安倍首相、2017年1月下旬に訪米し就任直後のトランプ大統領と会談

先日共同通信が、安倍首相が2017年1月27日に、1月20日就任したばかりのトランプ大統領と会談すると報道していました。直後に外務省が「全くそのような事実はない」と完全否定していましたが、どうやら1月下旬に日米首脳会談をやりたいことは間違いなさそうです。

谷口智彦内閣官房参与が2017年1月下旬の安倍トランプ会談を表明したようです。

谷口智彦内閣官房参与は15日、トランプ次期米大統領が1月20日に就任するのを受け、安倍晋三首相が同月下旬にワシントンを訪れ、トランプ氏と公式に会談する予定だと明らかにした。

谷口氏はワシントンのシンクタンクで開かれたメディア向けのセミナーに日本からインターネット電話を通じて参加。「日米両国間で、トランプ氏の就任後の来年1月下旬に安倍首相が再び訪問する計画が進められている。おそらくワシントンでトランプ氏と公式に会談することになる」と英語で説明した。

また、訪米に先立って、安倍首相がインドネシア、ベトナム、フィリピン、オーストラリアを歴訪する見通しになっていることを明らかにした。
(産経新聞2016年12月16日 http://www.sankei.com/world/news/161216/wor1612160022-n1.html)

谷口参与は2015年4月の米上下両院合同会議での安倍首相演説の原稿を書いた人物です。

内閣官房参与は守秘義務があるものの非常勤職員なので、兼業が可能であり、意外と好き勝手発言できます。橋下徹氏が大阪市長だった頃に、ひたすら口喧嘩していた藤井聡氏も内閣官房参与です。

内閣官房参与はこういった重要イベントのカミングアウトには最適なポジションです。2014年の衆院解散を最初に公言したのも、大阪の番組「そこまで言って委員会」に出演していた飯島勲内閣官房参与でした。

菅官房長官は完全否定

素早く菅官房長官が否定しました。先日の共同通信の報道について外務省が即座に否定したのと同様に、菅官房長官もかなりの即応力です。

菅義偉官房長官は16日午前の記者会見で、谷口智彦内閣官房参与が、安倍晋三首相が1月下旬にワシントンを訪問、トランプ次期米大統領と会談するとの予定を明かしたことについて、「そういうことはまったくない」と否定した

事務方を通じて谷口氏に確認したところ、「『来年1月に首相が訪米して首脳会談を行うという噂や報道がある』と述べただけだ」との説明を受けたという。(産経新聞2016年12月16日 http://www.sankei.com/politics/news/161216/plt1612160026-n1.html)

安倍首相とトランプ氏が2017年1月下旬に会談すると表明したことについて、谷口氏曰く、「そういった内容の噂や報道がされているという事実を述べただけ」と完全に逃げる形になっています。

うまい逃げ方ですが、さすがに断定的に言うわけにもいかないのでこれが精一杯なところでしょう。

訪米前にベトナム、フィリピン、インドネシア、オーストラリアという重要4カ国を歴訪

否定したとはいえ、訪米前にこれら4カ国を歴訪するというのは極めて具体的な情報です。それらもあわせて全否定すれば単なる「噂」で終わりそうですが、菅官房長官はこれら4カ国歴訪については明確に否定していません。

ベトナムとフィリピンは完全に南シナ海の対シナ戦略で日本の味方に付けておくための訪問ですし、インドネシアは日本よりも人口が多く国土面積も膨大な東南アジア最大の国ですからはずせません。インドネシアの仮想敵国、オーストラリアにも合わせて訪問するのがさすがと言えますが、シナに軍港を100年近く貸与するなどして同盟国米軍の怒りを買い、対シナ傾斜を強めるオーストラリアへの訪問も外せないでしょう。オーストラリアとは物品役務相互提供協定を締結し日本から見て米国に次ぐ準軍事同盟国になったから軽視はできなくなっています。

オバマ大統領に失礼になるから日本政府としては否定するしかない

ただ、いくら任期が残り2ヶ月を切っているからといって、オバマ政権がまだ続いているのに次の大統領との日程について日本政府が公式発表するなんて、たとえ対シナ軟弱外交で日本が迷惑被ったオバマ氏相手だとしても失礼極まりないことです。

トランプ氏が1月20日に大統領に就任するまでは日本政府は公式発表しないでしょう。それまでは日本政府としては否定しながら黙っておくしかありません。

ベトナム、フィリピン、インドネシア、オーストラリア歴訪について否定しないのはそれらの国ではトップ交代が予定されていないので失礼にもならないからです。

またトランプ氏が初めて訪問する国がどこになるかですが、おそらく英国が最も有力でロシアもあり得ます。次に日本やオーストラリアなどの軍事同盟国でしょう。「さすがに台湾訪問は無いだろう」と殆どの人は思ってるので、もしあったらサプライズです。

米国は日本で言う事務次官以下の「補助機関」すらごっそり入れ替わるので、まずは事務が回るようになるまで首脳会談はしないものですが、時期の早さにこだわったと言えます。