2018年3月12日(月曜日)に財務省が決裁後の文書を書換えていたことを真正面から認めた旨を国会へ報告しました。
普通なら株価暴落と予想されますが、実際は前営業日(金曜日)の米国株高をそのまま引き継ぐ形で日経平均株価は上昇しました。
これは財務省が素直に不祥事を認めたことが金融市場に好感されたからです。今後どのような不安材料が出るかわからない不確定性のある状況を金融市場は嫌います。不安材料が出て確定してしまうと株価というのは自然と上昇するものです。
この傾向は翌営業日の2018年3月13日に如実に現れました。
日経平均株価は+144円高の+0.66%高で15時に引けました。さらにその後も取引されている日経平均先物は夕刻以降さらに上昇し続けています。
しかも前日の米国ダウ平均株価は-0.62%と下落していました。
これを引き継ぐなら日本の日経平均株価もTOPIXも下落しておかしくなかったのですが、米国株安をはねのけるほど日本の株式市場での上昇圧力が大きかったことになります。
これは米国の要因でもなく、日本国内の個別要因です。
上昇している銘柄をみてみるとその要因がわかります。大きく上昇している株はNRIなどのIT株、新興企業のコンサル株などで、これは自民党政権時のように好景気が続くときには大きく上昇し、野党6党が政権を握る民主党政権時のような景気悪化時には暴落する銘柄です。
手堅いとされる日本電信電話などのインフラ株は低調です。投資家心理が改善されると、インフラ株よりもより好景気の恩恵を受ける銘柄に資金が移ります。
これは2018年3月13日において、財務省の決裁後文書書換え問題の後処理について、各政党の代表のコメントが軒並み出揃い、その発言内容が金融市場において評価されたことの傍証になっています。
自民党は麻生大臣辞任否定、佐川元国税庁長官招致にも否定的
立法府の議会としての自民党のトップは二階俊博幹事長です。国会としてどのような対応をするのか決めるのは安倍総裁ではなく二階幹事長の権限です。
そして二階幹事長は財務省が正式に決裁後文書の書換えがあったことを報告する前日3月11日から、麻生大臣の辞任は不要で、佐川元国税庁長官の招致も不要だという認識に至っていました。
自民党内部で麻生大臣や安倍首相の辞任に言及するのは、2015年9月に成立した集団的自衛権行使を認める安保法制成立に先立って自民党総務会で唯一反対して途中退室した村上誠一郎くらいです。この議員は一匹狼でいつも足並みを乱すので党内でまともに相手にされていません。
また二階幹事長は、石破茂が日本獣医師連盟から献金を受けていた旨の産経新聞報道を「ご参考」として幹事長室名義で全国の自民党都道府県連にメール送信させたほど石破茂を相当嫌っているので、二階俊博氏が幹事長をやっている限りは特に問題ないでしょう。
公明党は「まず国会審議の再開が先で、必要だったらその次に佐川元国税庁長官の招致を検討すればいい」との立場
公明党の立場は2018年3月11日(日曜日)の時点から麻生大臣の辞任に否定的でしたが、13日にもあらためてその意思を表明しました。
公明党の山口那津男代表は13日午前の記者会見で、野党が求める佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問について「もう少し冷静に考えるべきだ」と指摘した上で「まず国会で議論し、麻生太郎副総理兼財務相に説明責任を求めた上で、必要性があれば、国会として判断することになる」と述べ、参院予算委員会などを再開してから検討すべきだとの考えを示した。
佐川氏が国税庁長官を辞任したことを踏まえ「民間人を参考人として国会に呼ぶのは全会一致で決めるのが基本的なルールだ」とも語った。
産経新聞 2018年3月13日 http://www.sankei.com/politics/news/180313/plt1803130055-n1.html
山口那津男代表としては麻生大臣の辞任は不要との考えて一貫しています。
また佐川元国税庁長官の招致にも消極的で、野党が審議拒否している国会議論を再開させてその議論の中でどうしても必要なら招致も一つの案として考えているようです。
また、既に佐川氏が国税庁長官を辞任した以上公人ではなく民間人であり、既に公務員ではありません。もう公務員でなくなった人物をわざわざ招致するのには消極的なのも山口那津男代表らしい考えです。
