公明党、2019年参院選比例で2016年比マイナス104万票の653万票 2017年衆院選に続いて再び700万票割れ 全体の投票率が40%台に低迷して有利なはずの公明党が得票率13.1%止まりで2016年参院選から0.4ポイント減

2019年参院選で公明党は改選議席数を増やし結党以来最多の24議席を獲得しました。

公明新聞的には「我が党、参院で過去最多28議席を獲得し未曾有の大勝利」といったところでしょう。

戦前の帝国陸海軍の大本営発表を嫌う公明党と創価学会員ですが、さすがにそんな人達でも公明党の大本営発表を精神的拠り所にしています。

しかし、産経新聞による公明党幹部への取材では「深刻に受け止めている」と逆に悲観しています。その理由は、2019年参院選の投票率が40%台となり史上最低だった1995年参院選に次ぐ2番目の低さにもかかわらず、全体の投票率に関係なく創価学会の組織票がある公明党の得票率が高まるどころかむしろ減少してしまったからです。

産経新聞が公明党幹部の発言に基づいて詳報してくれているので引用します。

公明党、参院選比例で100万票減 議席増も危機感高まる

1日に投開票された参院選では、公明党が比例代表での得票数を前回の平成28年から減らした支持者の高齢化など構造的な問題が影響しているとみられ、次の衆院選に向け、党勢の立て直しが課題となっている。

今回の公明党の比例代表の得票数は653万6336票で、28年の前回比で約104万票減らした。選挙戦全体では14議席を獲得し、非改選と合わせれば参院で過去最多の28議席を占めたが戦果は過去2番目に低い低投票率に支えられたとの見方がもっぱらだ。 党内では、支持者の趨勢(すうせい)に直結する比例票が29年衆院選に続き700万票を切ったことに危機感が高まっている

公明党が比例で100万票以上を減らしながらも、目標としていた「6議席以上」を達成する7議席を獲得できたのは、投票率が48・80%と低迷したことで、得票率(13・1%)の下げ幅が3年前と比べて0・4ポイント減にとどまったからだ

山口那津男代表は22日、記者団に「得票率では健闘している。それは議席にも表れている」と強調したが、別の幹部は「深刻に受け止めている」と表情を曇らせる。

支持母体の創価学会を中心に徹底した組織戦を展開する公明党にとって、低投票率は有利に働くとされる。選挙戦の注目度にかかわらず、公明支持層の投票率は高いからだ。それだけに、ある党幹部は「本来なら、ここで公明が得票率を上げないといけなかった」とこぼす。

今回、比例で得票数を大きく落とした要因については(1)統一地方選と参院選が同じ年に行われる12年に1度の「亥(い)年(どし)選挙」の影響で選挙疲れがあった(2)選挙区に注力するあまり比例代表での活動量が落ちた(3)支援者の高齢化-などがあげられる。

特に高齢化は、組織力を武器にする党の基礎体力をそぐことになるだけに深刻だ。参院選では、私立高校授業料の実質無償化など若者が共感しやすい公約を中心に掲げたが、若者層の支持開拓につながったかどうかは見通せない。

「党の発信力をどう高めていくかが一つの課題だ」

山口氏は25日、参院選の結果を受けた党の会合でこう述べ、若者層に影響力の強いSNS(会員制交流サイト)を活用した発信力の強化策を検討するよう指示した。

29年の衆院選では比例の得票数が落ち込み、前回比で6議席減につながった。仮に、次の衆院選を高投票率で迎えた場合、基礎体力が右肩下がりの現状では厳しい結果が予想される。公明党は今後、各地で夏季議員研修会を開き、組織の立て直しを急ぐ。

2019年7月28日 産経ニュース:https://www.sankei.com/politics/news/190728/plt1907280014-n1.html

ポイントは、山口那津男代表は表向きは「過去最高の議席を得た」と戦果を強調していますが、実際は「深刻に受け止めている」と悲観的だということです。

その理由として、本来2019年参院選のような低投票率なら創価学会の組織票の強さを見せつける大チャンスです。にもかかわらず公明党の得票率は2016年参院選よりも減少してしまいました。

