岸田文雄氏が自民党総裁選出馬見送り 安倍総裁を裏切らなかったため禅譲を反故にするのは難しくなる

2018年9月に実施される自民党総裁選への出馬を検討していた岸田文雄衆院議員が総裁選へ出馬しないことが確定しました。

これでさらに安倍総裁の3選が堅くなると報道されていますが、もともと国会議員票でも国会議員以外の党員票(地方票)でも安倍総裁再選は盤石だったので金融市場では大して材料視されていません。TOPIXも日経平均先物価格も大きく反応していません。

良いことがあるとすれば石破茂氏が大敗する結果になりそうだという点でしょうか。岸田文雄氏が領袖を務める派閥宏池会は48名の国会議員を抱えています。

そして岸田文雄氏は、安倍総裁が立候補すれば安倍総裁の再選を支持し安倍氏に投票すると明言しました。

これにより48名分の国会議員票が安倍総裁に上乗せされるため、石破茂からするとますます大差をつけられてしまうことになります。

いまの情勢でも石破茂は国会議員票は勿論、地方票ですら大苦戦しているのにもかかわらず、さらに48票も地方票で稼がなくては傷を浅くできなくなります。

石破茂が総裁選で負けることは確定してます。本人も自覚しています。焦点は存在感を示してうまく負けることができるかどうかです。石破派もそれを狙っています。

本当は石破茂も小沢一郎や小池百合子のように自民党を離党して欲しいものですが、石破茂は小池百合子ほど馬鹿ではないようで、「自民党を離党した政治家は例外なく没落している」という経験則を身にしみて理解しているようです。

宏池会が意思を表明したので次は平成研究会(竹下派)の対応ですが、自主投票にしてお茶を濁すか、災害対応のため党内一致団結の名目で無難に安倍総裁支持で恩を売って国務大臣ポストを貰ったほうが得策と考えるでしょう。

一番の問題は、今回岸田文雄氏が総裁選立候補を見送ったことで、さらに次の総裁選では安倍氏が岸田氏に禅譲しなければならない状況に陥ったことです。

岸田氏は2017年の内閣改造で外務大臣を続投して欲しいと安倍総理から要請されていましたが、総裁の登竜門とされる党3役の経験がなかったため岸田氏は党3役就任にこだわりました。それに安倍総理は応えて外務大臣に指名せず、かわりに安倍総裁として政務調査会長に任命しました。これは安倍総裁が岸田氏に恩を売ったことになります。

そして今回は逆に岸田氏が総裁選立候補を見送り安倍総裁に恩を売りました。

自民党の岸田文雄政調会長は24日、9月の自民党総裁選に出馬しない方針を固めた。午後5時半から岸田派(宏池会、48人)の事務所で記者会見を開く。派閥関係者が明らかにした

岸田氏は総裁選に出馬するかどうかを慎重に検討してきた。派内は若手を中心に出馬を促す主戦論と、ベテランを中心に今回は出馬せず、次回の総裁選挙で安倍晋三首相からの禅譲を目指す慎重論で割れていた。このため6月から派内の意見を聴取を進め、17日の派閥臨時総会で岸田氏に対応を一任していた。

産経新聞 2018年7月24日 http://www.sankei.com/politics/news/180724/plt1807240022-n1.html

今回岸田文雄氏が総裁選立候補を見送ったことで、安倍総裁が4選を狙う明瞭な道筋が不透明になりました。

もし岸田氏が立候補してくれれば、安倍総裁からすれば岸田氏を政務調査会長に任命してあげたのに裏切ったということで、さらに次の総裁選で岸田氏へ禅譲せず4選を狙って立候補しやすい環境がありました。しかし今回岸田氏が総裁選に出ないことが確定したので、さらに次の総裁選で安倍総裁が岸田氏に禅譲しないというパターンは考えづらくなりました。

しかし2021年当時がどんな状況になっているかは現在の2018年時点ではわかりません。前回の総裁選が実施された2015年当時では、たった1年後の2016年に英国EU離脱賛成多数とトランプ大統領当選を大多数の人が予測できていなかったことから、今から3年後のことを予測するのはほぼ無理であり、これから先も現時点では全く予想していなかったことが起こるでしょう。