東京新聞=中日新聞が同日選はないとほぼ断言してる一方、どちらかというと東京新聞は同日選はやってほしくないという願望入りで記事を書いている感があります。
毎日新聞もどちらかというと願望入りの記事を書くことがあり、2013年末に安倍首相が靖国神社参拝を表明したときも参拝表明の数日前に「首相、年内の靖国神社参拝見送りへ」というニュースを掲載していました。結果的にはそれは毎日新聞の願望記事でしかなく、安倍首相は靖国神社に参拝したわけです。
新聞というのは願望を書く場合と、しっかりと自分なりに予測をして書く場合とがあるのでどちらなのか見抜く必要があります。
今回の毎日新聞の「同日選はあり得る」という論調で記事を出したのは毎日新聞なりの”予測”と言えます。本来ならば毎日新聞は朝日新聞や東京新聞のように同日選を歓迎しない側ですから、あえて同日選を支持する必要はないからです。願望記事なら「同日選見送りへ」になっていたでしょう。
週刊誌だと「週刊ポスト2016年6月3日号」に真新しい情報はありません。オバマ大統領の広島訪問決定で、以前よりも同日選をやる環境が整ってきたという誰でも知っているような内容です。
では何も材料が無いかというと昨晩産経新聞が掲載した記事が興味深いです。
安倍さんの盟友であり側近でもある衛藤首相補佐官が「安倍首相は悩んでいる」と政治資金パーティーで同日選について発言しました。「安倍首相は悩んでいるようから私に訊かれても同日選のことはわからない」ということです。
衛藤氏は「国防軍設置、憲法9条改正、政教分離の徹底」という考えを持った安倍首相顔負けの保守主義者であり、自民党内では脇役にすぎず目立たなかった安倍さんを90年代から育てて、森・小泉内閣で安倍さんが官房副長官に抜擢されるほどの下地を作った功労者でもあります。
また香川県高松市の地方公務員である市役所職員が衛藤氏への比例代表票を”すべて白票(衛藤氏0票)”扱いし、さらには地方公務員自ら票に書き込んで捏造するなどして6人の地方公務員が起訴されました。その被害を受けたのがまさに衛藤首相補佐官というわけです。
衛藤氏の存在は地方公務員などの民進党を支持している勢力にとってはやっかいなため衛藤氏の得票をなかったことにする”もみ消し”という被害を受けたと言えます。
その衛藤氏が「首相は悩んでいる」という発言。
ここで2つの可能性が考えられます。衛藤氏は安倍さんと協議してマスコミの前でどのような発言をすべきか事前に2人で決定していたパターン。本当は同日選を行うかどうかは決まっているものの、衛藤さんを通じて「悩んでいる」と発信して惑わせようという情報戦を仕掛けた可能性というパターンです。
もう一つが完全に衛藤氏個人の率直な意見というパターンです。
前者だとしたら、すでに同日選を行うかどうかは決定しているが、あいまいなことを発信しておくことで野党の混乱させる狙いがあります。野党からすればあるならある、ないならないと確定的にしてくれると楽なわけです。一番面倒なのは私達のように同日選があるかどうか気にしなくてはならないことです。金融市場関係者からみれば同日選があるかどうかは気になる材料ですが、それは野党も同じでありそこに情報格差はないということである意味公平です。
そして衛藤氏は何も知らされておらず本当に「首相は悩んでいる」と発言したパターンもあり得ます。
2014年解散のときは、安倍首相は衆院解散することを菅義偉官房長官にしか相談していなかったとされています。そして解散を決断したら首相補佐官や内閣官房参与である飯島さんに伝達してTV番組中で解散スケジュールを暴露するという情報戦を仕掛けたと言えます。
だから今回も本当のことを知っているのは菅官房長官だけかもしれません。
本当に今でも「悩んでいる」としたら、それはオバマ大統領が広島訪問を完了したあとの週末土日の世論調査の結果を見てからにしようと思っているのでしょう。
もちろんこの世論調査はテレビ局と新聞社が行うものだけではなく、自民党が独自にやるものを重視するはずです。オバマ大統領と同行した広島訪問の評価や支持率が高くても議席が取れなくては意味が無いので、議席が取れるかどうかの観点からの調査をするわけです。これが良ければ解散してもいいと思っているのかもしれません。
どちらにしても動きがあるのは土日の間になってしまうでしょう。つまり金融市場は休みです。月曜にどうなっているかは誰にもわからないので、安全策で言えば金曜日までに金融商品のエクスポージャーをゼロにしておくのが普通のヘッジディーラーです。あえて大きく株価上昇か下落を狙うという個人投資家がよく使う賭けにでる方法はあまりスマートとは言えません。