参院選があるからということで日米FTA交渉を先延ばし。
トランプ大統領としては大統領選挙までに大筋合意して署名してしまえば勝ちです。
もし米民主党が反対して批准に失敗したとしても、トランプ大統領は批准を争点として選挙戦を進めることができるからです。
TPP12単体のほうがむしろ日本の百姓農協にとって好ましかった皮肉 TPP11+日米FTAのほうが逆に百姓農民にとって厳しい
TPP12の批准だけで完結していれば日本の百姓農協のように競争力の無い自由競争社会の負け組にとってはむしろ望ましいことでした。
それがTPP12から米国が離脱してしまい、米国抜きのTPP11で批准発効しました。
しかしこんな甘い結果で米国が許してくれるはずがありません。
米国はTPP12の合意内容より更に厳しい要求が可能な日米FTA交渉を開始しました。
この日米FTAでは日本側がどんなに好条件を勝ち取っても「TPP12の防衛ラインがせいぜい」です。少しでも下手をすると「TPP12よりもさらに農品目が自由化される」ことになります。
つまり日米FTAは、日本の百姓農協にとってTPP12より悪くなることはあっても良くなることはありません。
さっさとTPP12で完結させておけばよかったのに、百姓農協がそれに猛反発したせいで逆に日米FTAというさらに百姓農協にとっての「悪夢」がやってきたことになります。
2017年1月に「いつまでも米国抜きTPPにこだわる安倍は馬鹿だ」と言い放っていた百姓農協
トランプ政権は2017年1月20日に発足しました。そして同時にTPPから離脱する大統領令に署名しました。
これにより日本は「TPPを諦める」か「米国抜きでのTPP11をまとめる」のどちらかを選択することになります。
結果的に安倍政権は後者の「米国抜きでのTPP11をまとめる」を選択しました。
そのとき日本の百姓は「米国が抜けたのにいつまでもTPPにこだわる安倍は馬鹿だ」と言い放っていました。
しかしこれは2年後にブーメランとなって百姓農協に跳ね返ってきます。
しかし2018年にTPP11大筋合意し12月30日にTPP11発効 「馬鹿」なのは安倍ではなくむしろ百姓農民だった
その後TPP11交渉は日本主導で順調に進み、2018年3月に大筋合意します。そして2018年10月に6カ国の批准が完了し2018年12月に発効する運びとなりました。
2017年1月時点では百姓農協が「いつまでもTPPにこだわる安倍は馬鹿だ」と言っていましたが、実は本当に馬鹿だったのは「いつまでもアンチTPPにこだわっていた百姓農協」だったのです。
政治の分野ではそのとき悪いと思ったことが返って後々良い結果になる「塞翁が馬」が頻発する
政治の分野ではそのときは悪いと思っていた出来事が、あとあと振り返ると返って良いことだったという「塞翁が馬」がよく発生します。
2017年1月に米国がTPP離脱を宣言した時点では、誰しもが「TPPを望まない百姓農協」にとってプラスで、「TPPを望む経団連」にとってマイナスだと思っていました。
しかしその後の流れをみてみると、TPP11が発効してしまった上に米国はTPP12よりもさらに日本の百姓農協にとって厳しい内容の日米FTA交渉を要求し日本はその交渉の席についてしまいました。
つまり2017年1月の米国TPP離脱時点では「百姓農協にとって望ましい」と思っていたことが、逆にTPP11+日米FTAという「百姓農協にとってさらなる悪夢」を招いてしまったことになります。