「とりあえず空爆」のボルトン氏、トランプ大統領「彼は別の立場で政権入り」

マイケル・フリン氏が国家安全保障問題担当大統領補佐官(National Security Advisor)の辞任を表明し、後任に現役の米陸軍中将であるマクマスター(H. R. McMaster)氏が選ばれました。本人は承諾済みです。

マイケル・フリン氏も陸軍出身だったので、今回のマクマスター氏出身母体と同じです。マイケル・フリン氏も米陸軍で中将まで務めていた人物であり元軍人です。

トランプ政権の”元軍人”の人数維持に成功

トランプ政権のメンバーで元軍人の人数が減っては困るので、元軍人から選ばれたのは好ましいことです。

トランプ政権が2017年1月20日に発足する前の段階で、日本の某メディアが「トランプ次期政権にまた軍人の内定者。これで軍人は3人目」という見出しをだして悲鳴を上げていましたが、元軍人のマイケル・フリンが去っても今度は現役軍人のマクマスター氏が来てくれたので軍経験者の数は減っていません。

トランプ大統領がジョン・ボルトン元国務次官について「何か別の立場」で政権入りを表明

今回注目すべきはマイケル・フリンの後任が誰になるかではありません。

補佐官の候補としてトランプ大統領はジョン・ボルトン元国務次官にも声をかけていました。

ボルトン氏は2001年からのジョージ・ウォーカー・ブッシュ政権において、アメリカ合衆国国務次官 軍備管理・国際安全保障担当(Under Secretary of State for Arms Control and International Security Affairs)という国務次官のうちの1つのポストで務めていました。

国務次官ポストは6つあり、そのうちの1つです。

6人の国務次官のうち政治担当であるアメリカ合衆国国務次官 政治担当(Under Secretary of State for Political Affairs)は筆頭ポストであり、省庁の機能は異なりますが日本の財務省で言えば財務次官に相当します。ただ日本の場合事務次官は一人しかいないので、仮に事務次官が複数いるとしたら主計局長出身が務める事務次官ということになります。

ボルトン氏は筆頭の政治担当ではありませんでしたが、軍備・安全保障担当としての国務次官であり国務省ナンバー3の一人でした。

彼は国務次官のあとにブッシュ政権2期目では国連大使を務めました。この国連大使ポストは、オバマ1期目では日本の害悪の元凶になったあの”スーザン・ライス”が務めていました。オバマ大統領が最後の2年だけはまともになったのは、このスーザン・ライスを無視し始めたからです。オバマ氏がスーザン・ライスを無視したことによって、広島訪問・真珠湾訪問が実現したわけです。

このようにボルトン氏は要職を歴任しており、さらに主義思想はスーザン・ライスとは正反対と言え、ボルトン氏は「台湾国への米軍駐留」や「イラクが大量破壊兵器を持ってるかどうかわからないんだから、最悪のシナリオとして持っていると仮定して米国の安全のためにとりあえず空爆するしかないでしょ」とアドバイスしている人物です。

これは別にボルトン氏が強硬派なのではなく、あらかじめ最悪のシナリオを考えておいて、もし仮に最悪のシナリオが実現してしまった場合でも自国民の生命を最優先に守るという最適戦略からイラクを空爆をしただけのことです。結局はイラクは大量破壊兵器を持っていなかったのですが、それは結果論です。事前に持っているかどうかはっきりしなかった以上、万が一持っていたとしても大丈夫なように大事を取って空爆するしかありません。

彼は日本の利益のためには非常に好ましい人物です。

今回補佐官にボルトン氏が選ばれなかったものの、産経新聞だけが報道している事項があります。

トランプ氏は今週末、フロリダ州の別荘でフリン氏の後任の選定を進め、19日にマクマスター氏やケロッグ氏、ジョン・ボルトン元国連大使ら4人と個別に面談。トランプ氏はボルトン氏について、近く「何か別の立場」で政権入りさせる考えを明らかにした。(産経新聞2017年2月21日 http://www.sankei.com/world/news/170221/wor1702210008-n2.html)

「何か別の立場」というのは、つまり今回ボルトン氏は補佐官には登用されませんでしたが、まだトランプ大統領はボルトン氏をなんらかの形で起用しようとしているということです。

先程国務次官のうち政治担当が筆頭だと説明しました。オバマ政権2期目で政治担当の国務次官に指名されたのがトム・シャノン(Thomas A. Shannon Jr.)氏であり、現在彼は国務副長官を務めています。つまりオバマ元大統領が政治任用した人物が今国務副長官を務めているわけです。

このシャノン氏は、トランプ大統領が指名したティラーソン国務長官が上院で承認されるまでの間は代行として国務長官をしていました。ティラーソン氏が無事上院で承認されて国務長官に就任したので、シャノン氏は国務副長官に降格しています。

これは以前も解説した通り、トランプ大統領が指名した司法長官が上院で承認されるまで、オバマ政権時から居座っているサリー・イエーツが司法長官代行をしていたのと同じです。彼女は勝手なことをしたのでトランプ大統領に更迭されました。

現在国務副長官のシャノン氏はおとなしくしています。これは彼はオバマ政権時に政治任用された人物であり、トランプ大統領の意中の人物が就任するまでの”つなぎ”であるからと自認しているからだと考えられます。

トランプ大統領がこのシャノン氏を追い出そうとしているとしたら、このポストの後釜が誰になるのかが注目です。