なんと公明党山口那津男代表自ら「創価学会」という四文字を沖縄の街頭演説で口にする 共産党が相手だと感情的になってしまう公明党の山口那津男代表

自民党政権になった2012年からたった5年でここまで時代は変わったのかと思わされた出来事でした。

公明党の山口那津男代表が、沖縄の街頭演説で自ら「創価学会」という単語を口にしたという衝撃的なニュースが産経に掲載されました。

公明・山口那津男代表、沖縄で共産党批判を全開 「共産党は信教の自由脅かす」「創価学会が組織的犯罪集団になるはずない
http://www.sankei.com/politics/news/170706/plt1707060020-n1.html

この産経記事のFacebookでのシェア数は3,000を超えており、それなりに”ヒット”した記事でないとこのシェア数には届きません。

公明党の党代表が自ら街頭演説で「創価学会」という単語を口にしたという事実だけでも時代は変わったものだと感じさせられます。

私と同じく、他の人からみてもこの記事の内容は衝撃的だったのでしょう。

この言葉を引き出す要因を作ったのは共産党の志位和夫委員長です。

どうやら公明党のアキレス腱はまさかの共産党のようです。

当サイトを普段からご覧になっていない方に一応説明しておきますと、私は自民党支持者で産経新聞、フジサンケイビジネスアイ、日経ヴェリタスの3紙を紙面購読して情報源にしています。

公明党は創価学会と無関係という建前を崩さないよう注意してきた

政教分離の憲法判例として「津地鎮祭事件」という有名な判例がありますが、この判例では「国家が宗教とのかかわり合いをもつことを全く許さないとするものではなく」として、国が宗教との一定のかかわりを持つことを容認しています。

国事行為を行う天皇陛下は神道のトップですし、民進党の蓮舫代表でさえ年初には伊勢神宮を参拝してますし、全く関わり合いをもたないのはむしろ逆に不自然です。

かといってべったり結びつくのはダメだとも判示されており、「そのかかわり合いが右の諸条件に照らし相当とされる限度を超えるものと認められる場合にこれを許さないとするものである」というのが現在の政教分離の判断基準になっています。

つまり「相当とされる限度を超えてはダメ」という基準なわけですが、この基準は客観的な線引が難しくあいまいです。

集団的自衛権の行使容認と同じで、解釈のしかたによっては簡単に「政教分離でアウト」に持っていくこともできてしまうわけです。

公明党と創価学会は「相当程度の結びつきがない」ということで合憲になっているわけですが、今後「相当とされる限度を超えている」と判断されないように公明党の代表は細心の注意を払って、公明党代表としては「創価学会」という単語を口にしないようにして建前を守ってきました。

それが最近の共産党の大躍進と、共産党の志位和夫委員長による猛烈な公明党批判で、さすがに公明党の山口那津男代表も反撃せずにはいられなくなったようです。

冷静さが高評価の山口那津男代表、しかし共産党相手だと感情的に

公明党の山口那津男代表は政治家としてとても優秀だと思います。トランプ氏が米大統領選で当選したときも、自民党の議員がアホみたいに動揺している中冷静なコメントを出していましたし、公明党議員の人数が少ないせいもあると思いますが自民党のように不祥事議員を出さないように公明党議員の内部統制がしっかりできています。

しかし日本共産党が相手だと、「この前中国を訪問したときに日本の歴史ある政党は3つしかないと言われました。公明党と自民党と、あともう一つ言っていた気がするがどこの政党だか忘れました」と山口那津男代表らしからぬ発言が飛び出します。

このような当てこすりは公明党らしい”上品さ”がありません。

さらには2017年都議選中に飛び出した公明新聞による「共産党は3K(汚い、危険、北朝鮮)」発言です。公明党としては「公明新聞が勝手に書いたものであり、公明党の公式見解ではない」というものらしいですが、「共産党は3K」のようなチャレンジングな発言は公明新聞の独断で書けるようなものではなく、公明党代表にお伺いはたてているとみるのが自然です。

歴史的な公明党山口那津男代表の沖縄演説

都議選直後の2017年7月6日に公明党の山口那津男代表が行った沖縄での街頭演説は衝撃的なものでした。

公明党の山口那津男代表は6日昼、那覇市内で街頭演説し、同党支持母体の創価学会に言及して共産党への批判を繰り広げた。那覇市議選(9日投開票)に出馬している同党公認7候補者の応援のためにマイクを握った。

