上場企業として恥ずかしい資生堂の「25歳は女の子じゃない」CM

久々に本当にひどい企業活動を見ました。資生堂が「25歳は女の子ではない」と友人の女性から話しかけられる内容のCMをつくったことが問題化しています。

批判を受けて、資生堂はこのCMを使うことを中止したようです。

この問題は「古い男の価値観の押し付け」だという批判が多いとのことですが、そうではなくむしろ私は年配女性から若い女性への価値観の押し付けとしてこのCMが企画されたと考えています。

資生堂という会社は平均年齢40歳の女性が切り盛りしている

これはどの民間企業でも同じですが、従業員の平均年齢は40歳です。22歳頃に入社して60歳頃に定年退職するのでだいたい平均年齢が40歳になるのはどの企業も一緒です。

資生堂という会社が変わっているのは女性比率が圧倒的に高いことです。完全に女性がすべてを切り盛りしている会社だと言ってもいいでしょう。つまり安倍政権が目指している「女性が活躍」できる世の中のまさに見本のようなものが資生堂です。

ということは企業ならどこでも同じですが何かを決めるのなら稟議をたてる、つまりお伺いをたてて決済を得ることが必要です。日本の企業は合議でものごとを決めるので、そこはほぼ多数決社会です。つまり女性が多数派の会社である以上、企画内容に女性が反対するような要素があったらそもそも通らないという事実があります。

資生堂は女性が多数派の企業である このCMを作っているのは女性陣であり 「男の価値観」という批判は的外れ

産経新聞の記事によると、ネット上ではこのCMについて「男の価値観」だという批判があったようです。

なぜ「25歳は女の子じゃない」というものが「男の価値観」なのが意味不明ですが、そういった声がネットに上がっていたことは事実のようです。

しかしこの批判は完全に的外れであることを以下説明していきます。

つまり、もし本当にこのCMの企画が「男の価値観」として批判されるようなものなら、そもそも女性が多数派である資生堂の会社組織においてそのようなCMの作成にゴーサインが出るわけがないのです。

稟議書どころが合議の時点で完全にそんな案は潰されてしまうでしょう。

仮に資生堂の中で働いている心無い男性従業員が、今回のようなCMを仮に企画したとしても、そのようなものは女性陣の猛反対で案が通過するわけがないのです。

だから資生堂のCMに「男の価値観」が反映された結果、今回のような問題のあるCMになったというのは的外れな指摘です。

このCMは平均年齢40歳の女性陣が企画したと見るのが妥当

つまりこのCMの企画にはかならずベテランの女性従業員がかかわっています。入社したての若い女性だけではCMの内容を最終決定し決済するだけの権限はありませんし、女性比率が極めて高い資生堂において女性従業員の批判を押しのけて男性従業員がこのようなCMを作成することは不可能だからです。そんなことをしたら男性従業員は資生堂の中での居場所がなくなりますから、今回のようなCMは作成しないでしょう。

なぜ平均年齢40歳かというと、民間企業の平均年齢は40歳だからです。それ以上の理由はありません。

つまり資生堂という会社は女性が圧倒的多数であり、そして民間企業の平均年齢が40歳だということから、常識的に考えれば平均年齢40歳の女性がこのCMに関わっていると見るのが普通です。

ではなぜそのようなCMを作ったかと言えば、あえて扇動的な文言を入れることで消費者の注目を得たかったということに尽きるでしょう。売るためにCMを作成しているのですから、どうやったら売れるかと考えたときに、資生堂の従業員は「25歳は女の子ではない」という文言を入れようと結論に至り、実際にそのようなCMが世に出たと考えるのが普通です。

ではなぜ「25歳」という年齢を扱ってしまったか。それは女性同士の確執があります。平均年齢40歳からみた25歳の女性対する、羨ましさ、嫉妬というものがあると考えられます。

20歳はまだ学生であり消費者層として弱い

なぜ「25歳」という年齢が使われたのかについて考えます。「20歳」にしなかった理由は20歳はまだ学生でバイトをしている女性が多いので、購買意欲はあっても実際に消費能力がないからです。

30歳は大学卒業から時間が経って社会人として染まっており、平均年齢40代から「仲間」と認識されている

なら「30歳」はどうでしょうか。CMをつくるのは平均40歳の方々です。そして30歳の従業員も入社してから8年がたっていてそれなりにどっぷり「仕事が人生」のようになっている段階です。つまり平均年齢40歳の従業員からみたら、30歳の従業員もすでに社会人生活が長く会社にどっぷりつかっている「仲間」なのです。だから30歳女性に対する嫉妬心があるとは考えづらいです。

25歳はまだ学生ぽさが残っており嫉妬の対象であり、かつ消費能力もある

そしてその間の「25歳」です。25歳は大卒なら社会人3年目になっており月10万円以上は消費してくれるので顧客として最適です。大学院修了なら社会人1年目ですが、すでに社会人になっているので学生よりはお金があります。

さらに25歳という年齢はまだ学生ぽさが抜けていないので、22歳から60歳までいる企業内においてはかなり若い年代です。平均年齢40歳から見れば25歳はまだまだいろいろな可能性があって羨ましがられる年齢でしょう。

つまり、社会人として働いているからそこそこお金があるのでCMのターゲット層として最適であり、かつ25歳という若さが羨ましさ・嫉妬の対象になる年代だからこの25歳という年齢があえて使われたと考えられます。

日本の製造業をむしばむ「売れればどんな手段を使ってもいい」精神

CMは売るために打っているものですが、売れればどんなCMでも打っていいものではありません。今回の資生堂CMのように視聴者を不愉快にさせるCMは作ってはならないのです。

しかもそれは上場企業という資金調達が容易であり、法的規範以上に社会通念上の公序良俗に反しない活動をすることが求められている企業ほど徹底されるべきものです。

特にこのような「売れればどのような扇動的なCMを使ってもいい」のような価値観が日本の製造業(資生堂も製造業です)に蔓延すると日本の企業にとって致命的になります。アップルなどに代表される、「売れたものがいいものなんだ」という価値観です。

日本の重工業、特に自動車産業も重工業の一種ですが、こういった分野が未だに強いのはいいものを作っていれば、大きく目立ったり大流行したりはしないけれども評価してくれる根強い支持者がいるからです。

特にスバルなんかは地味なことをやっているのでトヨタよりは売上高はかなり低いですが、安全性ではトヨタより高い評価を米国で受けています。日本が強い光学技術なんかも非常に地味な分野ですが米軍から高い評価を受けており、日本が米国に買いたいとお願いしてもらえる数少ない軍事技術になっています。

逆にPCデポットの事件に代表される、「売れればどんな手段を使ってもいい」というものは日本企業の価値を下げるものです。

今回の資生堂のCMもあえて扇動的な文言を入れて消費者に注目させたり、扇動させて購入させても、その売上高の伸びは一時的なカンフル剤に過ぎず、長期的に持続するものではありません。

私はこのような手法で収益をあげようとする事業法人を全く評価しませんし、株価というのは将来のキャッシュフローを現在価値に直したものの期待値ですから、一時的に扇動的な「売り方」で売れても、それは長期的に持続する確かな価値に裏付けされていないものなので株価には全く反映されません。むしろ評判を落とすことによるブランドプレミアムの減少の方が大きいでしょう。

消費者を焦らせたり、扇動させて不安を持たせることによって消費させる、これは技術力に自信のない企業が追い詰められて使う手法です。資生堂が追い詰められているのかどうかは知りませんが、真に良いものを作って消費者に良いと認識されて売上が伸びるという本来の企業活動に立ち返ってほしいと思います。