民進党の党代表が決定しましたが、なぜか参院議員からの代表となりました。内閣総理大臣には参院議員ではないとなれないという法令はありませんが、首相を舌鋒鋭く批判するのなら衆院予算委員会がいい舞台なので、そこに出席できない参院議員では気迫に欠けるのです。
二重国籍の説明が二転三転、しかも幹事長人事で野田佳彦氏を就任させ、更には党最高顧問に菅直人氏を据えるというもはや船出から万事休すといった状況です。
2016年10月23日には東京と福岡で衆院補選が行われます。
東京は小池百合子氏が選出されていた豊島区・練馬区の選挙区ですが、ここは小池百合子氏と自民党は歩調をあわせて公認を確定したので確実に自民党が勝つでしょう。
問題は福岡の選挙区であり、ここで自民党が分裂選挙になるとひょっとしたら民進党に勝利を明け渡してしまうかもしれません。
そうすれば蓮舫氏としてはそこそこの成果でしょう。もし2議席とも自民党が取っても「もともと自民党の議席だった」といいわけができるので引き分けくらいにしか受け取らないはずです。
問題はいずれやってくる衆院総選挙です。
早ければ2016年の12月の師走選挙です。この12月選挙は自民党が過去2回連続で大勝しているゲン担ぎにはもってこいの時期です。
そして、この衆院選を契機に民主党の野田佳彦、海江田万里といった2人の党代表が即辞任に追い込まれていることも事実です。
ここで民進党が大敗すれば、菅直人氏みたいにしがみつくタイプでもないかぎり普通は辞任します。よって次の衆院総選挙で蓮舫氏が辞任する蓋然性はかなり高いです。
問題は民進党の次の党代表が誰になるかであり、有力なのは細野豪志氏か前原誠司氏でしょう。あとは共産党との連携を完全に切ろうとしている長島昭久氏です。
自民党にとって最も好ましいのは言うまでもなく長島昭久氏です。この人は、既に成立施行された安保法制の法案を審議しているときに、他の民進党議員が「こんなの取り下げろ」と自民党を叩く一方で、長島氏は「この程度で本当に日本を防衛できるのか。さらなる集団的自衛権行使の範囲を広げるべきだ」と自民党の背中をさらに押していたのです。
次にまともなのは前原誠司氏でしょう。この人は八ッ場ダムの工事中止という完全に誤った判断をしてしまいましたが、それ以外については及第点です。
細野豪志氏は自身にスキャンダルネタを抱えているせいかそこまで安倍首相を強く批判できません。経済政策や憲法9条の考えについてもそこそこ自民党に近いので、細野豪志氏が党代表になるのもそこまで悪い話ではありません。
問題はこの3人以外が党代表になってしまうと自民党としては面倒だということです。
私が思うのには、今回このタイミングで蓮舫氏が党代表に就任してくれたのは良いと思っています。なぜならそのうち衆院解散があるわけだから、そこで辞任することはわかっているからです。そしたら次の党代表を誰にするかといったら蓮舫氏と反対の路線を行く人に振れます。
そこで前原誠司氏や細野豪志氏、長島昭久氏がでてきてくれれば自民党の憲法9条改正をそのまま通すことも容易です。
憲法9条改正に反対する民進党議員が離反して民進党は分裂するでしょうが、それは野党弱体化という点でも自民党にとって好ましい出来事になります。
つまりどっちに転んでも自民党にとっては有利なので、衆院選前での蓮舫氏就任は安倍政権にとっては恩寵以外のなにものでもないと言えます。
以前の衆院選時は石破幹事長だったので思うように議席が伸びなかったのですが、今回は二階幹事長なので議席の上積みも期待できます。自民党単独で衆院2/3と言わず、3/4か350議席以上を目指してほしいところです。