このなかで山口氏は、「テロ等準備罪」の新設を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法に触れ「共産党は『共謀罪』などとありもしない名前を勝手に付け、『創価学会の懇談会に参加すると気を付けないと逮捕される』といううそ、でたらめをばらまいている。まったくのうそ100パーセントだ」と声を張り上げた。
(産経新聞 http://www.sankei.com/politics/news/170706/plt1707060020-n1.html)

私は知らなかったのですが、どうやら共産党は「創価学会の懇談会に出席すると共謀罪の適用対象になる」と言って公明党を批判していたようです。

ここまで言えるのは共産党の芸当としか言いようがないのですが、さすがにこの発言には公明党の山口那津男代表も黙りを決め込むわけにはいかなかったようです。

公明党は以前からずっと共謀罪制定に反対してきました。2017年4月に共謀罪を制定する法案を審議入りさせるときも公明党は一貫して「臨時会まで先送り」を主張して「都議選後の成立でいい」という立場でした。

そのうえで、テロ等準備罪の適用対象が組織的犯罪集団に限定されていることを指摘し「創価学会が組織的犯罪集団になるはずがない。(創価学会の懇談会に参加しても)逮捕される可能性はまったくのゼロだ。にもかかわらず、うそを言いふらす共産党を断じて那覇市議選で勝たせてはならない」と訴えた。
(産経新聞 http://www.sankei.com/politics/news/170706/plt1707060020-n1.html)

当サイトの記事でも書いてますが、もしかしたら共謀罪法の解釈によっては公明党の支持母体が組織的犯罪集団にされてしまうのではないかという”一抹の不安”があるからこそ公明党としては”共謀罪法”に反対したいというのはとてもよく理解できます。

しかしそのことは公明党としては公言してはいけないものでした。

それが日本共産党が急所をついて「創価学会の懇談会に参加すると気をつけないと逮捕される」と猛批判してくるものだから、さすがに公明党の山口那津男代表としても黙っていられず仕方なく「創価学会」という単語を持ち出して真正面から日本共産党に反論したという格好です。

匿名でしか公明党を批判できない自民党民進党の国会議員 堂々と表に出て公明党を批判できるのは共産党だけ

自民党議員は自ら表にでて堂々と公明党批判をすることができません。

例えば公明党に対して自民党幹部が「出ていけるものなら出て行け」と自公連立解消してもかまわないと発言しましたが、これも名前を出して発言したものではなく”自民党幹部”という匿名です。

実際はおそらく二階俊博幹事長による発言です。

また2015年の安保法制の委員会質疑のときも、辻元清美議員が「安保法制で徴兵制導入」という発言をしてきたときに、公明党議員が「馬鹿か!」と辻元清美議員に対してヤジを飛ばしました。

辻元清美は、そのヤジが自民党議員によるものだと思っていたらしいのですが、実は公明党議員によるヤジだとわかった途端に「まさか公明党さんの議員がそんなヤジを飛ばしていたなんて残念」というやわらかい批判に切り替えました。

公明党の議員によるヤジではあの辻元清美でもその程度の反撃しかできないということです。

このように自民党も民進党も表立っては公明党の批判をできないわけですが、唯一の例外が日本共産党です。

2017年都議選での得票数は公明党よりも共産党の方が上
投票率が上がると共産党有利になるという公明党の焦り

2017年の都議選では共産党の獲得票数77万票が公明党の獲得票数73万票を上回りました。

獲得議席数では公明党23議席が、共産党の19議席を上回っています。

公明党の場合は無党派層による得票というのがほとんどなく、常に不変の支持者で綺麗に差配ができるので必要最小限の得票数で議席を獲得できるからです。

一方で共産党は無党派層に頼らないと公明党に勝つことができません。そして無党派層は赤旗を購読したり共産党の党員でもないわけですから、差配というコントロールが及ばないのでギリギリで当選させるといったことができないわけです。

だから得票数では共産党が上回っていても、票を最適化して配分することができずに獲得議席数では共産党が公明党に負けています。

 

