日本軍需株の時代が到来です。
米大統領選はEU離脱と同じ流れになりました。事前の予想を覆しトランプ氏が次期大統領に選ばれました。
世界各国は、自国最優先主義、軍国主義の道を歩むことが決定的になりました。実際に日本では軍需株が上昇率トップ5に3銘柄もランクインするなど金融市場は軍拡を織り込んでいます。
TPPは破棄されても、トランプ大統領はそれ以上に日本の個人農家と農協にとって不利である、重要5品目の関税完全撤廃という不平等な協定を結ぶ予定でいると伝えられています。実務を取り仕切るペンス副大統領が共和党きっての自由貿易推進強硬派だからです。
機雷を作る石川製作所、機銃を作る豊和工業、レーダーの東京計器の3社が株価上昇率トップ5入り
2016年11月9日の東京株式市場では、多くの銘柄が大暴落し日経平均株価も大きく下げる中、10%を軽く超える上昇率を叩き出した銘柄がありました。
上昇率トップ5のうち、なんと3銘柄が軍需企業です。
1位 東京計器 株価: 7721 (TYO) ¥207 +31.00 (+17.61%)
東京計器は海戦、空戦、陸戦すべてで重要になるレーダーを製造する企業です。特に航空機向けの装備で強く、陸海空とも航空機は保有しているので最も自衛隊を幅広くカバーする軍需企業と言えます。
3位 石川製作所 株価: 6208 (TYO) ¥694 +87.00 (+14.33%)
石川製作所は金融関係者の間で最も知られている軍需企業であり、兜町の人が「戦争が近づくと上がる銘柄」として認知しているほどです。海上封鎖を行うために使う機雷を製造している企業です。日本の機雷は上昇するときに自動追尾するという、世界的にみても高い技術力をもっている分野であり、海上自衛隊の予算が増額されれば米国の軍需企業ではなく、石川製作所から調達するということを織り込んでいるのでしょう。
4位 豊和工業 株価: 6203 (TYO) ¥592 +65.00 (+12.33%)
そして主に陸上自衛隊向けの銃器を製造している豊和工業です。日本としては陸軍より海軍の方が重要なので、石川製作所よりは豊和工業の方が少し弱いと言えます。この分野では日本の企業はあまり強くありません。米国から調達することも考えられますが、今のところは国内調達しているようです。
この3社に共通していることは、売上高のうち軍事が占める比率が非常に高いことです。ほぼ軍に特化している企業といってもいいでしょう。
だから三菱重工や三菱電機などの、他の分野も手がけている企業は大幅下落しました。軍需株ならどこでもいいわけではなく、売上高の大半が自衛隊向けの納入である企業であることが重要です。軍需のみに特化している中小の軍需企業が大幅高になったのは明確に日本の軍拡を織り込んでいます。
トランプ大統領誕生で農協グループと農家は壊滅的打撃 TPPよりさらに不利な協定を結ばされる
トランプ氏の主張は、米国の農品目は関税をかけてないのに、なぜ日本は関税をかけているのかという不平等を是正することです。
つまり米国はコメを輸出していて、輸入には関税をかけていないのにもかかわらず、日本は700%を超える関税をかけている。この関税を撤廃できなかったTPPは不平等だとトランプ氏は言うわけです。
トランプ氏はTPPを破棄するでしょう。ですがそれは日本の農家や農協にとってさらに悪夢になることを意味します。TPPよりさらに日本の農業関係者とって厳しくするのがトランプ氏の方策です。特にコメの関税撤廃については徹底的に強く切り込んでくるでしょう。ここが日本の農協グループのアキレス腱だとわかっているからです。米国の農家にとって有利になる協定を結ぶことをトランプ氏は目指しており、それを結ばないと在日米軍を撤退させるつもりだと脅してくるのはTPPと同じ手法です。
日本軍需株の時代がすでに到来 対GDP費1%の防衛費は最低でも3%まで上昇、最大で4%台になり、現在の防衛費5兆円が15兆円~20兆円まで上昇
日本の軍需企業にとってはこれ以上ない朗報でしょう。
日本の防衛費は現在対GDP費1%の5兆円です。一方で南や台湾、ロシアなど日本の周辺国は4%台です。
先進国の平均は3%であり、平均水準まで上げるだけだとしても2ポイントの増加。金額にして、自衛官の人件費も含めて10兆円も軍需産業が拡大します。さらに米国と同じ負担率にするならば4%です。そうすると20兆円になり、現在の5兆円から15兆円も増えます。
これは各軍需銘柄の売上高が単純に2~3倍になることを意味します。
だからこそ自衛隊向けの軍需比率が高い、東京計器、石川製作所、豊和工業が大幅高になったわけです。売上高の絶対額は大きいが、その中にしめる軍需比率はあまり高くない三菱重工が大幅下落したのはそういった理由です。
日本の市場は人口減でほぼ飽和していると言えるでしょう。ですが日本はまだ対GDP比率でたった1%しか防衛費をかけていないことから、軍需産業というこれほどまで伸びしろのある市場は日本が持つ最後の成長産業だと言えます。ドイツでさえ1.5%なので、日本の1%がどれだけ低いかがわかるでしょう。軽く10兆円以上の市場拡大が期待できる軍需産業が今後8年続くだろうトランプ政権下で大きなテーマになります。