2017衆院選、解散前の35議席から6議席も敗北し29議席に堕ちて惨敗した公明党 定数10減でも公明党は1議席でも落としたら「負け」だった 大惨敗とされる希望の党を上回る公明党の議席減少率

2017衆院選での自民党の議席数については既に「2017衆院選で自民党完勝!衆院総議席数10減でも284議席を獲得し、解散前の現状維持どころかむしろ議席占有率を伸ばす」の記事で論じています。

今回は、今のところ自民党と連立を組んでいる公明党の議席数増減について事後分析してみます。

2017年9月28日の衆院解散後に週刊文春による公明党樋口尚也前議員の不倫報道で公示前勢力が34議席になった

まずは基礎中の基礎として、大学の教養科目の憲法では勿論のこと、中学校の公民でさえ扱う知識の確認です。

参議院議員はたとえ選挙で落選しても任期満了までは議員であり続けます。

しかし、衆院議員の場合、衆院解散をした時点で衆院議員は全員失職です。つまり解散した時点で無職になります。ただし、国務大臣に就任している前議員は衆院議員の職位は失っても国務大臣の職位は失いません。既に議員ではありませんが、行政のトップとしての内閣のメンバーとしては存続するわけです。

そして衆院選の候補者は無職のまま選挙を闘い、めでたく当選したら数日後に議員の地位を得ます。

今回の2017年衆院選の時系列としては、2017年9月28日に衆議院は解散されすべての衆院議員が失職しました。

そして10月5日発売の週刊文春によって、公明党所属の樋口尚也前議員の不倫報道がなされ、公明党は給与樋口尚也氏の公認を取り消し、本人に離党させるという方策を採りました。

樋口尚也氏は比例近畿ブロックからの選出なので、公明党が解散前に比例で獲得していた26議席のうち比例1議席分を公示前に失ってしまったことになります。

その後10月10日が公示日だったので、公明党は「解散前勢力」としては確かに35議席あったのですが、「公示前勢力」としては34議席とするメディア(テレビ局・新聞社)がありました。

ちなみに、この樋口尚也氏の不倫報道に先立つ9月27日には公明党所属の参院議員 長沢広明が議員辞職&公明党離党しています。これも9月28日発売の週刊文春による長沢広明氏の不倫報道が発端になっています。

つまり2017年衆院選の解散前後から公示日前後の間に、2度の週刊文春報道によって公明党は参院で議員一人辞職&離党、衆院で公認候補が一人離党しています。

まとめると、2017年衆院選における公明党の公示前勢力としては、公明党の勝敗ラインとして厳し目の35議席と、若干それよりはゆるい34議席という2つの公示前勢力の設定があったわけです。

公示前勢力を35議席と厳しく見積もった場合でも1議席落としただけで負けだった公明党

まずは公明党の公示前勢力が35議席だったパターンから見てみましょう。これは公示前を34議席とするよりも若干公明党にとっては高いハードルになるパターンです。

公明党の35議席について解散前の全総議席数475に対する比率を計算すると7.37%になります。

これを総議席数10減後の465議席に乗じてみると34.26議席になります。

こんぽ34.26議席を獲得すれば公明党は公示前の35議席と同等の勢力を維持したことになります。

実際には少数の議席は獲得できないので、もし35議席獲得したら公示前よりも議席占有率を伸ばしたことになり「勝ち」であり、もし34議席獲得だったら公示前よりも議席占有率を減らしたことを意味し「負け」となります。

つまり、今回の2017年衆院選では公明党は1議席でも落としたら「負け」だったのです。

公示前勢力を34議席と甘く見積もった場合でも1議席落としただけで「負け」

次に公明党の公示前勢力を34議席としてみます。これは公明党にとって都合のよい設定です。公示前勢力が34議席なら、たとえ選挙結果が34議席でも現状維持ということで負けにはならないからです。

解散前の衆院総議席数475のうち公明党の34議席が占める割合は7.16%です。

これに総議席数10減後の465を乗じると33.28議席になります。

これが意味するところは、公明党が34議席を獲得したら議席占有率を僅かに増やし「勝ち」となり、33議席の獲得にとどまったら議席占有率を減らすので「負け」となります。

つまりこの公示前34議席とした場合でも、1議席でも落としてしまったら公明党は「負け」だったわけです。

結果は小選挙区1敗8議席+比例5敗21議席=29議席

公明党の公示前勢力を35議席とするパターンと34議席とするパターンでも、1議席でも失ったら議席占有率を減らして負けが確定していたことは説明しました。

自民党は議席占有率がそもそも61%と高いので、総議席数10減の影響を考慮することによって、自民党が6議席減までだったら自民党は「勝ち」だったのと対称的です。

結果は公明党はたった29議席。公示前勢力を35議席とするか34議席とするかに関係なく、大惨敗となりました。

公示前勢力を35議席とした場合、公明党は6議席減らしたことになり、議席獲得数はマイナス17.14%です。

公示前勢力を34議席とした場合、公明党は5議席減らしたことになり、議席獲得数はマイナス14.70%です。

どちらにしても減少率二桁の大幅減だったということがわかるでしょう。

公明党は希望の党(公示前57議席→50議席:12.28%減)を上回る惨敗となった

以上みてきたように、公明党は甘く見積もっても14.70%の議席減であり、厳しく見積もると17.14%の議席減の惨敗となりました。

希望の党も惨敗だと報道されており、当サイトでも2016年から一貫して小池百合子批判(産めないババア批判)をしてきたので、希望の党惨敗を歓迎しているのですが、公明党はその希望の党を上回る大惨敗となったわけです。

理由は、希望の党は公示前の57議席から7議席減らして50議席となったので12.28%減ですが、これは公明党の議席減少率である14.70%(厳しく見積もると17.14%)を上回る減少率です。

希望の党惨敗のみがクローズアップされて報道されていますが実は公明党はそれ以上の惨敗をしており、また既に掲載したこちらの記事に記載した通り、自民党はむしろ今回の選挙で議席占有率を上昇させています。

自民が勝利した中で希望の党以上に惨敗した公明党。これは自民党と公明党の間の隙間風を「亀裂」に昇華させた大事件だと言えるでしょう。自民党の発言力が高まり、公明党の発言力が落ちるのは必至であり、自民党支持者としては嬉しい展開です。