この3年間で何が起きたかと言えば、創価学会員の高齢化です。2016年参院選が実施された時は既に「集団的自衛権行使を認める安保法制」が可決成立し施行もされた後です。つまり2019年参院選で公明党の比例票が700万票割れした理由として「安保法制のせいで支持者が離れた」という言い訳はできません。もし安保法制のせいで支持者が離れたという理由付けなら、2016年参院選でも公明党が700万票割れしていないと辻褄が合わないからです。

公明党が2019年参院選の結果を深刻に受け止めているのは、同じく低投票率だった1995年参院選のように大勝できなかったから

私はそこそこ若手世代なので、1995年参院選当時は有権者になるには程遠い年齢でした。そのため同じようにこの頃の選挙情勢をリアルタイムでつぶさに見てこなかった世代はWikipediaの1995年参院選項目を読んでみるとよくわかります。

この1995年参院選は投票率が史上最低であり、その結果として公明党の大勝が大いに強調された選挙結果だったということがわかります。「投票率が低くなればなるほど、創価学会の組織票がある公明党が有利」という通説はこの選挙が強い根拠になっているということです。

しかしその通説は2019年参院選で砕かれてしまいました。

1995年参院選に次いで歴代2位の低投票率だったにもかかわらず、公明党は逆に得票率を減らしてしまいました。創価学会員が高齢化してしまい、本来ならそれを補うだけの若手が入会しなければならないにもかかわらずそれが進んでいないからです。

創価学会はマックス・ウェーバーが提唱した支配の正当性でいえば「カリスマ的支配」で成長してきました。

池田大作のカリスマ的支配により昭和期に学会員数を伸ばし、それが公明党の組織票の強さそのものでした。しかし2010年以降池田大作は表に顔を出しておらず植物人間状態説が有力です。

そうなるとその「カリスマ」と直接触れ合う機会がないため、聖教新聞の写真でしか池田大作を見ることができないような状態では若手を開拓するにも開拓できないことになります。

「カリスマ的支配」の弱点は政治学分野で既に指摘されています。それは「どんなカリスマであっても不老不死ではない」ということです。

つまり創価学会も「カリスマ的支配の弱点」という学問的な帰結からは逃れられなかったことになります。

創価学会員1名につき1以上のフレンド票を獲得しなければならない 創価学会員1人が死亡するとその学会員が依頼していたフレンド票も失う

創価学会員の数は日本全国で300万人弱です。18歳以上年齢が1億人なので有権者の中で考えればおよそ3%弱の学会員がいることになります。

これだけでは公明党600万票~700万票には到底届きません。この創価学会員数と実際の公明党得票数の差は、創価学会員1人あたり知人への選挙活動で1以上のフレンド票を獲得していることによるものです。

そのため創価学会員が高齢化で1名死亡すると単純に1票減になるというそんな簡単な問題ではありません。

公明党の得票数減少を要因分解をすると以下の3つになります。

1. 創価学会員が死去することによる減票

2. 死去した創価学会員が開拓していたフレンド票が他の政党に向かってしまうことによる減票

3. 存命の創価学会員であっても学会員の高齢化による老耄により、フレンド票を繋ぎ止めることに失敗する減票

1.のように創価学会員が死去するのも単純に減票になりますが、その学会員が知人に依頼していた票が他党へ流れてしまう2.の要因もあります。つまり学会員が1名死ぬと票が2票以上減ってしまうということです。

さらにまだ創価学会員が存命だとしても高齢になると求心力を維持できなくなります。そうなると、「別に公明党に投票しなくてもいいか」と甘く見られるようになりフレンド票の減少に繋がります。

次の衆院選は2019か2020年に実施されるため、公明党の得票数は650万票くらいでしょう。公明党にとって苦しいのは次の衆院選でホルムズ海峡への自衛隊派遣や改憲が争点となって全体の投票率が上がってしまうことです。全体の投票率が上がってしまうと、2017年衆院選のように公明党は再び苦戦を強いられるでしょう。