エクソンモービル組入比率1位のETFを国務長官候補浮上前に推奨

当サイトでは2016年11月24日にトランプ政権下の株はiシェアーズ米国高配当ETFを買うのがベストという記事を掲載し、PBRが低いバリュー株とニアリーイコールである高配当株を選定しているブラックロックのiシェアーズ米国高配当ETFをおすすめとして提示していました。さらにバリューファクター投資のすすめを記事の最後に掲載していました。

そしてこのETFの組入比率1位の銘柄は、トランプ次期大統領が国務長官ポストに選んだレックス・ティラーソンがCEOを務めるエクソンモービルです。エクソンモービルはこのETFの組入比率でトップであり、約8%を占めています。

そもそも、上記の記事を書いた11月24日時点では国務長官候補としてジョン・ボルトン元国務次官や、ジュリアーニ元ニューヨーク市長、ロムニー元大統領選共和党候補程度の名前しか出ておらず、エクソンモービルCEOの名前すら全く報道されていなかったので、私は国務長官にエクソンモービルCEOがトランプ次期大統領に指名されるなんて全く知りませんでした。

11月24日時点の株価も低迷しています。エクソンモービルCEOに白羽の矢が立つなんて誰も知らなかったからです。ですがエクソンモービルCEOであるレックス・ティラーソンが国務長官候補に入ったというニュースが出てから株価はあがりブラックロックiシェアーズ米国高配当ETFも好調です。

このようにエクソンモービルCEOが国務長官に選ばれたのは偶然ですが、エクソンモービル株が上昇したのは偶然ではありません。

当サイトで推奨していたETFの組み入れ比率第1位はエクソンモービル

私が推奨していたブラックロックのiシェアーズ米国高配当株ETFの組入比率第1位はエクソンモービルです。以下の画像は最近の組入比率ですが、11月24日時点でも組入比率1位はエクソンモービルでした。

しかも単なる1位ではなく8.29%も占めています。

「国務長官にエクソンモービルCEOが指名されたのなんて単なる偶然のまぐれ当たりだろう」と言う人がいるでしょうが、まさにその通り。エクソンモービルCEOが国務長官に指名されたのは単なる偶然、まぐれ当たりです。

ですが、エクソンモービル株がいずれ上がることは既定路線でありこれはまぐれ当たりの偶然ではありません。エクソンモービルCEOが国務長官に指名されたというのを契機として上がるなんて私も当然予想してませんでしたが、エクソンモービル株がいずれ上がるのは想定していたことです。なぜならエクソンモービル株はPBRが低いいわゆるバリュー株であり、バリューファクタ投資の観点から私はこのETFに目をつけていたからです。これはまぐれ当たりではなく必然です。

PBRが低い割安のバリュー株を選んでおけば何らかの要因で自然と上がる

先程も書きましたが、エクソンモービルCEOであるティラーソンが国務長官に指名されたのは単なる偶然です。

しかしたとえ国務長官にエクソンモービルCEOが指名されていなくとも、エクソンモービルというPBRが低いバリュー株が上昇するのは既定路線でした。

バリュー株というのは、企業が抱えている純資産に比して、時価総額が低すぎるものを指します。純資産というのはしっかり数値化できる、「今まさにそこに存在する資産」ですし、時価総額も「マーケットで取引される中で実際ついている具体的な価格」です。

これらの価値の差はいずれ収斂します。それが具体的にどのようなイベントで収斂するかはわかりませんが、そんなの予測する必要はありません。今回のようにティラーソンが国務長官に指名されるなんて予測する必要はなく、単にバリュー株であるエクソンモービル株が何らかの拍子に適正価格に戻りさえすればいいだけです。私たちはエクソンモービル株が国務長官人事イベントで上がるという予測なんてする必要はなく、上がればイベントなんてなんでもいいわけです。

一方で、最近はやりの「人材投資」に積極的な企業という尺度で銘柄を選択する方法はどうでしょうか?

人材投資に積極的→収益力が上がる→純資産が増える→株価が上がる

これは風が吹けば桶屋が儲かるレベルであまりにも因果関係が遠すぎます。

人材育成にお金を欠けたからって企業はかならず純利益を増やすでしょうか?純利益を増やさない限り純資産額の期待値は増えないので株価は上がりません。下手したら営業黒字になるかどうかさえ怪しいです。ましてや税引後純利益が増えるなんて人材育成に積極的だからって保証されるものではありません。

そんなことよりは、今現実に存在する「純資産」そのものの価値の大きさと、現実に存在する「時価総額」という「結果同士」で比較するものなら、

時価総額が純資産額に比べて低い→時価総額と純資産額の差が収斂する

のように因果関係はたった1つしか介していません。

このようにバリューファクターというのは他のファクターよりも、「現実に存在する金銭的価値同士」を比較しているので確度が高いのです。

バリュー株を買っておけば何らかのきっかけで収斂する時期がきます。それが今回はたまたま国務長官人事だっただけです。

多くの文系投資家は、

誰が国務長官になるか予測→その国務長官になったときに上がる銘柄を選ぶ

という愚かな手順を踏みますが、定量的に分析している理系なら、

バリューファクターの重み付け係数が統計的に有意なものを選ぶ→そのうち上がるのを待つだけ

という手順を踏みます。

もはや因果関係の要因を予測しているような投資方法は時代遅れです。米国では金融(finance)というのは数学の学問分野なのですから、数学をしっかり勉強していない投資家はもう既に時代から取り残されていると言えるでしょう。