しかし獲得票数で共産党に負けているという事実は公明党にとって脅威です。

なぜなら衆院選では「もし自民党との協力がなくなって小選挙区を自民党から分けてもらえなくなったら」、衆院獲得議席数で共産党に負けてしまうことになるからです。

 

参院選でも最も議席数が多い東京選挙区6議席でさえ公明党は2名候補を出すことはできず1名のみになっています。

参院選の東京選挙区では最下位当選でも50万票以上が必要です。2016年参院選では東京都選挙区の公明党候補は77万票獲得し1議席取りました。

また2014年衆院選の東京比例区では公明党は70万票を獲得しました。

2016年参院選の全国比例代表では、東京で公明党は71万票を獲得しました。

そして2017年都議選で公明党の得票数が73万票ですから、公明党の東京での集票力は70万票程度と見るのが自然です。

当選に50万票必要な参院東京選挙区では、公明党の集票力70万票だと1人当選させるのでやっとであり、2名候補者を立てたらどんなにうまく差配しても共倒れになります。

 

公明党が得意とする差配は、都議選のように「1つの選挙区で多数の議席があり、複数の公明党候補が出馬する」といった場合に力を発揮します。

しかし衆院選のように1選挙区1人だけではそもそも”差配”という手法自体が意味をなしません。

やるとしたら、「勝てそうな小選挙区に、当選できる数になるまで公明党支持者を事前に引っ越しさせ集約する」といった「選挙区間の差配」をやるしかありません。

そうなると、共産党に得票数で負けている公明党は衆院選で共産党に負けてしまうことになります。

 

公明党は2014年衆院選の比例代表で7,314,236票取って26議席獲得しました。

一方で共産党は6,062,962票取って20議席獲得です。

もし次の衆院選の得票数で共産党が勝ってしまうと、比例議席獲得数で公明党が負けてしまうこともあり得ます。

そして公明党は小選挙区で9議席獲得していますが、これは自民党が候補を立てずに自民党が公明党に9選挙区を「プレゼント」してくれているからです。

もし自民党との協力がなくなったらこの9選挙区は自民党候補とぶつかることになります。

そしたら公明党は取れても1議席となり、これは共産党が2014の衆院選で沖縄で取った1議席と同レベルになってしまいます。

このように、総得票数で共産党に負けるということは「自民と連立解消したら共産党より弱小政党になる」ということを意味しており、自民党に強く出られ足元を見られてしまう要因になります。公明党としては「なんとしても最低でも共産党には勝たなければならない」という状態になるのも無理もありません。

2018年の衆院選を見据えて、公明党と共産党の「建前を捨てたバトル」は熾烈化していき、意外とこれが「政党と支持層の関係を党代表自ら認める」という「政治のわかりやすさ」に寄与するかもしれないので好ましい傾向かもしれません。

おまけ:共産党が聖教新聞から赤旗への改宗をすすめる

公明党の山口那津男代表はさらに踏み込んで共産党を批判しました。

これは共産党の発言が火種になっており、本当にここまで言えるのは共産党くらいなものでしょう。

以下の産経新聞からの引用は、公明党の山口那津男代表の発言です。

さらに「(共産党は)創価学会の皆さんが、(沖縄県名護市辺野古への新基地建設に反対する)『オール沖縄』の活動に加われば心の痛みが直る、とまで言っている。憲法で保障された信教の自由を脅かす危険な発言だ。信教の自由を脅かす人に権力を担う資格はない」と切り捨てた。

(産経新聞 http://www.sankei.com/politics/news/170706/plt1707060020-n1.html)

共産党も加わっている「オール沖縄」に創価学会のみなさんが入れば心の痛みが直るので、「オール沖縄」に改宗すれば救われると共産党は言っているようです。それは「信教の自由を侵害するとんでもない発言だ」と公明党の山口那津男代表が反撃している構図です。

これはつまり創価学会の聖教新聞の購読から共産党の赤旗に切り替えるように共産党が勧誘しているようなものです。

ここまで来ると、もはや「タブーなき批判合戦」になっています。

昔から共産党や公明党に関する解説は週刊誌や書籍が追いかけて暴露本のようなものが多数出版されていますが、もはやそんな解説書が不要な時代になっているのではと感じさせます。