同盟国は米国一カ国のみですが、準軍事同盟国は日本にとっては英国がオーストラリアに続く二カ国目です。

日英の全権が署名したので、あとは日本と英国議会での批准作業になります。

ACSAによってオーストラリアが米国に続く第二の軍事同盟国になっている

日本は2013年にオーストラリアとACSAを締結しました。

それまでは日本からみた軍事同盟国は米国のみでしたが、オーストラリアは日本の準軍事同盟国として、米国に続く2番目の同盟国となりました。

さらには2016年3月に集団的自衛権を行使するための安保法制が施行されたことから、オーストラリアとのACSAがより軍事協力を密にできるように改定されています。

物品役務相互提供協定(ACSA)は条約なので、議会での批准と安保法の一部改正が必要

ACSAは国家間の条約なので、署名だけでは足りず議会での批准作業が必要になります。日本では衆院の過半数だけで批准できます。

ただし、安保法制を英国とのACSAと整合性のあるものにするために法律改正が必要になります。この法律改正は衆参の過半数が必要です。

安倍内閣は2017年の常会中にこの批准手続きと法律改正を済ませる予定です。英国との同盟締結という差分を反映させるだけであり分量は多くないのでたった数日程度で衆院を通過するでしょう。

日本が軍事同盟をまだ結んでないアングロサクソン国家はカナダとニュージーランド

カナダとは2013年にACSA締結で大筋合意したものの、署名や批准には至っていません。1年遅れで英国が交渉開始したものの、カナダを追い抜いて先にACSAの署名まで至りました。

ミサイル共同研究が2017年内に完了する見込みになり、かなりポジティブな成果が上げられたことも追い風となっています。

これにより米国に次ぐ力をもつアングロサクソン国家と軍事同盟を結ぶことができました。

既にオーストラリアとのACSAは発効しています。残りはカナダと締結するだけです。

ニュージーランドについては、太平洋条約から事実上離脱していることもありACSA締結の優先度は低いと言えます。

太平洋条約はオーストラリアとニュージーランドと米国の間の相互防衛条約ですが、今は事実上オーストラリアと米国の間の相互防衛条約になっています。

アングロサクソン国家と友好を維持することが安全保障上も経済上もメリットがあることは歴史が示していることです。逆に敵に回すと北朝鮮やキューバのように困窮することになります。

あとはカナダとACSAを締結し、カナダも英豪に続く日本の準軍事同盟国にすることによって益々日本の安全保障体制は完成形に近づいていきます。さらに2017年1月にフランスとACSA交渉に入ったので、アングロサクソン国家ではないもののフランスも日本の準軍事同盟国になる予定です。

すべては「集団的自衛権」の漢字6文字のおかげ

以前の記事にも書きましたが、ここまで次々に主要国が日本の軍事同盟国入を果たしているのは「集団的自衛権」の漢字6文字を閣議決定の文言に採用し、安保法にも「集団的自衛権」の文字を書き込んだおかげです。公明党が主張していた「集団的自衛権を使わず”警察権”の拡大で同じことができる」を採用していたら、絶対にここまで日本と軍事同盟を結ぶ国が続出することはありえませんでした。

まさに公明党の山口那津男代表が安保法制成立直後に言っていた「歯止めをかけたから今回の安保法が出来ても何も変わらない」は完全に嘘だったということです。「集団的自衛権」の漢字6文字を書き込んだのは、憲法9条を破壊できたおかげで日本の軍事同盟国が次から次へと誕生しているという具体的に目に見える成果です。

「準」軍事同盟ではない完全な軍事同盟である日英同盟は逆に日米同盟を不安定化させてしまうため不要

日本は英国と軍事同盟を結んでいた時期があり、それはかなり成功を収めていたのですが、第一次大戦で英国が疲弊し米国が基軸通貨発行国になったことで、米国から横槍が入り日英同盟は解消されてしまうことになりました。

現在において日英同盟を準軍事同盟でなく正規の軍事同盟にしてしまうと、バランスを考えるのが面倒になりいいことはありません。

1つだけ正規の軍事同盟を締結し、他の国については準軍事同盟国にとどめておくのが安定します。

日本は国の舵取りで判断に迷ったりしたら、「日米同盟が基軸」という価値観に照らし合わせて外交を舵取りしていけば判断を誤ることはありません。それが2つ3つに増えるとどれを基軸にしたらいいのか判断がつかなくなり国政が混乱するデメリットのほうが大きいということです。