安倍首相と菅義偉官房長官、麻生太郎財務大臣と並んで安倍内閣のキーマンである甘利明氏の不起訴が確定しました。嫌疑不十分だったようで、まさにその通りだと思います。
常会が6月1日で閉会し野党の追求を逃れることができ、不起訴も決まり甘利さんには障壁がなくなりました。
急に体調が良くなったことを都合が良すぎると非難している人もいるようですが、人間はそういうものです。何か面倒なことがあると調子が悪くなるものですし、それがなくなれば体調というのは自然と良くなるものです。
アベノミクスの司令塔である甘利さんの不在は安倍内閣にとってマイナスでした。
今後どこまで甘利さんが安倍内閣に関与する形で復帰するかが問題です。
満額回答は石原伸晃氏には退いてもらい、甘利さんが経済再生担当大臣に再び就くことです。
ですがそれは難しいでしょう。
少なくとも、小渕優子元経済産業大臣が使った戦法である、衆院選後に「禊は済んだ」という展開に持って行かなくてはなりません。
そのためには衆院解散が必須ですが早くても今年の師走選挙でしょう。
できれば甘利さんには日欧EPAという大きな仕事を担当してほしいですが、日欧EPAは年内妥結を目標としておりそれまでに甘利さんが関与できるかというと難しそうです。
それでも、わざわざ閣僚として行政に身を置かなくても、議会の通商担当として活躍の場はあると思います。
少なくとも衆院選後に、安倍さんが甘利さんの人事をどうするかが注目点です。
極端な話をすると、衆院の任期は2018年12月までですから、それまで参院選もありません。つまり安倍さんの自民党総裁二期目の間は選挙がないフリーハンドです。批判を覚悟で甘利さんを任用する手もあります。そして2018年8月頃に総裁任期切れ前ぎりぎりで、いわゆる追い込まれ解散にならないようにうまく解散してもし勝てば総裁3期目があるかもしれません。これは安倍さんらしくない「石橋を叩かないで渡る」ものなので確率は低いですが可能性としてあります。
今後衆院解散のきっかけとなるのは秋にTPPを批准した後にTPPを争点にするかどうかくらいしか今のところはありません。
場合によっては大統領選の後に、日米安全保障条約を日米相互防衛条約に格上げすることを米国に要求されたり、防衛費を対GDP比で現在の1%から4%まで引き上げることを米国に要求されるということで、そのような外的要因を争点にして解散することはあり得ます。
英国のEU離脱など今年は材料が盛りだくさんなので、どちらに転んでも損しないようにポジションを張っておくのが得策でしょう。