今更という記事ですが書く時間がようやくできたので、自民大勝の議席数伸張について詳細に分析してみたいと思います。
日本海海戦での帝国海軍勝利を海外では”Decisive Japanese Victory”としていますが、今回の自民党完勝は”Decisive LDP’s Victory”といっても過言ではないでしょう。
解散前の勢力290議席と厳しめに設定していた産経新聞と東京新聞
まず解散前の自民党議席数がどうであったかが重要です。
勝敗ラインは現有議席を上回ったか下回ったかなので、解散前の議席数を多く設定すれば自民党にとって厳しい勝敗ラインになります。
逆に解散前の議席数を少なく設定すれば自民党にとっては超えるのが楽な勝敗ラインになります。
この解散前勢力については産経新聞と東京新聞が厳し目に設定していました。290議席です。
290議席の根拠としては解散後に自民党に入党した衆院議員も含めるべきだからというものです。
さて、290議席あったとしたら解散前は総議席数が475だったので自民党の議席占有率は61.05%です。
これを新たな総議席数である465にあてはめると、解散前と同等の勢力を維持するとなると283.89議席が必要になります。
これはつまり283議席獲得だったら自民党は解散前より議席を減らしたことになり、284議席を獲得したら解散前より議席を伸ばしたことになります。
定数10減なら284議席取れば議席増の中で本当に284議席取ってしまった
そんな中で自民党は284議席を獲得してしまいました。これは解散前勢力を290議席と自民党にとって厳しく見積もった勝敗ラインに設定したとしても、これを上回ってしまったわけです。
解散前勢力を290議席としても今回の284議席獲得は議席占有率を伸ばしています。
解散前の全議席数475議席のときは自民党の議席占有率は61.05%だったことは前述しましたが、選挙後の465議席の中で自民党284議席が占める割合は61.07%と若干伸びています。
解散前の勢力284議席と設定していた読売・朝日・毎日
一方で、解散前の自民党勢力を284議席と設定する向きもありました。読売新聞と朝日新聞と毎日新聞はこの数字を自民党の解散前勢力(公示前勢力)としていました。
これは自民党にとってやさしい勝敗ラインです。
解散前の全議席数475議席の中で284議席というのは議席占有率で表すと59.79%です。
これを10減後の総議席数465の中で計算すると278.02議席となり、自民党としては278議席獲得だと解散前より議席占有率を減らしたことになり、279議席獲得すれば解散前より議席を伸ばしたことになるわけです。
解散前の279議席を5議席も上回る284議席を獲得
そして蓋を開けてみれば、自民党は284議席を獲得する大勝をおさめました。
279議席とれば勝利だったのに、それを5議席も上回る284議席も獲得できたわけです。
以上のことからもわかる通り、公示前勢力を290議席としようが284議席としようが、今回の2017年衆院選は自民党の”大勝”です。
あれだけ頭の悪い世の中のババアがモリカケモリカケと騒いでいる中で議席占有率を伸ばしてしまったからです。
自民党機関紙「自由民主」の一面大見出しは
「総選挙 わが党が勝利」
さて自民党の選挙結果がでた直後に発行された自民党機関紙「自由民主」は10月31日号ですが、実際は1週間前に発行されて自宅に届きますので、実質的には10月24日号です。
他のメディアは「自民党大勝」、「自民勝利」、「自民完勝」のように、まるで「自民党」がよその他人であるかのように報道していますが、機関紙ではさすがこの点は「わが党」と表記しています。
身内の勝利を感じさせるこの「わが党」の表記は非常に歓迎できるものです。
中見出しは「安倍総裁で総選挙3連勝 わが党284議席を獲得」
「安倍首相」ではなく「安倍総裁」と書いてあるところがさすが自民党の機関紙です。自民党が衆院で過半数を取っている限りは、自民党総裁=内閣総理大臣なわけですが、あえて内閣総理大臣や首相という肩書を用いずに、自民党トップである「総裁」という役職で呼んでいるところが余裕を感じさせ、またこれは内閣総理大臣の勝利ではなく自民党総裁の勝利であることを強調しています。自民党支持者にとってはとても喜ばしい表記方法です。
小見出しは「総定数10減の中議席数維持」
私が本記事の前半で長々と説明して指摘したことですが、衆議院の総議席数が10削減され465議席となった中でも284議席という議席数を維持しました。
これはつまり相対的に議席を伸ばしたことになり、議席占有率が上昇しているのは上述した通りです。
2017年衆議院では「わが党」が勝利したこと、さらに「安倍総裁」が勝利したこと、さらに「総議席数10減の中で284議席を維持したこと」は、私からしても最も強調したい部分であり、さすが自民党機関紙は抑えるべきところをしっかり抑えていると言えます。