立憲民主党のような貧困層から支持されている野党が昭和時代から主張してきた「日本の防衛費は対GDP比1%未満でなくてはならない」という「暴力装置へのリミッター」を破壊することに成功しました。
左翼が今まで日本の軍事化を阻止するために死守してきた「1%ルール」が破壊されたのは、2015年の集団的自衛権行使を認めた安保法制成立以来の非常に大きな転換点です。
防衛費大幅増へ NATO基準でGDP比1.3%
政府は防衛費について、北大西洋条約機構(NATO)の算定基準を導入し、平成35年度までに対GDP(国内総生産)比1.3%に増額する検討に入った。装備調達の純増分などに加え、これまで防衛費に組み込んでこなかった関連経費を合算して実現する。また、F35B最新鋭ステルス戦闘機と多用途運用母艦を導入する方針も固めた。年末に策定する新たな「防衛計画の大綱」に明記する。複数の政府関係者が25日、明らかにした。
産経新聞 2018年11月26日 https://special.sankei.com/a/politics/article/20181126/0002.html
まずは経緯から説明します。
1967年以降の防衛費はGDP比1%未満 1976年には三木武夫首相が「防衛費は1%以内でなくてはならない」と閣議決定したものの撤回
日本の防衛費は1966年以前は対GDP比1.0%を超えており、戦後1945年以降でもGDP比2.7%の防衛費を超えた時代もありましたが、1967年以降は1.0%を超えることはありませんでした。
戦後は今日までずっと日本の国防費は1%未満だと勘違いしている人もいますが、実際は戦後でも2.7%だった頃があったわけです。
そして1976年の三木武夫総理が「防衛費は1%以内とする」と閣議決定しました。閣議決定なのでこれは法律ではありません。閣議決定は首相が決断さえすれば思い当たったその日にでも上書きしてしまうことが可能です。実際に2015年に集団的自衛権行使を認めた安保法制が成立した1年前の2014年には、集団的自衛権行使を認める旨の閣議決定を安倍首相が成し遂げました。
「1%以内ルール」を閣議決定した三木武夫総理はすぐさま米国から反発を受けます。日本の防衛費が減少すると米国の負担が増すどころか冷戦で西側が形勢不利になるからです。
米国の要請に従い「1%ルール」の閣議決定はすぐさま撤回されました。しかし法的根拠のない慣習(慣習法ですらない)として「防衛費は対GDP比1%以内にする」という暗黙の了解だけが残り現在まで続いていました。
それが今回のNATO算出基準採用で、1976年以来続いてきた悪弊を破壊することに成功しました。
NATOの算出基準を導入するという「ズル」で、「防衛費1%ルール」というリミッターを破壊することに成功
「暴力装置へのリミッター」を死守してきた左翼敗北
ここで重要なことは、防衛費の純増で「1%ルール」を破壊したわけではないということです。防衛費の純増で1%を超えることになると、貧困層の代弁者である立憲民主党が「防衛費を増やさず社会保障を増やせ」と負け犬の遠吠えをしてくるからです。
そこで国の職員は「防衛費を増やさなくても算出方法を変えてしまえばそれだけで1.15%にして1%ルールを破壊できる」という妙案を考案し採用しました。
そして「1%ルールを破壊して、新しい算定基準で1.15%になったあとに防衛費を純増させて1.3%にすればいい」としたわけです。
つまり防衛費は現在の5兆円から増やさなくても、算出基準をNATO基準に変更してしまうだけで日本の防衛費は対GDP比1.15%となり「1%ルール」を破壊できてしまいます。防衛費を増やしていないのですから野党が騒いでも2018年4月と同様に空回しの「無視」をしておけばいいだけです。
そして「1%ルール」を破壊して1.15%にできてしまえばこちらのものです。あとは防衛費を純増させて1.3%,1.5%と増やしていくだけだからです。1.0%という心理的節目を超えてしまえばあとは簡単です。
1.0%のリミッターを破壊するのと同時にしれっと0.15ポイント分の防衛費を純増させ1.3%に
さらに重要なことは、NATO算出基準の導入だけなら対GDP比1.15%なので、ここで終わりにしておくのが普通です。「NATO基準を採用したので今までの0.9%が1.15%になりました」だけなら野党も黙らざるを得ません。
