安倍橋下会談を警戒する公明党に10年前の余裕はなく完全に凋落

安倍晋三内閣総理大臣と橋下徹前大阪市長が2016年12月24日に都内で会談しました。菅義偉内閣官房長官と松井一郎大阪府知事・日本維新の会代表も同席しました。

2時間半続いたようなので、典型的な年末の忘年会のようなものでしょう。

安倍トランプ会談と同じで、一般論的な会談内容しか明るみにでないのが面白いところです。

今回の会談を公明党と自民党の二階幹事長がものすごく嫌がっているようです。

二階幹事長からしたら、国会議員ですらない松井一郎大阪府知事と、完全に民間人である橋下徹氏が、議会自民党を完全にスルーして頭ごなしに日本政府の最高合議体である内閣のナンバー1、内閣官房のナンバー1とあっさり会談してしまうのが面白くないのでしょう。実質的に内閣官房長官は日本政府のナンバー2です。

麻生副総理がナンバー2と思っている人がいるかもしれませんが、ラインでみたら確かにそうかもしれませんが、スタッフも含めたら菅官房長官がナンバー2です。

小渕総理が執務不能になったときに青木幹雄内閣官房長官が首相臨時代理を務めたように、内閣総理大臣が欠けたら内閣官房長官が首相臨時代理を務めるのが慣例です。米国でいう国務長官レベルで重要なポストが内閣官房長官なので、日本政府のトップ2である首相と官房長官が揃って一地方自治体の知事と民間人の弁護士と会談するというのは普通で考えたらすごいことです。

今の無能な都知事でさえ首相・官房長官2人揃って会談できてないのに、大阪という東京より小さい自治体の長とすでに公職を去った弁護士が首相・官房長官2人同時に会談できているというのが面白いです。

ただ、永田町には、官邸と橋下、松井両氏との関係を「おもしろくない」と感じている勢力がいるという。永田町関係者は「公明党と自民党の二階俊博幹事長の周辺だろう」といい、続けた。

公明党には、官邸と維新が距離を縮めることに警戒感を抱いている者もいるようだ。安倍首相の悲願である『憲法改正』について維新は積極的だが、公明党の本音は慎重だ。安倍-橋下会談は『公明党への牽制』と見えるだろう。二階氏の周辺も『維新は官邸には行くが、党本部には来ない』と不快感を持っているらしい。もし、橋下氏が安倍首相の後押しで再登板という話が出たら、政局になるだろう」(夕刊フジ http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20161225/plt1612251000001-n2.htm)

公明党が面白がってないなんてそんなの誰でもわかってること、なんていう見方だけでは単純すぎます。

これが10年前だったら、「自民党の首相が誰と会談しようが自民党の勝手。自民党が我が党(公明党)の嫌がることをできるはずがない」と余裕綽々だったレベルのことです。

2007年頃までは公明党はどっしり構えて自民党の一挙手一投足をあれこれ気にしない余裕がありました。

それが今となっては野党第一党ですらない日本維新の会の、単なる地方自治体の長と民間人の弁護士と会談してるだけで警戒する。ここまで公明党は凋落したのかと、本当に時代は変わったと思わされます。

橋下徹氏と松井一郎大阪府知事は安倍首相と菅官房長官という行政関係者は評価しているが、議会自民党に対する評価は微妙

橋下氏と松井代表はわりと自民党を嫌っていると思われます。自民党に対しては不満を漏らしてますし、この日本維新の会の2人が評価しているのは安倍首相と菅官房長官の行政の切り盛りであり、議会自民党については大して評価していないようです。

薬価を毎年改定する動きに待ったをかけているのも議会自民党、所得税の抜本改革を先送りしているのも議会自民党。改革に乗り気なのは安倍首相と菅官房長官であり、入閣していない自民党議員は抵抗勢力という構図になっています。

二階幹事長が言う「維新は官邸には行くが、党本部には来ない」も当然だと言えるでしょう。

もし安倍首相と菅官房長官が退陣したら、日本維新の会はあっさり手のひらを返して自民党に楯突いてくるはずです。

となれば公明党としてはさっさと安倍首相と菅官房長官に退いてもらうことを望んでいるのは確かです。

2017年になる前からすでに自民と公明の間には亀裂が走っていますが、この亀裂は議会自民党と公明党の亀裂というよりは、安倍政権と公明党の亀裂と言っていいでしょう。

公明党は、既に憲法9条を無効化した安全保障関連法施行とカジノ法案通過という2つの党是に反する案件を、連立に残りたいという一心で呑んでいます。

はたして公明党は強硬に安倍おろしに出てくるのか。それとも自民党が先に引導を渡してくるのか。2017年で8年続いたオバマレジームが終わりますから、2017年からいよいよ本格的に「安倍カラー」が発揮されるフェーズに入るため、そろそろ公明党の堪忍袋の緒が切れるのではと楽しみにしています。