2017年284議席を獲得し解散前よりも議席占有率を増やしたわけですが、それよりも嬉しい事態が起こりました。
今朝(2017年11月2日)の産経新聞第一面を見て驚いたのですが、最近なりを潜めていたTPP11が今月11月中に大筋合意に至りそうな勢いだということです。
これまでの経緯を説明すると、2010年頃に当時の民主党政権が「TPP交渉に入るかもしれない」と言っただけでJA全中・農林中央金庫を始めとした農協グループが猛反発。
2011年初頭から農協グループ総出で「TPP交渉入り反対」署名運動を繰り広げていました。
2012年11月には民主党政権の野田佳彦首相が衆議院を解散しましたが、その当時に自民党は「民主党はTPP交渉入りで日本の個人農家を破壊しようとしている」と民主党を叩いていました。
そして2012年12月の衆院選では、自民党の安倍総裁は「聖域なき関税撤廃を前提とする限り、TPPには参加しない」という公約で衆院選で自民単独で絶対安定多数を獲得、公明党とあわせて衆議院総議席数の2/3を獲得するという大勝をおさめます。
しかし第2次安倍内閣発足の数ヶ月後の翌年2013年、安倍政権は「TPP交渉入り」を宣言しました。
元から交渉にはいってた国の中で、カナダが最後まで「日本国の交渉入り」に反対していましたが結局は賛成し、めでたく日本のTPP交渉参加が実現します。
そこで農協グループは猛反発。2013年の参院選では自民党候補を支持せず、事実上農協グループは自民党の支持団体から離脱し、自民党と決別しました。農協グループは民主党・民進党・立憲民主党・共産党といった「資本主義の負け組政党」と共に歩むことになりました。
さらに農協グループは2014年衆院選でも自民党候補を落とすよう働きかけるも失敗。安倍政権は継続し第3次安倍内閣が発足します。
そして2015年9月に集団的自衛権行使を認める安保法制が成立した翌月の2015年10月、ついにTPPが大筋合意に至りました。当時の甘利経済再生担当大臣が米民主党オバマ政権のフロマンUSTR代表をねじ伏せてなんとか大筋合意を勝ち取ったわけです。
次に一旦自由貿易の流れがしぼみます。2017年1月20日に発足した米共和党政権トランプ大統領は、TPPを離脱する大統領令に証明し、日本の農協グループは歓喜一色でした。
しかし、その農協グループの歓喜はつかの間の喜びでした。
2017年7月に日欧EPAが大枠合意してから雲行きが怪しくなり、2017年10月にはまたしても自民党が衆院選で大勝し2012,2014年に続いて安倍総裁率いる自民党が3連勝となりました。
その衆院選の翌月11月上旬にベトナム会合で大筋合意の予定です。そこで大筋合意できるかはまだわかりませんが、2018年には米国の中間選挙があるため、カナダ・メキシコといったNAFTA加盟諸国は大筋合意を急いでいます。米国共和党が選挙で勝つための槍玉に挙げられたくないためであり、さっさとTPP11を大筋合意に持っていって、米国が強硬にでてくるなら「TPP11があるからNAFTAは放棄する」といった盾としてTPP11を使いたいためです。
2018年は日米FTAも標的になるでしょう。これは企業に農業を担当させるという荒療治的な農協改革のための良い黒船になります。
日本が日米FTAを飲まざるを得ない原因 米国に軍事力を依存しているから 憲法9条改正や軍拡に反対してきた馬鹿な農協グループの自業自得
日米FTAは条約なので、日本が交渉を拒み、また署名されても衆議院の過半数で批准しなければ発効しません。
つまり日本が嫌なら日米FTAを足蹴にできます。しかしそれができないのは、日米FTAに応じないと米国は日本を事実上防衛しないと足元を見てきているからです。
個人農家や農協は国からの補助金(国民からの国税徴収や国債発効が財源)で食っていってる穀潰しなので、農協グループは軍拡に反対です。
軍拡をしたらそちらに一般会計予算の財源を取られてしまい、個人農家に補助金が入らない=農協が中間搾取できる手数料が減ってしまうからです。
よって農協グループは一貫して、憲法9条反対、自衛隊の軍化反対、防衛予算拡大に反対してきました。
そのため、米国の軍事力に依存するという構造は今日まで続いてきました。そのせいでTPP交渉に応じなくてはならなくなり、米国がTPPを離脱してもTPPよりも米国の言い分を反映しコメ関税撤廃に踏み込んでくる日米FTAを突きつけてきているわけですから、ここまで米国の通商圧力で日本の個人農家や農協が、自民党に冷遇されてきているきているのは農協の今までの失策にあると言っていいでしょう。まさに自業自得です。