しかし今回の日本政府がすごいところは、そのNATO基準採用と「抱き合わせ販売」的に防衛費を0.15ポイント純増させて1.3%にすることに成功したことです。
もし算出基準変更をせずに、今までの0.9%に防衛費純増で0.15ポイント増やし合計1.05%の防衛費にしていたら、低所得低学歴が支持している立憲民主党や共産党などのゴミ野党がさわぐだけです。
そこで防衛費純増の前に「NATO基準採用」というウルトラCを挟み込むことによって、まず最初に1%ルールを破壊してから、それと同時に防衛費0.15ポイント純増で合計1.3%にしてしまう手法をとりました。
これは非常にうまい方法であり「聖域なき関税撤廃を前提とするならば、TPPに参加しない」という言葉で馬鹿な農民を騙すことに成功したとき以来の妙案です。ちなみに私はTPPにも日欧EPAにも軍拡にも賛成しています。
防衛費が現在の0.9%から4割増の1.3% 純増分でも+16% 2018年11月26日月曜日の東京株式市場では軍需株が大幅高
防衛費が現在の0.9%からたった1.3%は少ないようにみえて非常に多額です。算定基準変更による軍需拡大はないにしても、0.15ポイント分の純増は日本の軍需企業の売上に直結します。
現在の防衛費0.9%から0.15ポイント純増すると+16%ですから、単純に軍需部門の売上高が16%増になるということです。
実際に産経新聞が2018年11月26日未明にこのニュースを掲載した日の東京株式市場では、日経平均株価が+0.76%、TOPIX+0.20%となっており日本株全体としては冴えないものでしたが、軍需株は好調でした。
防弾チョッキの材料を製造する北日本紡績は+5.32%高、軍需株の代名詞である石川製作所(機雷を製造)は+3.37%高、アサルトライフルを製造する豊和工業(トヨタ自動車の創業者が創業)は+2.96%高、弾薬用の火薬を製造する細谷火工は+1.58%高、銃弾を製造する旭精機工業は+1.54%高であり、いずれも日経平均株価(225銘柄)やTOPIX(東証第1部上場の全企業)を上回る上昇率です。
「平成の死」が軍事予算の増加を招くことに成功
2019年4月いっぱいをもって「平成時代」が終了しますが、今回の「1%ルールで暴力装置を抑え込むリミッター」が破壊されたことも平成終了の一貫です。
2012年に安倍総裁が首相に選ばれた時点で軍拡の時代は到来していました。2015年に集団的自衛権行使の安保法が成立し、翌年2016年には平成天皇が死ぬ前から在位を放棄し「平成終了」が確定しました。
平成という元号には「国の内外、天地とも平和が達成される」という意味が込められています。つまり平成とは「軍を嫌う平和な時代」そのものを指しています。それを体現してきたのが平成天皇でしたが、安倍総裁が首相に就任し、さらにトランプ大統領が誕生するという時代の流れから「平成」という時代も平成天皇も追い出されました。
その文脈上に今回の防衛費上限撤廃があります。現在のところの目安は対GDP比1.3%ですが、これはNATOが求めている2.0%まではすぐに到達します。さらにトランプ大統領は同盟国に4.0%までの負担を求めています。米国は対GDP比4.0%の防衛費を捻出しているからです。
軍拡をされると嫌がるのは立憲民主党や共産党や公明党に投票している低学歴低所得な貧困層です。特に母子家庭育ちの女は自民党に投票せず安倍政権を蛇蝎のごとく嫌っていることで有名です。
彼ら安倍嫌いな連中は、SMAP解散、安室奈美恵引退、小室哲哉引退といった「平成の終わりの象徴」の出来事が発生する度に「アベのせい」と騒いできましたが、私はその見方は正しいと思っています。彼らの精神的支柱である安室奈美恵のような人物が「平成の死」によってはじき出されたということです。
平成が終わり軍拡の時代がやってくるこの時代の流れの象徴を「アベ」や「トランプ」とみなすならば、「アベのせい」というのはあながち間違いではないでしょう。
安倍首相は「自民党を支持しないやつらが嫌がることをやればいい」という方針で、TPPで農民をいじめたり、母子加算廃止で母子家庭を潰したりしています。今回の軍拡もその一環になります。