たとえば文部科学省事務次官を務めた前川氏についても、「すでに辞められた人物だ」として前川氏の発言をまともに相手にしていませんでした。
公明党の立場としては、文部科学省事務次官が掌握している事務についてなにか問題があれば、現在の事務次官にきく。または財務省理財局長が掌握する事務について問題があれば、現在の財務省理財局長に答弁させるという考えを持っているのが公明党です。
その根拠としては、行政機関の建前としては行政の業務というのは属人的であってはならず、誰が(どの自然人が)務めているかは問題ではなく、局長や長官といった権能を持った機関自体のみを感知するという考えが講学上は普通だからです。
公明党の山口那津男代表も井上義久幹事長も理詰めで理屈を重視する人なのでこういった見解になるのでしょう。
日本維新の会は「麻生大臣は辞任せず財務省改革のため続投を支持」 ただし佐川元国税庁長官招致には積極的
意外と株高に貢献していると思われるのが日本維新の会の立場です。日本維新の会は麻生大臣の辞任には否定的ですが、佐川元国税庁長官の国会招致には積極的です。
日本維新の会の馬場伸幸幹事長は13日の記者会見で、学校法人「森友学園」への国有地売却問題をめぐる財務省の決裁文書書き換え問題に絡み、当時の理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問や参考人招致が必要との認識を示した。「総責任者である佐川氏に国会として話を聞くのは当然だ」と語った。
麻生太郎副総理兼財務相の進退については「事実を究明し、再発防止策を制定することが今の段階での(麻生氏の)責任だ」と述べ、辞任は不要との見方を示した。
産経新聞 2018年3月13日 http://www.sankei.com/politics/news/180313/plt1803130058-n1.html
日本維新の会の立場としては、麻生大臣の責任とは「事実を究明して説明責任を果たし、決裁後文書書換えを今後防ぐ再発防止策を策定する」こととしているようです。
その一方で、佐川氏が理財局長だったころに決裁後文書の書換えが行われたことから、佐川氏の証人喚問や参考人招致は必要だという立場をとっています。
私としては佐川氏の証人喚問は自民党や公明党にとって痛手にならないと考えます。つまり別に証人喚問するならしてもいいのではないかという考えです。
その理由として、文部科学省事務次官を務めた前川氏のような例外中の例外のような国の行政職員とは違い、佐川氏は安倍政権に迷惑をかけまいとあの答弁をし、その答弁に辻褄をあわせるために決裁後文書の書換えを命じたからです。
つまり近畿財務局が作成した文書で揚げ足を取られて安倍政権に迷惑をかけられないと考え、理財局長だった頃にわざわざ自ら地雷を踏むような危険な対応をしたのが佐川氏だったことになります。
私の予想では、佐川氏は責任転嫁や自己防衛の弁論をせず、佐川氏自身にすべての責任がある旨の答弁を証人喚問ですると思います。つまり今回の近畿財務局や理財局での決裁後文書書換え問題をすべて佐川元理財局長に責任があると答弁し、そこから上(事務次官や麻生大臣)に責任が及ばないよう自分のところでせき止める発言をすると予想できます。
それはすなわち、文書書換えを命令したことおいて刑事上の罪を認定される可能性があるということになりますが、安倍政権を存続させるためには佐川氏自身に刑事上の前科が付くこともやむ無しと佐川氏本人が考えていると想像できるということです。近畿財務局の職員が自殺したあとに佐川氏が国税庁長官を辞任したことも、自らの無理な文書書換え命令が原因で命を絶った職員がでてしまったことへ責任を感じていることの証左なので、佐川氏の証人喚問はむしろ安倍政権にとってプラスになると予想できます。
負け組野党6党は麻生辞任どころか安倍内閣総辞職も要求
低所得層が支持している負け組野党6党については、野党6党のコメントをいちいち聞かなくても誰もが予測できるほど単細胞です。
特に公安調査庁による監視対象人物である共産党の志位和夫は内閣総辞職を要求していますが、共産党がこのようなことを言い出すとたいてい実現しないので、逆神共産党のおかげで逆に株価が上がっている側面もあると思います。